通訳ガイドとは

通訳ガイドから通訳案内士へ (通訳ガイド業の今と昔)




   ここ数年、通訳ガイドを取り巻く環境は、激変してきました。  (2009年4月加筆)
 平成18年に、通訳案内業法から通訳案内士法に変わり、私たちの正式呼称が「通訳案内士」となりました。そして、私の独断と偏見に満ちた私見では、その頃から、通訳ガイドが「食べて行けない稼業」に転落していったように思います。それゆえ私は、この呼称を使いたくないので、今までどおり「通訳ガイド」という言葉を使わせていただきます。
 Visit Japan Campaignにより、外国人観光客を増やそうという官民あげての動きは活発で、たしかに、観光客数は、右肩上がりに増えました。それは、別に、キャンペーンをしなくてもそうなるのが当たり前で、国の経済力をメキメキと上げている中国が、至近距離に位置しているのですから、何もせずとも、外国人観光客が増えていくのは、当然の成り行きです。
 加えて、いつのまにか日本文化、それも、従来型の茶道・華道・歌舞伎・能という、コアな伝統文化以上に、マンガ・アニメ・テレビゲーム・コスプレなどのポップカルチャーや、寿司を代表とする和食文化、そして、映画のヒットに刺激されたサムライ・ゲイシャの文化などが、欧米人をひきつけて、ヨーロッパからの観光客もまた、かなり増えているようです。
 さて、通訳ガイドの現場に、外国人観光客数の増加以上に影響を与えているのが、通訳ガイド試験の合格率の上昇です。大昔、英検一級なみの、5%以下だった超難関試験は、その後、10%前後、英検準一級なみになり、ここ数年は、さらに難易度がじわじわ下がって、2007年には、英語の試験は、合格率20%を超えました。英検でいえば、二級なみの合格率になってしまったわけです。通訳ガイドの数を増やして、外国人観光客数の増加に応える、というのが大義名分でしょうが、それは、ガイドの立場から言うと、一人当たりの稼働日数が減る、ということになります。合格しやすくなるメリットはあるものの、合格後の仕事の量が減り、一人前の収入が得られにくくなったということで、通訳ガイドにとっては、喜ばしくない事態になります。「規制緩和」によって、タクシー運転手さんの数が激増し、その結果、平均年収が、ぐんぐん下がったように、通訳ガイドの一人当たりの平均的仕事量も収入もどんどん下がっているわけです。
 2008年9月付けの旅行新聞社編集部の記事を引用させていただきます。

「 国土交通省はこのほど、通訳ガイドの就業実態調査の報告書をまとめた。それによると、登録している約1万2000人のうち、兼業も含め、通訳ガイドとして就業している人は26・4%に過ぎない。専業者に至っては約1割。つまり1200人程度か。また、専業者であっても年収100万円未満が、なんと約4割を占める実態が明らかになった。訪日外国人が急増し、2010年にも1000万人を突破する勢いだ。国は次の目標である2020年の訪日外客2000万人をも見据えて、「2011年までに通訳ガイドを1万5000人まで拡充」することを閣議決定している。しかし、単にガイドの人数を増やせばいいというほど、単純な問題ではないのである。国交省は8月21日に同実態調査の報告会を開いた。その場で、現場の通訳ガイドが涙ながらに、生活できない窮状を訴えていた。同調査によると、通訳案内就業者の54・5%が年間稼働日数30日以下。年収については、就業者全体の62・2%が100万円未満。専業者に限ってみても、年収400万円以上がわずかに全体の9・0%と1割にも満たない。その一方で、100万円未満が38・8%と約4割。100万円台が14・7%、200万円台が16・4%、300万円台が14・2%と、国家資格でありながら、現状では通訳案内士として生業が維持しづらい状況なのだ。」

 ただ、タクシー運転手さんのケースと違うのは、男性が一家を支えて通訳ガイドをする、というケースは、ほとんどなく、圧倒的多数は、独身女性か、主婦が就業しているという実態です。それゆえ、仕事が少ないから、と言って、その他の業界のような悲壮感は、ごく少数の家族持ちの男性ガイド以外では、少ないかと思われます。
 私たちの若かりし頃は、「仕事=生活費を稼ぐもの」でしたが、今の感覚は、「仕事=夢を実現させるもの」になり、たとえ、年間稼働日数が30日以下で、年収が100万円以下でも、ご本人は満足されているケースも多々見受けられます。私個人の感覚では、「もし今私が、20代で、キャリアとしての職業を選択する必要性があるなら、決して通訳ガイドを選ばないだろうな」ということです。そして、このような実態は、日本の通訳ガイドの平均的な技量を、著しく落としてしまっていると感じています。私自身が、一人前の通訳ガイドになるべく、必死で自分磨きをしていた頃は、経済的自立をしている専業ガイドは、年間150日から250日ぐらい仕事をこなしていました。合格率10%未満の試験でふるいにかけられ、それぐらいの仕事量をこなして研鑽を積んで、5年ぐらいして、ようやく一人前になったかな、と感じられたものです。つまり、200日x5年=1000日の稼働日数でやっと一人前、と仮定すると、年間30日のペースでは、33年かかる、というわけです。
現場はまさに、「玉石混淆」という状態で、 「このままでは、プロの通訳ガイドは、遅かれ早かれ、消滅してしまうだろう」という懸念が囁かれています。旅行業になにより大切なものは、「人材」です。外国人観光客を感心させ、唸らせるような優秀なベテラン・ガイドが消滅してしまった時に、慌てて育成しようと思っても、そう簡単には育たないのが「人材」です。安易に人数を増やす政策は、自滅的であるということを、関係各所にいまいちど、再認識していただきたいものだと、つねづね痛感しております。
 以前から、通訳ガイドは「自宅のお嬢さんか主婦向きのお仕事」と、申し上げてますが、これはますます、その傾向が強くなっています。一家を支える男性、もしくは、独身女性であっても、このさき、プロとして、一人前のキャリアを築きたい、という方々には、あまりオススメできない職種になってしまいました。さらには、旅行会社が、なんでもかんでもガイドに押し付ける傾向が強まって、ガイド業務の日当は、20年間すえ置き状態に近いわりに、その業務の煩雑さや、大変さは、年々厳しくなっているように見受けます。
 通訳ガイドを目指そうかと考えている方々に、現場からの、正直な感想をお伝えしたく、加筆させていだきました。



 下記の文章は、ずいぶん前に書き入れたものですが、大勢としては、今でもとおる内容ですので、そのまま置いておきます。書いた時期を念頭に入れて、お読みいただければ、参考になるポイントもそれなりにあると思います。

------------------------------下記は、以前の書き込み----------------------------------------------------

このホームページを開いてから、たくさんの方々からメールをいただきました。
 その大半が、通訳ガイドの仕事に興味をもって、将来ガイドを目指したい、という方からのものでした。なので、今までにいただいたメールの質問をQ&A方式で、まとめてみたいと思います。
(このページを作製したのは、2000年より前だったと思います。2004年に通訳ガイド試験の内容の変更があり、昔のように三回の試験から、二回の試験に簡便化されました。ですので、下記の内容が、一部現状と合っておりません。さらに、この先、ガイド制度そのものが変わっていく可能性も出てきておりますので、試験制度や試験内容、日程などについての詳しい情報は、ここからリンクしている、日本観光通訳協会のホームページをご確認くださいませ。以上、2005年4月に追記しました)

Q.通訳ガイドになりたいのですが、どうすればいいですか。
A.通訳ガイド試験に合格して、ライセンスを取得し、旅行会社や人材派遣会社に登録して、フリーランスで仕事をとっていきます。
 まず第一の関門が、通訳ガイド試験です。一次試験が語学のペーパー・テスト、二次試験が語学の面接試験、そして三次試験が、日本語による、日本歴史や地理などの教養問題です。
 合格率がもっとも絞り込まれるのが、一次試験です。英検でいうなら、準1級以上のレベルになりますので、自分の英語の実力がわかっていない人は、まずは英検の2級を受けてみてください。これにすんなり合格しない場合は、道は遠い、ということになります。不可能というわけではないけど、目指すなら、腹をくくって、根性出して頑張る必要があるでしょう。
 ガイド試験は、その合格率の推移をみていると、昔は英検一級並みの3.5%ぐらいの合格率だったのが、最近では、8-10%ぐらいにまでなっているようです。英検でいえば準1級レベルに近づいています。ですから、もし準1級の実力をお持ちなら、あとは、ガイド試験の過去問題集に目を通して、ガイド試験特有の単語をつめこめば、合格はすぐそこ、という気がします。
 試験実施要領の詳細については、日本観光通訳協会JGAのホームページ、また同業者組合である、全日本通訳案内業者連盟JFGのホームページもご参照ください。

Q.収入はどれくらいになりますか。
A.この質問は、とっても答えにくいのですが、フリーランスであり、また円高の今、全般的に仕事は減少気味である実情から、幾ら、とはっきり答えにくいのが現状です。ガイドを専業にやっている人たちは、全国に200人いるかどうか、ですが、その場合年収300-400万円ぐらいは稼いでるのではないか、と思います。(人にズバリと年収を聞く度胸はないので、あくまで私の推測です)しかし、現時点でこれぐらい稼いでいる人たちは、キャリア20年以上の人たちがほとんどで、今から新たに参入する人が、この収入にたどりつけるかどうか、は神のみぞ知る。それは新人アイドルが、芸能界で生き残ることができるかどうか、と同じように予測のつかないことです。


Q.日当はどれくらいになりますか。
A.はいな、こう尋ねていただけると答えやすいです。
  たいていの旅行会社に、料金表、というのがあります。ガイドのレベルを、その経験年数に応じて、ABCにランク分けし、またお客の人数によって、5−10段階に分けられて表です。バス一台につき一人のガイドが必要ですから、最高人数は40名ほどになります。
 たとえば、駆け出しのC級のガイドが、2人のお客について、半日仕事すると1万円ちょっと。一日仕事すると、15000-17000円。A級のガイドだと、2人のお客で半日で、15000-17000円、一日だと2万円前後になり、これが40人の団体だと、半日で2万円、一日だと3万円になります。
 A級、B級の格付けは、ガイドになってからの年数と稼働日数により、通訳ガイド協会の規定にもとづき格付けされます。昔は仕事もたくさんあったので、3−5年でA級になれましたが、稼働日数が少ないと、もっとかかるかもしれませんね。


  Q.仕事の将来性はいかがですか。
A.収入の不安定さからいって、男性の一生の仕事としては勧められません。女性の場合は、自宅住まいの若い方とか、主婦の方が、アルバイト的になさる分には、それなりにメリットがあります。一日の単価とすれば、なかなかの高収入ですし、なんといっても、仕事の楽しさは大きいです。(それについては、旅行者文化人類学のシリーズをお読みください)
 通訳ガイドのライセンスについていえば、英語力、あるいは第二外国語能力の、素晴らしい証明書になりますので、語学で食べていきたい、という方には、チャレンジする価値は大いにあります。新しくライセンスを取得された方々は、ガイド、翻訳、通訳、英語講師などの仕事をかけもって生計をたててらっしゃるようです。
 英会話学校の講師の求人広告を見てますと、児童英会話の場合、英検2級以上、成人英会話の場合、準1級以上となっている場合が多いです。英検1級やガイド・ライセンスをもっていれば、とりあえず英会話学校の講師の仕事はあるのではないか、と思います。
 もっとも、私が20年前、某英会話学校で教えていた時の時給は2千円でした。同じ学校の求人をみると、現在2千2百円ぐらいで出ているようです。つまり、初任給が二倍になったこの20年間、英会話講師の給料は据え置き状態なのです。英語を話せる人が増えた分、英語ができることの価値は目減りしたようですね。そのかわり、気軽に留学でき、気軽にネイティブの講師に習えて、昔より英語の勉強はずっとイージーになってます。


Q.合格のための勉強方法は。
A.人によりさまざまですが、学校に行った方が、勉強しやすい、という方の場合は、通訳ガイドコースを設けている学校、それが近くになければ、英検やTOEICなどの資格試験対策クラスをもっている学校がいいと思います。ガイド試験は、一次試験がもっとも難関になるので、英会話クラスよりも、資格取得クラスがいいでしょう。二次試験対策としては、英検の二次やTOEICのヒアリング・テスト対策で間に合うと思います。
 学校に行く時間やお金がない、という方は、根性さえあれば独学でも大丈夫と思います。もっとも、何事にもヤル気と根性が必要です。具体的にいえば、試験直前の数ヶ月は、家にいる時間をまるまる試験勉強にあてられるかどうか、またただ机に向かっているだけでなく、ほんとうに集中して、単語なり文法なりを頭にたたき込むことができるかどうか、が分かれ目かと思います。
 勉強しているつもりで、実はしていない人、しんどいつもりで、実はたいして頑張っていない人、が世の中にはあふれていると思います。なかなか合格しない試験に合格するには、なかなか人ができないような努力をする必要があります。私が若かったころ、「この試験に合格すれば、私が望むかっこいいキャリアウーマンになれ、もし合格できないないなら、夢は叶わない。平凡で退屈な人生が待っているだけ」とわれと我が身にハッパをかけ、がんばりました。


Q.私の場合の具体的な合格作戦
A.初めの大学の3年生の終わりごろから、通訳ガイドの夢をあたため初めて、4年生の時に受けた通訳ガイド試験や英検一級には見事に落ちました。4年制大学の女性にはことのほか就職のなかった時代でしたので、年が明けたころ、ようやく予備校の事務員の仕事を獲得しました。(お茶汲みが主という仕事でさえ、倍率30倍の狭き門でした)
 このころ、通訳ガイド試験に専念することをほぼ決心してましたので、YMCAの通訳ガイドコースの夜間部に入って、週に二度、三時間の授業を受けることにして、職探しは、勉強するのにいい条件、ということで探しました。
 見つけた職場は、当時はまだ少なかった週休二日制で、夏休みも少しはあり、職場とアパートとYMCAは、自転車で15分の距離にありました。つまり、働きながら勉強時間を確保する方法を模索したのでした。

 あれはたぶん、私の人生の中で、もっとも気合いを入れて勉強した数ヶ月だったと思います。
 平日は、仕事が終わると自転車をこいでアパートに行き、風呂桶をもって近くのレストランで食事し、その三軒先にある銭湯で風呂に入って帰ります。そして寝るまでの数時間、ひたすらひたすら勉強しました。週に二度、YMCAに行く日は、6−9時まで授業をうけて、その時でも家で2時間ぐらいは勉強しました。休日については、5-10時間机に向かいました。
 内容としては、YMCAの勉強に加えて、過去の問題集をこまかく見て、そこに出てくる知らない単語はかたっぱしから単語帳に書き入れていき、それを確実に覚える、という作業の繰り返しでした。とくに試験直前の一ヶ月ぐらいは、抜き出した単語や表現を、とにかく記憶しまくりました。自分を叱咤激励するために、カレンダーの表を作り、そこに毎日何時間勉強したかを記録していきました。夏の試験までたったの三ヶ月間の集中準備でしたが、試験が近づくにつれ、日々の勉強時間は伸びていき、カレンダーの勉強実績が、毎日最低数時間になると、だんだんその実績を破るのが惜しくなってきて、毎日休むことなく、確実に数時間、休みの日には6時間以上、それも気合いをいれて勉強できてました。
 しかし、それだけ勉強しても、春の英検一級の一次には不合格。あの時ばかりは、不合格通知を握りしめて、しばし涙が止まりませんでした。「くそっ、こんなに勉強しても駄目なのか」って。人生なかなか思い通りにならない、と絶望的な気分でした。けど、後から考えれば、あの時不合格でよかった。だって、あれに刺激をうけて、 「ようし、やったろやないのぉ」っとばかりに、より一層気合いがはいって、夏のガイド試験まで、がむしゃらに 勉強しました。おかげで、夏のガイド試験一次に合格し、その秋の一級は見事に合格しました。やはりあの年の春から秋にかけて、勉強の成果がじわじわと出ていたのでしょう。
 奇跡の一次試験突破ののちは、大の苦手、というかほとんどまったく経験したことのない英会話を鍛えるために、大枚はたいて、外人の個人レッスンを受けました。もっとも、経済的時間的余裕のなさから、ほんの数回だったと思います。二次試験対策としては、質問を予想しては、その回答を英作して暗記し、とにかく短いインタビュー試験のあいだ、英語がすらすらと話せるようなフリをして誤魔化しきろう、という根性でがんばりました。
 二次試験の合格通知を受け取ってから、その職場を辞めました。通訳ガイド試験では、一次が合格しても二次で落ちると、一次合格の実績は無に帰します。二次まで合格して、三次で落ちた場合には、二次合格の実績は、翌年まで持ち越せます。三次試験の合格率は高く、大学受験からあまり間があいてない当時の私の場合は、かなりの確率で合格できるだろうし、最悪、翌年に持ち越せます。それなら、一気に勉強してこの年にライセンスを取ってしまいたい。そんな思いで、仕事を辞めて、三次試験の準備に専念しました。ちなみに、三次試験対策として、日本観光通訳協会が、観光地理と歴史の小冊子を発行してますが、あれを入手して、完璧に頭にたたき込むことも、有効的な対策方法です。
 YMCAのコースは4月から3月までの一年でしたが、夏の一次試験に合格してからは、出席したりしなかったり、むしろ目先の試験の準備に追われましたので、さぼりがちでしたが、そこで出会えた先生方のアドバイスは、とても役に立ちました。
 とはいえ、合否を分けるのは、どんな学校に通うかではなく、どこまで知識を頭にたたきこめるかどうか、だと思います。だから、遠い学校に通うために時間のロスをするぐらいなら、独学で集中する方がいいともいえます。
    私の個人的な意見では、上位2−3割ぐらいの大学に合格できる英語文法力と、過去問題集を見ての傾向と対策をたてられる受験能力、そして残りは、ボキャブラリーを頭にたたき込む集中力と記憶力が、キーかと思います。過去にまわりで、受験してきた人の合否結果を知る身としては、合格する人は一発で合格するかもしれないし、できない人は、何年たっても合格できないかもしれません。だから、試験を受けるために仕事をやめる、というのは絶対にしないでください。仕事をしながら合格できない人は、仕事をやめても合格できない、と思うからです。
 最近、複数の方から、仕事をやめて勉強に専念しようかと思う、との相談をいただきましたが、それは単に仕事から逃避したいのではないか、と考えます。とくに通訳ガイドの場合、まず合格できるかどうか分からない、というハードルがひとつ、さらに本当に仕事が来るかどうか分からない、というハードルもあります。また仕事をやってみたけど、やっぱり性に合わない、といって辞めていった人も知ってます。だから、合格して、仕事を数回やってみて(今されているお仕事の休みの日に仕事を体験する、ということも可能です)それから仕事を辞めても遅くないと思います。


Q.留学の必要はありますか。
A.私自身、英語圏に留学したことはありません。留学したかどうかが、その人の英語力に影響する割合は、じつは低いと私は考えています。というのは、現在、留学があまりにもお手軽になったため、留学も長期旅行もあまり差がなく、実力がつくかどうかは、その人が留学期間中、どんな勉強ライフを送ったかどうかによります。留学の期間はまったく関係ないといって差し支えないでしょう。
 もし、留学をお考えでしたら、まず、最低英検2級の実力をつけてから留学すること。願わくば、準1級のレベルをつけてから留学すれば、留学効率は二倍になると思います。つまり半分の経費で、同等の能力を身につけることができると思います。
 また、留学に対して、体験のためにするのか、英語の能力をUPさせるためにするのか、自分自身の中で明確な意識をもって、それなりに行動することです。旅行、パーティ、恋愛、友人などなどは、楽しい留学経験をつくってくれますが、勉強の面からいうと、時間のムダ使いになってしまいます。勉強中心でいくなら、新聞を読み、テレビのニュースを聞き、知らない単語はすべてチェックし、単語帳にかきとって、それを確実に覚えていく、という作業が必要です。つまり、留学していても、毎日机に向かっていなくてはならないのです。
 もちろん、勉強ばかりしていては、精神的に疲労して、効率が落ちてしまいますから、友人作りも、気晴らしのパーティもそれなりにすればいいけど、あくまで、勉強を促進するためのリフレッシュとしてやるべきですね。
 私の個人的な意見では、第二外国語の場合は、勉強の手段が少ないので、留学の価値はあると思いますが、英語については、必要ないのではないでしょうか。しっかり予習して、近所の英会話学校に行くだけで、留学と同じ効果は、充分にあげられると思います。


  Q.合格の秘訣は。
A.難しい試験に合格するか否かは、最終的には、自分との闘いに勝つかどうか、だと思います。
 勉強はしんどい。当たり前です。しんどいから嫌だ、というのが普通の人間です。「今日はもう、勉強せんとこうよ」「これだけやれば、もういいでしょ」などと、サボル方へと誘う悪魔の声にうち勝って、「いや、今日のノルマは、まだ果たしていない」「うーーむ、しんどい、けど、もうちょっとやろう」と、勝利の女神の声に耳を傾けて、日々、頑張るのです。
 地道な努力、毎日の精進、それが積み重ねられて、合格へと到るのだと思います。
 けど、あんまり自分が疲れていたら、時には、自分で自分にご褒美をあげるといいですね。そう、自分を甘やかしたり、叱りつけたり、上手に自分をコントロールして、勉強効率をあげる、というのが、秘訣だと思います。
 私は、その究極の手段として、レポート用紙をピンク色にするとか、ノートに可愛いのを使う、などという、一見馬鹿げたことまで、トライしました。自分を勉強させるために、ありとあらゆる手段を試した挙げ句の苦肉の策でした。ピンクのレポート用紙の効果のほどは、ちと不明ですが、自分をコントロールすることを、とても意識していたのは確かです。自分とうまくつきあって、自分の欲望をコントロールして、試験前に必要な苦しい勉強にじょうずに耐えてみせることができるかどうか、ですね。
 これ、とってもいい経験になりますよ。合格して、いろいろといいことがあったけど、「あの苦しい試験にうち勝てた」ということが、何よりの宝になったかもしれません。その後の人生においても、「私は、ここまではやれる」という目安のようなものができ、「とにかく、ひとつの目標を達成できた」という事実は、その後ずーっと、私の自信になり、いろんな人生の場面で、私に力強さを与えてくれたと思います。もしかしたら、試験合格で得た自信は、ライセンスそのもの以上に、貴重だったかもしれません。

 さあて皆さん、これを読んで、ヤル気がわいてきたでしょうか。
 ぜひぜひ頑張ってみてください。



Mail to:mariposa@mbox.kyoto-inet.or.jp


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