なんでも Q & A                     

みなさんの疑問にお答えいたします。

★ ここにあげる文章は去る平成11年3月13日に行われた第5回健康教室の時に、来ていただいた皆さんにお配りした資料の内容を、一部(ローカルな話題を除いて)書き直したものです。

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_「風邪をひいたら、どのくらい費用がかかるの?」

もちろん、治療の内容や、保険の種類、負担率などによって異なってきますが、おおざっぱに言って、自己負担額は1000円から1500円くらいでしょうか。藤原内科では、診療、薬剤費、検査などにいくらかかったか、すべてわかるように領収書を発行しています。納得がいかない場合は遠慮なくおたずね下さい。

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_「同じ様に診察を受けてるのに、なんで日によって支払いが違うんだろう。」

医療費の中には、いろいろな加算があり、その中には「1ヶ月に2回まで」とか、「初診から1ケ月経過してから」などの縛りのあるものがあります。従って、例えば血圧の治療で通院している場合、初診から1ケ月の間は診療費は再診料のみとなりますが、1ケ月を経過すると「特定疾患療養指導料(老人の場合、慢性疾患生活指導料)」が加算となり、(老人の方は負担は変わりませんが)自己負担額が増えることになります。逆に、2週間ごとに通院していて、たまたま同じ月に3回受診することになった場合、3回目は「特定疾患療養指導料」は加算されませんから、支払額が安くなることがあります。

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_「大腸ファイバー検査を受けたいのだが、費用はどのくらい?」

当然のことながら、保険診療の一部として行う場合と、人間ドックのように費用を全部自分で負担する場合で異なります。保険診療の場合、点数が決まっているため、どこの施設で検査を受けられても自己負担額は変わりません。初診、再診によっても違いますが、検査にかかる費用としては初診、2割負担としておよそ6,300円くらいでしょうか。人間ドックの場合、検査料は各施設で自由に決めているため、一概には言えませんが、大まかな目安として保険点数+初診料に相当する額を考えておけばよいと思います。大腸ファイバーの場合、単純計算では31,500円となります。

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_「なぜ院外処方の医院(病院)と院内処方の医院(病院)があるの?」

厚生省は、院外処方を推進しています。その理由は、医療費(とくに薬剤費)の抑制です。昔は薬価差益があったため、医者は皆こぞって薬を沢山出した時代がありました。そこで厚生省は薬価の引き下げを行い、薬価差益を少なくしようとしてきました。すると逆に差益が少ない分、数でカバーしようとむしろ処方薬剤が増えてしまいました。困った厚生省は8種類以上処方すると総点数の9割しか認めない、薬剤費の自己負担制度を設けるなど、いろいろな改革を試みてきましたが、その決め手として登場したのが院外処方制度です。これは医者にとっても薬剤の在庫をおかなくてよくなり、薬剤師等の人件費が節約できるなどのメリットがあります。そして薬局店にとっても、処方箋を受けることができるようになると収益の増加が見込まれます。

では患者さんにとってはどうでしょうか?厚生省は「大学病院での待時間の殆どが薬剤の処方にかかる時間である」とか「医者が薬についての十分な説明をしていない」などの理由を挙げ、調剤薬局で薬をもらうようになれば、待時間が少なく、薬の説明も十分受けることができる(薬局に義務づけられています)としています。しかし、実際は診療所では待時間は殆どありませんし、藤原内科では十分に薬の説明はしているつもりです。むしろ院外薬局になれば、患者さんは診療所を出た後、もう一度薬局に出向いて、薬をもらわなければならない上に、自己負担分が1ヶ月にして約500円程度余分に増えることになります。

藤原内科では、経営的な不利を承知の上で、患者さんの便宜を最優先に考え、あえて院内薬局制度を維持しております。決して薬で儲けようなどとは思っておりませんので、誤解のないようにお願いいたします。

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_「むかしはよく注射とかしてもらったのに、最近はなぜしなくなったの?」

これも前の質問と関連があります。薬価差益については前述の通りですが、注射もすればするほど医者の利益につながっていた時代がありました。しかし、実際注射でよくなる病気というものはごく限られており、藤原内科では、私が必要と考える場合以外は、特に注射はお勧めしていません。

確かに、風邪をひいてひどい下痢をした、ご飯が何日も食べられない状態が続いている、といった場合は、点滴により栄養分や、ビタミンの補給を行えば体はずいぶんと楽になります。そのようなときはこちらから点滴をお勧めします。また、高い熱が出て、消耗が激しいときにも効果があります。そのほか、明らかな感染症が疑われる場合、抗生物質を点滴で投与する場合もあります。但し、点滴で抗生物質の投与が必要なほど重症の感染症では、場合によっては入院加療が適している場合もあり、一概に言えない面もあります。

それでも昔のように、「先生、ちょっと1本注射打って、元気が出るようにしてもらえませんか」と、腕を出す方もいらっしゃいますが、私は上で述べたようなことを説明し、「注射1本で直ちに治るようなお薬はありませんよ。その点は誤解のないように」と念を押した上で、それでも「何かしてほしい」と希望される方には静脈注射(ブドウ糖+ビタミン剤)などをさせてもらっています。  

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 「病院と診療所を比べたら、やっぱり病院の方が安心できるしね。」

患者さんの多くは未だに大病院志向です。確かに大病院は設備も整っているし、最新の治療が受けられる、そんな安心感があります。しかし私も長く大学で専門外来を担当してきましたが、病院に通っておられる患者さんの8割以上は、そのような特殊な設備、最新の治療を「必要としない方」です。「でもいざというときには、入院させてもらわないといけないし・・・」という気持ちも分からないではありません。ただ「そのとき」のためだけに、遠いところから時間をかけて通院し、長い時間待って、2,3分の診察を受け、また薬をもらうのに何時間も待つ必要が本当にあるのでしょうか?

たとえ大学病院でもいろいろなお医者様がいらっしゃいます。中には名医と言われる方もいらっしゃるでしょう。しかしそうでない方もいらっしゃることは知っておかれたほうがよいと思います。あなたが大学病院へ行かれて、いわゆる名医に当たる確率はそれほど高くありません。まれには、○○教授、あるいは××助教授と呼ばれている先生の中にも、確かに研究業績はすばらしいものがあるけれども、臨床はさっぱりだめという先生もいらっしゃるようです。「しかし、評判の悪い先生は自然と淘汰されるのではないのですか?」と思われるでしょう。でも実際は違います。大学病院の患者さんは、「大学病院だから」通院されている方が多く、その先生に診てもらいたいから来ている方はむしろ少ないのではないでしょうか。ですからある先生が少々評判が悪くてもその先生にかかる患者さんは減りません(たぶんがまんされているのだと思います)。したがって「患者数が減る」というフィードバックがかかりませんから、そういう先生には殆ど反省がないといっても過言ではありません(たぶん自分自身で気づいておられないのでしょう)。年輩の先生方の中には未だに「診てやっている」とばかりに高圧的な診療をされている方もあります。「患者さんはよく我慢して通っておられるなぁ」と思ったこともしばしばありました。

これはごく最近、実際に患者さんから聞いた話で、患者さんの誇張とか誤解も多少はあるとは思いますが、本当の話です。ある国立大学の神経内科の先生は、患者さんが診察室に入ってから、患者さんの顔を一度も見ずに診察を終わったそうです。その患者さんは、数日前からお腹が痛かったのに、とうとうそのことを言えませんでした。同じ日の夕方、藤原内科へ来られて、直ちに外科へ紹介され、手術を受けられました。また某公立大学の呼吸器内科の先生は、喘息患者さんの診察の際に、一度も聴診器を胸に当てないそうです。(喘息外来ではよくピークフローメーターという、呼吸機能を測定する器具を患者さんに持ってもらいますが、この先生はこのピークフローメーターの数値だけを頼りにお薬を処方されるそうです。その患者さんはその時風邪をひいて、咳と痰が多くなっていたのに、結局風邪薬はもらえなかったと言うことでした。聴診器を当てていれば、どれほど患者さんがしんどかったかがわかったはずなのに・・・ ) きっとこれは極端な例に違いない・・・と私は信じています。

その点開業医は自分の評判が命です。評判が悪ければ直接来院患者数に反映されます。したがって(一概には言えない面もありますが)、開業医の先生方は患者さんを大事にします。大学病院への紹介の場合も、信頼できる先生へ直接お手紙を書くことができますから、安心です。

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「血液検査とか心電図検査は、そんなにしょっちゅうやらないといけないんですか?」

   なかなか難しい問題です。病気の中には、頻回に血液検査を行い、経過を観察する必要のあるものもありますが(例えばコントロール不良の糖尿病など)、通常、落ち着いている方の場合、血液検査はそれほど頻回にやらなくてもいいはずです。心電図も症状のある狭心症などの場合をのぞき、それほど頻回に行う必要はありません。 せいぜい、2、3ヶ月に1回、普通は半年に1回程度で十分でしょう。

ただ現在の医療制度の一番の問題ですが、この「やらなくても大丈夫」という判断(これにはかなりの経験が必要で、しかも責任が伴うわけですが)には、まったく評価がされない(=お金が出ない)のです。現代は訴訟社会とも言われるくらい、医療界においても医事紛争は日常茶飯事になってきています。医師としても自分を守るため、病気を見落としたと言われないために、「やらなくてもいいかもしれない」検査を「一応」やっておこうという風潮があるのも事実です。しかも薬価差益が減少した中、医業収入の大きな部分を占めるのがこの検査料になります。そのような要素が絡み合って、残念ながら「検査漬け」になっているケースもあるようです。特に老人医療で受診されている方は、一部負担金500円(4月1日から530円になりますが)以外は負担がありませんから、検査を「受けさせられている」方もあるかもしれません。

藤原内科では、必要かつ最小限の検査を行うように心がけています。検査が必要な場合は、その理由を説明し、御本人に納得していただいてからでないと検査は行いません。負担の必要な方には、検査を行うことによってどのくらい負担が増えるかも説明しています。

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「藤原内科って電子カルテらしいけど、それ紙のカルテとどう違うの?」

なかなか簡単には説明できませんが、箇条書きにしてみると以下のような点が上げられます。

1. 無駄をなくして、診察にかける時間を多くとることができる。

2. きめ細かなチェックを行い、うっかりミスを減らすことができる。

3. 病状の説明に写真や、動画、音などいろいろなメディアを利用できる

4. 他医への情報交換が容易。(紹介状の作成にも威力を発揮。)

5. 隠れた情報を掘り起こすことができる。

(例:通院が必要なのに、しばらく来院していない患者さんのリストを作り、こちらから通院を促すことも可能。)

6. カルテの情報開示に向けても対応が可能。

他にもまだまだありますが、藤原内科では近く患者さん用の個人カルテの作成を検討しています。そのときこそ、この電子カルテによる情報管理能力がいかんなく発揮されることと思われます。どうぞお楽しみに。

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_「今度バイアグラってお医者さんからもらえるようになるって、本当?」

この点については、むしろ新聞や、週刊誌の方が詳しく報道しているので、あえてここでは詳しい解説はいたしません。ただ一部で言われているような、回春剤としての効果はあまり期待されない方がよいでしょう。しかしED(Electile Dysfunction:勃起不全)という病態は、我々内科医にとってもあまり耳慣れないものであったぐらいですので、そのような状態であっても、誰にも相談できずに悩んでおられた方は意外と多いかもしれません。

藤原内科ではこのような悩みをお持ちの方に対しても対応できるよう準備中です。但し興味半分での投薬希望に対しては断固としてお断りいたします。また原則としてご夫婦双方の希望が一致している場合にのみ処方いたします。悪用、転売等の防止のため、かなり厳しい服薬管理が要求されますので、その点もご了承下さい。

いかがだったでしょうか。ふだん疑問にっておられたことが少しでも納得していただけたでしょうか?これからもこのような企画を考えていきたいと思います。もしこんなことが知りたい、ここを教えてほしいと言うことがありましたら、どうぞご遠慮なくお申し出下さい。お待ちしております。

 

医療法人祥正会 藤原内科

院長 藤原 正隆