新聞社によるホームページ「弾圧」問題によせて


この問題に関して、当の新聞社の方も、コメントを発表され、 「圧力」を受けたとされるプロバイダーのコメントもそこに公開されました。 一部不買運動にまで発展しているこの問題ですが、 第三者として見る限りでは、色々な誤解をはらんでいることとは言え、 当初に思ったとおり、どこかプロバイダーの姿勢に問題を感じました。 この業界、現在も草創の段階であり、 このプロバイダー業者だけの問題ではないのですが、 そこには言論の自由とその責任をめぐる諸問題の縮図を見るような気がします。

まず、正当な取材活動の領域なのか、それとも、「圧力」「弾圧」と呼べるものなのかどうかと言うことに関しては、 新聞社にとっては、正当な取材活動でも、 プロバイダーにとっては、「圧力」と感じたようで、 プロバイダーが、利用者のアカウント停止の理由として、そのことを利用者に伝えた事実がうかがわれます。

新聞記者に限らず、我々一般市民にしたところで、何か掲載内容に、不審な点があれば、 主宰者に疑問を疑問を呈することがありますが、 当事者の方のコメントからは、今回はそれが主宰者への指摘ではなく、 いきなり主宰者を飛び越えてプロバイダーの方に、取材が行ったということが指摘されています。 そして、プロバイダーの方から、新聞社が、違法データを公開していると指摘しているので、 削除したという事後通知があったとのことですので、やはり手続き上、疑問を感じざるをないでしょう。

プロバイダーによれば、本人に連絡している時間がないほど、緊急の事態であり、 以前から、アダルト系ホームページや著作権無視のホームページなど「公序良俗に反する」内容のページはデータの削除、 脱会措置などをとっていたとのことで、約款通りの行為であるとのことです。 たしかに、約款にのっとって行われた正当な削除であるとも言えますが、 今回に限っていうならば、どこか行き過ぎであるという感想を抱いてしまいます。 というのも、数多くの法律において、事実上、裁判所の判例その他においても、 現状に適応するように、条文からはみ出た解釈や運用が許され、 今回問題となっている少年法にしても、それを支持するしないは別として、 あきらかに、条文通りに厳密に運用されているとはいえず、 有無をいわせず、データを削除してしまうような事例とはとうてい思えないからです。 もっとも、これは私が個人的に抱いた感想に過ぎず、 プロバイダーはこれを公序良俗に反する違法行為と認定したという解釈の相違に過ぎないのかもしれません。 私自身も[ハゲ頭であるという秘密は暴露されてもやむを得ないのか?]で考察するように、 言論の自由が、あらゆることに優先するとは思えませんし、時と場合によっては、 データの削除もやむを得ない場合があるとは思っていますが、 それが行き過ぎれば、プロバイダーによる言論弾圧が頻発する事態が発生しかねません。 そうなれば、単なる解釈の相違というだけでは済まされない話となってきます。

私の加入しているプロバイダー(kyoto-inet)にも、違法行為や公序良俗に反する行為を禁止する約款が存在しているように思うのですが、 その運用のされ方によっては、「違法行為」「公序良俗」の名のもとに、 プロバイダーや出資団体(京都市や財界など)が快く持っていないページが弾圧を受ける危険をはらんでいます。 kyoto-inetでは、暴力団関係のページをめぐってトラブルがあったようですが、 私など、つい最近まで、こういう問題があったことすら知らないでおりました。 内容によっては、削除されてもやむを得ない場合もあるとは思いつつも、 ただ、暴力団関係のページであるというだけで、このページが閉鎖に追い込まれたのであるのならば、 かつての、共産主義者、反戦主義者への弾圧とたいして変わらない弾圧であるといえましょう。 犯罪行為それ自体や、直接的な他者への危害が明白な場合は、 取り締まりもやむをえない場合もありますが、 「公序良俗」「公共の福祉」というの名の下に、 特定の団体や個人が排除されるのであれば、 ここにはとうてい言論の自由が保障されているとは言えません。 プロバイダー事務局と加入者との関係において、 加入者が和解の上、退会するのであれば問題はありませんが、 「公序良俗」を錦の御旗にして、有無を言わせず、ページを削除し、一方的にID停止などの措置がとられるようだと、 そんなプロバイダーに、安心してホームページを開設することが出来なくなります。 このように見れば、「公序良俗に反する」という約款の条文は、 あらゆる言論弾圧に利用される可能性を含むものであり、 もはや、約款通りであるから、やむを得ないという段階ではなくなってくるように思われます。


当事者の方々がともにコメントを発表されていますので、参考までに。

新聞社+プロバイダーのコメント

掲示板を削除された方のホームページ


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