§1 はじめに

この章は省略なく、書物とほぼ同じ 目次へ

[目的][疑問を持つ若者][概要][実験][投稿の結果]
[効果][お願い][出所の明示][基準書]

目的] 相対論を理解できず、筆者は長年苦しんだ。
有能な人だけが理解できるといわれる。

後年 短い期間に多くの疑問(§2)を自覚した。
同時に対案=代案(§3)をもった。
代案は、相対論のようにスマートでない、とくに般相論において。

この書物の主たる目的は、疑問の訴え(§2)である。
投稿論文誌の上でその批判を仰ぐ道の、ないことがわかったので、書物とした 。

参考資料として、代案(§3−8,付録)を提出する。
対案は不完全なものであるが、
疑問の訴えの理解の助けとなれば、と考える。

次のように代案を見てほしい。
1.「相対論と違う仮定のセットがある。
それは、
1)相対論のもつ疑問点の全てをもたない、
2)仮定に異議あるが、矛盾はなさそうである、
3)相対論が説明できる古い実験を説明できる、
4)光速度の異方性などを予言する、
5)この予言は、
a) メーザー実験と矛盾しない、
b) ジェット機で運ばれた原始時計の実験を、相対論よりよく説明できる、
c) レーザー実験で原因不明である現象を説明する;付録。
2.「相対論でも、この代案でもない、もっと適切な理論がありそうだ」と。

筆者は、疑問点(§2)にこだわるが、代案(§3−8,付録)にこだわらな い。
よりよい対案を希望する。

疑問をもつ若者] 大学図書館所蔵の相対論に関する多数の書物を拝見した。
書込みがあった。
この書物は、基準書(200行あと参照)に並ぶ信用をわが国でもつものであ る。

書込みは、ローレンツ変換Ltfが、ガリレイ変換に収束する、証明の部分に あった。
書物はLtfを、
x’ = γ(−βCt),
Ct’=γ(Ct−β),
と記している。

しかし証明のために、
x’= γ(vt),
’= γ(−(2)),
に書きなおし、?」と断っている。
つぎに、→∞,により、
ガリレイ変換: x’= vt’=
になるとしている。

原文は変換行列を用い、行列の中で極限を計算している。
このため、問題に気がつかない人がおられるかもしれない。
行列を用いることなく、上記のように記述した書物も多い。
この論法の問題点は、 §2の疑問8で説明 される:
が独立であるかどうか。

さて、書込み「に・・・?」を見て、「昔の自分と同じ悩みを持つ人(恐らく若者)が居られるな」、と 思った。
筆者は悩みと劣等感を克服して「相対論は疑問に満ちている」、と考えるよう に、既になっていた。
彼は次のいずれを、とられたであろうか:
1.ガリレイ変換に収束することを、ついに体得した、
2.体得できないまま転向した、
3.教官にきらわれて脱落した、
4.物理学の興味を失った、
5.悩みつづけて、進歩しない。


概 要] §2はアインシュタインの相対論の疑問であり、本書の主要部である。
それは、

慣性系の決定、 特相論、 般相論、 なる三つの疑問である。

{慣性系の問題点}がまず述べられる。
ニュートン力学の慣性系の、定義・慣性系の決定方法は、明瞭でない。
しかし力学の範囲では、水星近日点の直前までは、さしたる問題がない。
それは、絶対静止座標系(絶対系)が実在すると仮定し、
それを慣性系の代用とするからである。

絶対系にも問題点がある。
慣性系の不明瞭さを残したまま、相対論へ飛躍するので、多くの問題点が現れ る。

{時計のパラドックス}は、特相論および般相論に分けて述べられる。

{固有時間}の慣性系における定義に疑問はない。
慣性系をこえた、その利用法が疑問である。
これは般相論で述べられる。

{著名な書物}の内なる矛盾点は多い。
しかしそれは書物に固有のことであるから、とりあげられていない。
相対論に固有の疑問点が検討される。

{疑問の根源}を分類すれば、
慣性系の不明瞭・特殊相対性原理・等価原理・二論混用・その他、 となる。
根源は多い。
二論混用” とは、”対立説を臨時に使い、その矛盾に言及しないこと”である。
科学では、二論混用を通常 避ける。

以上で主要部がおわる。


§3以降は、相対論の対案(代案)である。
参考資料のつもりである。
まだ不完全な理論である。
とくに般相論の対案(§8)が美的でない。
しかし§2(疑問)を強化する目的で、§3・§8が提案される。
§3を強化する目的で、§4−7が提案される。

§3で、ローレンツ変換Ltfに代る新しい変換が、仮定を使って導かれる。
それは、局所本質空間(LES)なる考えのもとに、導かれる:
それを、LES論とよぶ。
LES論の本質は局所時間であることがやがてわかる。
時間は時刻でなく、時刻の経過量(微分)である。


§4は、LESを具体的に決定する方法の案(仮定)である。
それによれば、慣性系・特相論の疑問点、をLES論は持たない。


§5,6は、非常に遠方にある質量の影響の検討である。
質量の影響の伝播速度が無限大の場合が§5で、有限の場合が§6である。


§8は、般相論に相当し、多くの仮定が用いられる。
LES論は般相論の疑問点を持たない。


実 験.疑問の多い相対論が、実験とよく一致する。
この理由の解明は遅々としている。
二論混用の効果である、というのは一つのアイディアである。

.特相論が説明できる古い実験を、LES論もまた説明できる。
このうち、フィゾウの実験(フレネルの式)は§7である。

新しい実験でLES論が未だ説明していないものがある。
ここで新しい実験とは、原子時計・メーザ・レーザ・電子的データ処理、
の高度な発達によるものである。
これはおよそ四半世紀前からおきている:
近年の、マイケルソン−モーレイ型の実験・ケネディ−ソーンダイク型の実験 ・ドップラ効果の実験、など。

このうち、
1)飛行機で運ばれる原子時計の実験を、相対論に比べ一層よく、LES論が説 明する。
マイ・モー型の実験において、
2)メーザによる実験は両者で差がない、
3)レーザによる実験における、相対論が説明できない現象を、LES論が説明 できる。
この3実験は、§4・付録にて述べられる。

これらは次のことに着目した説明である。
LES論の予言によれば、光速度測定装置が、地表にたとえ固定されていても、
地球の自転に基づく光速度の異方性が、
わずかながら現れる。

一方、
4)ケネ・ソン型の実験、 5)ドップラ効果の実験、の近年のものは、解明 が進んでいない。
この新しい2実験の仕組は、筆者の理解力を超えた複雑なものであることが、
その原因の一つである。

1)2)3)では、その発表者の結論を見直すことによって、
意外なことがわかったので、
4)5)にも期待している。

.般相論が説明できる実験を、LES論もまた説明できる:§8.


投稿の結果] 筆者の意見が公共誌に、掲載される可能性はなさそうである。
その根拠は次である。
Nature. 「この問題を扱いません」(1993年)。
Science.「扱いません。誤りがあるからではありませんが」(199 4)。

PhysicalReview(94−95). .編集長 拒絶(理由なし)。

.控訴1審 「却下。 理由:
§2の疑問9の時間膨張因子の、Eq(11):
燥普i1−β2),
の間違いが、矛盾の原因です。 正しい式:
燥普i1−β2)/(1−β),
によれば、矛盾が起きません * 。

他の疑問点は推して知るべし。
数万人の相対論の専門家が100年近く、
このような見落しをするかどうか、一考されますよう。
エネルギの無駄遣いです」。

.異議申立. 「あなたの式はドップラ効果の式です。
時間膨張因子を私は論じています」。
.なぜか2審の主任から、「ClosedAlready」(理由なし)。

.最終審は、8ヶ月かけて、「却下」(理由なし)。
.編集長に再び相談したところ、
「手続きが正しいので、やむをえません」。

PhysicsLetters. 「時宜をえず」(’95)。


2種類目の投稿.
信頼をえている過去の著名な実験が、LES論を証明している、ことに気付いた :付録。

PhysicalReview. 拒絶(理由なし)(’96)。
PhysicsLetters. 拒絶(理由なし)(’96)。


* 彼の説明.記号は§2疑問9と同じ。
無次元速度βabβbcの方向が同じ場合だけが示された。
ゆえにベクトル記号を省略。
彼の式: ab燥普i1−βab2)/(1−βab),
bc燥普i1−βbc2)/(1−βbc),
同様に ac燥普i1−βac2)/(1−βac).

3種のには、加成則が成立する : abbcbc.**.
ゆえに、疑問9は間違い。

彼の説明は間違いである。筆者の意見は、 §2疑問9 にある。

参考. 1.**に次なる関係が使われている。
βac=(βab+βbc)/(1+βabβbc).
2.**は、速度の方向が同じ場合だけに、成立する。

効 果] は何かと。ご批判を頂くことがある:

「相対論が間違いであれば、どのような支障があるのか。
一方、相対論がなければ、大変なことになる」、

「後退をもたらす学問であってはならない」、

「相対論の改良・拡張・包含を目指すべきだ」、

「現下の研究動向と関係していない」。

以上は難題であるが、反論:

「誤謬. 科学の発達は、正しいことの積重ねであった。
相対論がもし間違いであれば、物理学はいずれ壁に突当たるのでないか。
二論混用による姑息な対処に、限界があるのでないか」、

「改良. 相対論に改良の余地はないようである」、

「予言. 今回の対案は不完全なものである。しかし、
”地表に相対的な光速度は異方性”、
”人工衛星内の光速度は異方性”、
なる予言は、
1)具体的である、 2)実測が現在の技術で可能」。

このように、疑問と対案の一部は、検証可能である。

お願い] 疑問点に、間違ったものがあるかもしれない。
「一つでも間違いであれば、全てがまちがいである」(Phy.Rev.1審 )、
と即断なさらないことを希望する。
解明しにくい疑問点が残っていれば、§2を読続けてほしい。

用語の誤りについても、寛容にしてほしい。

論理的な学問の学習において、不賛成な個所にさしかかった時、
それを黙認し応用して、前進することを、
筆者は不得意とするものである。
この結果、相対論の学習は苦痛であり、理解も不十分である、
ことを告白する。

出所の明示.疑問点の所説の紹介が少ない。理由:
1.疑問点がまとめて記述されている文献を、筆者が入手していない。
2.所説を収集する力をもたない。
3.筆者が学習した記憶のある疑問点は、原則として記述されていない * 。

ぜひとも紹介したいが出所不明、という先人の説を、現在 思いつかない。
出所を記載すべきところを、失念している記事があるに違いない。
ご忠告を希望します。

.相対論肯定の所説の、古い文献を見出すことが、できなかった。

§2において多くの説を批判するが、
説の出所が、書物に明示されていることは希である。

* 閉鎖光路(リングレーザ ジャイロなど)において、
「実際と特相論が、矛盾しているのでないか」、
「二論混用でないか」、
と思うが、確信を持つに至っていない。

不確信の理由:
閉鎖曲線のもつ数学的特異性を、現象から分離して論じる( ** )力を、
筆者は持たない。

しかし上記の疑問に触れた書物が、出版されたようであるから、
筆者は記載を避けた。

** 数学的事実と、物理的実在(現象)の同一視が、特相論に見られる。
これは危険であり、筆者は避ける:§2疑問4で触れられる。

基準書] 執筆にあたり、下記2つの書物を、相対論の基準とした。
優れていると言われるものが、他にもあるが、これを採りあげる理由は:
1.日本語。
2.不可解な点があるが、矛盾が比較的 少ない。
このおかげで、学習の継続を、少しはできた。

3.等価原理から、”第3指導原理”を分離することを、
基準書−2が勇敢に試みている;§2疑問2,13.
これは筆者の理解を、少し助けた。

4.この2冊を推薦している書物が、日本に多い。
5.著者は、般相論の著名な、今や数少ない研究者である。
外国で名声のある相対論の翻訳をしている。
6.相対論の学習に苦しむ読者に対して、基準書は大胆な警告を出している。
筆者も遠慮なく批判できる。

基準書−1.内山竜雄:相対性理論,岩波(’77)。
基準書−2.内山竜雄:相対性理論入門,岩波新書(’78)。

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