北海道

【道東MTB走行記】  May/'93
『やって来たぞ 北海道』

北海道初上陸 MTBによる放浪記
釧路〜阿寒〜ウトロ〜根室

【道東MTB走行記】
『やって来たぞ 北海道』

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  ゴールデンウィークを利用して、道東周辺をMTBでツーリングを行った。オホーツク海には28年ぶりに流氷が着岸しており、さらに夜には氷点下に気温が下がり、峠では降雪と5月とは思えない気候であった。また殺伐とした都会では味わえない優しさにふれることができた。心配していたMTBのトラブルもバンク2回ですみ、ボロMTBにしては上出来であった。

 

●29/Apr/'93
 MTBを輪行袋に収納し、寝台特急『日本海』で京都を出発する。青函トンネル内ではLEDの表示装置がアレイ状に並べられ、タンチョウの羽ばたきを表示していた。

●30/Apr/'93
 函館から特急『北斗』、南千歳で『おおぞら』に乗り換え釧路へ。北海道ワイド周遊券なので特急の普通座席は乗り放題である。おまけに5月は2割引となる。釧路はすでに日が暮れており、急いでMTBを組立て、幕営する所はないかと市内の公園を探す。鶴ヶ岱公園で適当な場所を物色していると散歩中の人と出合う。アパートの一室を提供してくれるとの事。夜も更けていたのでついその言葉に甘えてしまう。そのアパートは取り壊しが決まっており、住人はその須見さん一人だった。後でイギリス人のガールフレンドが来て、酒を飲み会談。故郷のスコットランドと道東の風景はよく似ているらしい。須見さんの『殆どのことはやり尽くしたから、いつ死んでもかまわない』という言葉はある意味では羨ましかった。

釧路駅須見さん

●1/May/'93
 部屋に置き手紙を残し、6時30分発。釧路湿原の東側を通る国道391号を北上する。途中細岡展望台、塘路展望台に寄り釧路湿原を望む。釧路湿原を左に見ながら標茶を通り、この後はほとんど直線の道路をひたすら進む。国道わきの所々に牧草ロールとサイロという典型的な牧場があり、この風景を見て『北海道へ来たんだなあ』としみじみ思う。弟子屈で昼食をとり、阿寒湖目指し峠越えをおこなう。この峠はひたすら長く、また途中から雨、みぞれ、雪が降る。積雪した雄阿寒岳を右に見る頃には下りとなる。やがてまだ氷がはっている阿寒湖が見えはじめ、阿寒湖畔温泉街に着く。国道には黄色地に鹿のマークの入った標識があちこちに立っており、実際多くのエソジカがつぶらな瞳で私を凝視していた。

 阿寒湖畔キャンプ場は温泉街から少し離れたアイヌコタン(アイヌ村)の近くにある。キャンプ場はまだ開設されてなく無料で泊まれた。サイトは所々雪が残っており、また国道側にあるが車の音はそれほど気にはならない。ときどきアイヌコタンより楽器『ムックリ』の音色である「ビョ〜ン、ビョ〜ン」が聞こえる。雄阿寒岳、雌阿寒岳登山口が近くにあるため、ベースキャンプ地として利用価値が高い。隣のテントのチャリダーから『オンネトーに温泉があり入れる』と聞いていたので時間があれば入浴しようと思う。

●2/May/'93
雄阿寒岳
 快晴であるが、放射冷却のためか干して置いたタオルが凍るほど気温は低い。テントはそのままに、秘境といわれているオンネトー(大きな沼)に向かう。しかし膝に少し痛みがあるのでペースがあがらない。やっとの思いでオンネトーへ。針葉樹林帯の中、阿寒富士、雌阿寒岳をバックに氷の張った湖は、とても神秘的である。思ったより時間がかかり後の行程を考えて温泉はパス。キャンプ場に戻り、阿寒湖を見物した後、屈斜路湖に向かう。昨日とは違い天候がよく膝の調子も戻ったので、峠の上りは比較的楽であった。

 屈斜路糊のキャンプ場は数多くあるが、今回は和琴キャンプ場を選んだ。この選択は大正解で、他のキャンプ場に比べて観光客が少なく国道から少し離れており静かである。また近くに露天温泉もある。このキャンプ場もまだ開設されていなく、エゾリス、アカゲラなどの野生動物を見ることができる。近くの店に食料の買い出しに行くと『こんな寒い日にテント張っているの。毛布あるから貸してあげようか』と心配してくださり、おまけに商売ものの名物芋餅を分けていただいた。近くの温泉に入浴した後、初老の夫婦に声をかけられた。家が近いので泊まりに来ないかと言うことだった。おじいさんは車に私のMTBを積み込もうとしている。もうテントも張っているということで丁寧にお断りした。しかし、車で一時間はすぐ近くかもしれないが、チャリでは一日の距離に匹敵する。北海道は親切な人が多いな〜。

●3/May/'93
 朝から激しい雨である。天気予報では明日には雨があがるらしいため、停滞する。テント内で地図を見たり本を読んだりして時間をつぶす。

●4/May/'93
 この日も予想に反して雨は止まない。この日も移動は中止し、小降りになった頃を見計らって神秘の湖、摩周湖に向かう。摩周湖はカルデラ湖であり、そのためかなりの急坂を上らなくてならない。必死でべタリングしている横を車が軽々とテイクオーバーしていくのは腹立たしいが、若い女の子が手を振って応援してくれるのがうれしい。第3展望台では霧のために湖面が見えない。第1展望台に移動して再度挑戦すると運良く霧が晴れた。まさにカムイ・ト(神の湖)というのにふさわしい湖である。湖の東には摩周岳カムイ・ヌプリ(神の山)がそびえる。この神の領域がいつまで開発という人の手から逃れられる事がきるのだろうか。

 帰りは同じ往路を戻る時、上りの途中でぶち抜いた北大サイクリング部の連中にあった。下りはかなり車が渋滞していたので、渋滞が解消するまで女性が乗っている車にいっしょに手を振って遊んでいた。車が空いた後快適なダウンヒルを楽しむ。

●5/May/'93
流氷
 雨は上がり、気温も高い。川湯温泉を経由し、野上峠を越えオホーツク海に面する斜里へ向かう。オホーツク海には季節外れの流氷が接岸しており浜風がとても冷たい。港に行き流氷をさわる。ラジオでは28年ぶりの出来事だと放送していた。日頃の行いが良い為、いい事が起こるのだ。

 斜里から知床のウトロまでオホーツク海の海岸沿いを走ることになる。流氷と知床半島の山々を見ながら走るのは気分爽快であるが、風が強くなかなか進まない。正面から風を受けると知床半島の付根あたりでは、1時間で8kmしか進んでいない。これまた必死でぺダリングし何とか予定どおりウトロに着いた、とたんに前タイヤがバンク。はじめてのマシントラブルである。チューブの穴の場所を探すのに手間取っていると、幼稚園生が興味深く見ていた。そのうち私に自分の持っているあめ玉をくれた。チャンスとばかりにその子の家からバケツを貸してもらい、半時間で修理完了。

夕日 キャンプ地である国設知床野営場は、観光ホテルの立ち並ぶ高台の横の林にある。始め場所がわからずホテル街の観光地図を見ていると、外国人が声をかけてきた。丁寧な日本語でキャンプ場の場所を教えてくれた。キャンプ場からオホーツク海に沈む夕日はとてもきれいに見えた。このキャンプ場も開設されていなく、無料となる。キャンプ場は3テントしか幕営してなかった。近くに露天温泉はなく、近くの民宿で温泉に入れてもらう。そこには先ほどの外国人(イギリス人)が入っており、『釧路湿原をMTBで走るため日本に来た』といっていた。

 本来は知床横断道を経て根室まで行く予定であったが、例年にない大雪で今年はまだ開通していない。そのため予定を変更し、斜里からJR釧網線、根室線を経て根室まで戻ることにした。

●6/May/'93
 キャンプ場を出ようとした時、またもや前タイヤがパンク。斜里での待ち合わせ時間に余裕がないため、すこし焦る。斜里駅でMTBを輪行袋に詰め列車に乗り込む。釧網線は釧路湿原の真ん中を縦断するため、窓からの風景は格別である。釧路で乗換え根室に向かう。根室市内にはキャンプ場がないため(実は根室市キャンプ場があった)市内にある鳴海公図で許可を得て幕営する。とうぜん無料だ。

●7/May/'93
 この日の予定は日本最東端(北方領土はのぞく)の納沙布岬を往復するだけなので、気分的に余裕がある。根室半島の海岸線を反時計回りに進む。納沙布岬からはすぐそこに歯舞諸島が肉眼で見える。生まれてはじめて国境(暫定)を見る。物理的には見えないけど。天候が少し悪かったため、望遠鏡を用いても国後島は見えない。この後4時間ほどねばっていると視界が良くなり、肉眼でも国後島、知床半島が見えた。花咲を経由し根室へ戻る。JRの夜行特急『おおぞら』で札幌へ。

●8/May/'93
 MTBで札幌市内を観光。北大の大きさに驚くばかり。その後函館まで行き今年2度目の桜を楽しみ、そこから寝台特急『日本海』で京都へ。

 今回のMTBツーリングは、地元の人々やツーリング仲間と知り合うことがでさて大変楽しかった。時間的余裕がなく山行ができなかったのが残念だった。ここでお世話になった人々に厚くお礼を申し上げます。

 

1/May/'93

2/May/'93

4/May/'93

釧路

6:30発

阿寒湖畔キャンプ場

5:50発

屈斜路湖

8:10発

 

4:15

 

1:40

 

2:30

弟子屈

 

オンネトー

 

摩周湖

 

 

3:45

 

1:10

 

1:40

阿寒湖畔キャンプ場

16:45着

阿寒湖

 

屈斜路湖

15:00着

 

 

 

3:40

 

 

 

 

屈斜路湖

16:20着

 

 

5/May/'93

6/May/'93

7/May/'93

屈斜路湖

7:30発

ウトロ

6:50発

根室

7:00発

 

3:40

 

2:40

 

1:30

斜里

 

斜里

9:30着

納沙布岬

13:00発

 

3:00

 

 

 

1:30

ウトロ

16:00着

 

 

根室

8:15着

 

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