【北海道山行記】
『北海道 雨と共に去りぬ』
7月27日から8月7日まで北海道の六座を目標に北海道遠征をおこなった。山行はすべて日帰りで移動手段として車を用いた。メンバーの中でポンチな行動を起こす人のため、非常に迷惑なことが起こった山行であり、雨にたたられ続けた山行でもありました。
メンバー:ohsumi、辻、安倍、山脇、(中西)
●27/Jul/'93 出発
20時京都発。舞鶴からフェリーに乗る。フェリーは大型であるため台風の影響を受けず、あまり揺れることはなかった。すでに二等席は混んでおり場所が確保できなかったが、いちゃもんをつけて特別室を開放してもらう。文句は言ってみるものだ。
●29/Jul/'93 後方羊蹄山登山
フェリー内で二泊し朝6時、小樽港に着く。天気は曇、ルート5を南下し羊蹄山自然公園キャンプ場(@\200)に。このキャンプ場はオートキャンピングが可能で、しかも広大である。
後方羊蹄山は北海道道南地方にぽっかり浮かぶ縮小版富士山、といった形容が当てはまる。別名『蝦夷富士』、アイヌ語で『マッカリヌプリ』、その後方羊蹄山に四道ある内のひとつ、真狩登山道から山頂を目指した。
キャンプ場の奥に登山口があり、車を乗り入れ準備にはいる。ここで合流することになっている中西さんを待って出発。この辺りは植林地でトドマツが生い茂り、緩やかな登りである。二合目、三合目をすぎしばらくすると樹林帯が切れ、じゃがいも畑が広がる様子が見える。4合目で休憩、後からくる中西さんを待つ。雨足が強くなりだし、各自レインスーツを着用する。しかし『レインスーツリザーブ友の会』会長、副会長であるohsumiと辻くんは、『究極の雨具』であるカサをさしつつ山頂を目指すのであった。
まわりは、ガスと生い茂った樹木とで展望はまったくない。緩やかな登りも傾斜が大きくなり、やがてつづら折れとなってくる。八合目を過ぎた頃から森林限界となり、急に風雨が強くなる。イワギキョウ、イワブクロが咲き乱れるガレ場をトラバース気味に登る。イワブクロの群生は土壌の影響か、株ごとに微妙に色が違っている。やがて羊蹄山避難小屋への分岐が現れ、昼食をとるため小屋へ向かう。小屋には管理人さんが常駐しておられ、他に人はおらず我々の貸し切りである。休憩は有料(\@200円)である。フェリー内で食べそびれたカップラーメンを食べ、中西さんが到着するまで、小屋ノートやアルバムを見たりして暇をつぶす。
出発しようとする時、小屋の中に設置されている粘着式ネズミとりにポンチな人がひっかかってしまった。はっきり言って、きょうびのネズミでさえなかなかひっかからない。我々は哺乳類の最高峰にいる人間である。しかもその人は片足にくっついたネズミとりを反対側の足で押さえつけて取ろうとして、両方の足共くっついてしまうという大失態を演じた。私はこの姿を見て同じ哺乳類として非常に恥ずかしかった。本人曰く『ネズミ取りにひっかかった時のネズミの焦る気持ちがよくわかった』。
山頂へは、火口周りを歩かなくてはならないため強風にさらされる。『究極の雨具』であるカサも強風には弱い。したがって『至高の雨具』であるゴアテックスレインスーツを泣く泣く身につける。分岐をすぎガスで視界の悪い中を30分ほど進むと、火口壁にでる。ガスっていなければ、火口が見えるはずだ。火口を反時計周りに進むと、やがて最高地点(1898m)をすぎ、三角点のあるピーク(1893m)に着く。雨と風が強いため長居することなく、証拠写真を撮り早々にもとのコースを戻る。八合目でレインスーツを脱ぎすて、またカサの出番となる。このあとは登山口まで一気に戻る。以後の山行を象徴した、道内最初の山行だった。
疲れた体を癒すべく、幕営後、洞爺湖温泉へ向かう。ここでまた例のポンチさんが温泉に腕時計を忘れてしまい、風呂上がりの一杯がかなり遅れる事となった。
●30/Jul/'93 移動日
翌日、曇、今日は明日の旭岳登山のための移動日である。中西さんと別れ、留寿都から富良野へ向かう。ここでまたまたポンチさんが、郵便局で買った絵はがきを、買った場所に忘れてきてしまった。全くポンチな人である。富良野駅で偶然に中西さんを発見し、今が旬のラベンダーを見ようということでいっしょにラベンダー園に向かう。雨が降り出しそうな天候だったため、ラベンダーの紫色の演色性が悪くガイド紙の写真に比べると一段劣って見える。
今日のキャンプ場は特に決めていなかったため、辻くんお気に入りの中富良野森林公園キャンプ場(無料)とする。キャンプ場はすでに満員であり、幕営場所を確保するのに苦労した。風呂は敷地内の保養センターでラベンダー湯に入れ、湯上がりの後の豪華なジンギスカン&ビールにより幸せ気分に満たされた。
●31/Jul/'93 旭岳登山断念
小雨模様である。中西さんと別れ、旭岳温泉に向かう。駐車場で着替え、ロープーウェイ駅に向かうと、なんと直前で強風のため運行中止になる。終着駅である姿見駅での風速が秒速40m近くあるらしい。天候、山の優先順位、移動時間の考慮の結果、旭岳はパスして次のトムラウシ山に賭けることにする。富良野まで引き返し、狩勝峠を越え、途中で舗装道路が切れた終点がトムラウシ自然休養林野営場(@\250)である。雨が降っていたため、屋根がある水場に無理矢理テントを張る。ここはまさに秘境と言えるキャンプ場である。いちばん入浴したかったトムラウシ温泉(東大雪荘\@220)に入ることができて大満足。ここの女湯と男湯の仕切は低く、見ようと思えばかなり見えてしまうのだ。ひなびたこの温泉も来年には新しい建屋に変わるらしい。雨は相変わらず降り続いている。
●1/Aug/'93 トムラウシ山断念
翌日みんなの願いも届かず雨である。天気予報では大雨注意報がでており、また行動時間も13時間と長いため、トムラウシ山も断念する。気を取り直し再びトムラウシ温泉に入浴するが、ここでもポンチさんが4人しかいないのに8人分の入浴券を買ってしまう。
入浴後、神秘の湖オンネトーに向かう。激しい雨にうたれながら激走するチャリダーの人に同情しながら、車の機動力に感謝する。オンネトーに着いた頃には、雨雲を追い越していたため雨は止み、時間的余裕もあったため、摩周湖、多和平をまわる。この時間的余裕で進んだ距離が、5月にMTBで来た時の一日の行程と等しい。
オンネトーにもどりオンネトー国設野営場(@\250)に幕営した後、5月は雪のため入ることができなかった『湯の滝』に行く。湯の滝は滝の上部が温泉になっている混浴の露天風呂(Aug/'96より入浴禁止)
で、はっきり言ってぬるい。女性陣も水着で一緒にはいる。あとで水着を着た大学のサイクリング部のおねーさん達が入ってきて満員状態。その中の一人は水着がないのか、下はサイクルパンツで胸をタオルで巻いて隠した姿で入ってきた。
●2/Aug/'93 雌阿寒岳、阿寒富士登山
翌2日、予想に反して快晴である。テントはそのままにし、雌阿寒岳、阿寒富士をめざす。しかし、途中で辻くんがリタイヤ。いままでほとんど彼がドライバーをしていたため、疲れがたまっていたのだろう。樹林帯をしばらく進むと、火山帯特有のガレ場が出てくる。雌阿寒岳は活火山で今でも噴煙をあげており、硫黄のにおいが鼻につく。火口を左に見ながら登っていく。火口にはいくつかのカルデラ湖があり、それぞれ違う色をおびている。頂上からは雄阿寒岳が見え、名前通り雄阿寒岳の方が急峻な山容をなしている。
阿寒富士は富士山のミニチュア版で、こんなところ登れるのか思う程の急斜面を、ざらざら崩しながら直登する。頂上からオンネトー方面の景色は緑一面の樹林帯で、その中でコバルトブルーに輝くオンネトーがすばらしい。往路と同じルートを戻りキャンプ場に着いたときには、辻くんが睡眠不足を解消し復活していた。またオンネトーは見る角度により色彩が変わる神秘的な湖だ。ずっと眺めていたかったが、テントを撤収し知床めざして出発。羅臼岳登山口でもある知床国立公園羅臼温泉野営場(無料)へ向かう。キャンプ場で中西さんと合流する。キャンプ場は込み合っており、あまりいい場所には張ることができなかった。中富良野と同じく無料のキャンプ場は非常に込んでいる。その後、近くにある露天風呂の『熊の湯』(無料)に入りにいく。ここは湯船が男女に分かれており更衣室もある。
●3/Aug/'93 羅臼岳登山
翌日、ガスっている。羅臼岳への途中にある泊場付近に雪が残っており、ガスっていると下降路がわからなくなるという注意書きがあったため、急遽予定を変更しもう一つの登山口である岩尾別から登ることにする。中西さんは羅臼岳経由硫黄岳まで縦走し、下ることはないため、羅臼口から登ることにされた。知床横断道路を進み、知床峠で休憩。上部はガスっているが、羅臼岳がよく見える。岩尾別では熊出没注意の看板に脅されながら、快調にとばす。途中の極楽平からガスは晴れる。雪渓を上りつめると広い羅臼平となる。かなりハイペースでとばしたためシャリばて気味だったので、ここで昼食は貪り食う様にたいらげた。ここから羅臼岳は緑のハイマツ帯にそびえる岩稜の様に見え、実際にも頂上付近は大きな岩が幾重にも重なっていた。ガスは高度1000m以上にはなく、羅臼岳頂上からは、国後島の爺爺岳、ルルイ岳の上部が見えた。しばらく時間を忘れ頂上からの眺めを楽しむ。
途中何回もシーバーで中西さんと交信を試みたが、まったく応答がない。特に問題はないだろうとこの事は忘れる事にする。往路と同じルートで岩尾別に下り、男性陣だけ岩尾別温泉の露天風呂(無料)に入り、その後カムイワッカへ向かう。カムイワッカの下部露天風呂に入り、ウトロにある国設知床野営場(@\250)で幕営。この後ウトロ温泉(知床グランドホテル@\500)に入りに行く。
●4/Aug/'93 移動
翌日、曇。朝に気付いたのだが、このキャンプ場はなんと墓場の横にあり、また早朝からハシブトカラスのやりたい放題であった。明日山脇さんが飛行機で帰るため、きょうはできるだけ千歳に近づかなければならない。散策しているときに偶然見つけた川湯温泉(@\100)に入り、池田を経由し、日勝峠を越え、支笏湖湖畔のポロピナイキャンプ場(@\250)に着く。このキャンプ場は千歳等の都会に近いため、ドライブに来る連中が多く騒々しい。今日がみんなでとる最後の夕食となるので、豪華なジンギスカンである。
●5/Aug/'93 帰京
翌日、晴れ。支笏湖温泉(@\1000)にはいった後、山脇さんを新千歳空港までおくり、その後中西さんと待ち合わせている札幌駅へ。安倍さんは中西さんと利尻へ行くためここでお別れである。またここでオンネトーであったサイクリング部のねーちゃんに再会し、以外と世間は狭いものだと感心する。小樽に戻り、フェリーで敦賀へ、さらに京都へ向かう。
今回の山行はあまり天気に恵まれなかった。まるで低気圧が我々に張り付いている様だとうまい表現をした人がいた。しかし、天候が良くても計画どうり六座を登頂するのは難しかったと思われる。特にトムラウシ山は行程が長いため、翌日の雌阿寒岳、阿寒富士は移動のためパスしていたことだろう。また計画どうりいかなかったために、オンネトー湯の滝で目の保養ができたと言える。
29/Jul/'93
|
2/Aug/'93
|
3/Aug/'93
|
真狩登山口
|
10:30発
|
オンネトー
|
6:35発
|
岩尾別登山口
|
8:45発
|
|
2:30
|
|
1:30
|
|
2:00
|
避難小屋
|
14:30発
|
雌阿寒岳
|
|
羅臼平
|
11:00着
|
|
0:55
|
|
0:45
|
|
0:35
|
山頂
|
|
阿寒富士
|
|
羅臼岳
|
12:25着
|
|
2:40
|
|
1:00
|
|
1:50
|
真狩登山口
|
18:10着
|
オンネトー
|
11:00着
|
岩尾別登山口
|
14:00着
|
|