・・・エルジェベート橋を渡ったところにあるその温泉は 曜日毎に男性専用、女性専用の日に 別れている。 今日は男性専用の日でした(もちろん!!)。チケットを 購入して近くのおじさん達にここはホモが多いから気を つけろという冷やかしのような忠告をされる。さほど気 にすることなく、いざ入場。シャワーを浴びるように 言われそのとおりにする。大きな円形の風呂には若い 坊主の男から禿げおやじ、白髪のじいさんまでたくさん いる。彼等は私のような東洋人が珍しいからじろじろ こっちを見ている。そんなことには慣れっこの私は なんとも思わなかったが、ちょうどその時すごい光景が 目に飛び込んできた。風呂のへりにネオナチのような いかついひげづらの男が、髪は黒く長いソバージュで、 横顔からのぞく鼻はスラリと高く、そしてその肩は なで肩の女性と熱く抱き合い、舌をからめディープな キスを交わしている。なぜ?女性が・・・と私は思い、 きょろきょろとする。周りのおやじ連中はにやにやと そのカップルを上から下までねめまわしている。彼等は 10分以上もデロデロと愛し合っていた。そこにとんだ 邪魔物が入り、女は怒って抵抗したがなぜかその邪魔物 にキスをするという不可解な行動に出た。なんかわけ わからん!と思ってしばらく湯船につかってると突然、 女が立ち上がった。長いソバージュが揺れる。女がこちら に振り向く。女の顔が少しずつあらわになる。おっ! イタリア系の整った顔。続けて身体全体がこちらを向く 「げっ!!」胸が無い!!男やんけ!!男同士で・・・ 最後に彼等は私にウインクした・・・。 ©奥西正樹