北海道旭鉱山で産出した辰砂の結晶形態

 辰砂(Cinnabar HgS)は各地で産出するが,結晶形態を示すものは少なくその産出場所は限られている.
 その中にあって,北海道常呂郡置戸町常上旭水銀鉱山産の辰砂は,空隙の多い石英中に生じたもので,ほとんどすべてが自形の結晶で産出するという素晴らしいものである.
 旭水銀鉱山(沢の露頭転石)から辰砂の結晶が発見されたのは昭和40年(1965年)のことで,林道の工事関係者による情報が発見の端緒になった.
当時,北海道立北見北斗高校に勤務されていた故香川良道先生は早速その試掘現場を訪れ,産状と共に辰砂の結晶について詳しく報告された(香川良道,1969).

     「ペグマタイト,03-4(61号),2003」の記事から抜粋引用.

辰砂の結晶図