4 通信条件
 パソコンネットでは各々のネットごとに通信条件を設定しています。どのような手順で通信するか、通信速度はどれを採用するか、日本語の表示はどの基準に従うか等、通信する為に必要な条件を定めているので、この通信条件を合わせないとうまく通信できません。従ってどんな通信ソフトでもこの通信条件の設定がユーザが行なう最初の作業になりますが、予め主要ネットの通信条件を設定してあるソフトも多数あります。ユーザは自分のIDとパスワードを設定に加えるだけですぐそのネットにアクセスできます。しかし自分の使い良い設定に変えたい時や、トラブルがあって設定を見直したりする場合は通信条件の基本的な知識は必要になります。以下に通信条件に含まれる主な項目を解説します。
1 全二重=full-duplexと半二重=half-duplex 下左図
 パソコン通信が使う電話回線は1本の線ですが、これを発信と受信の両方を同時に可能にする双方向通信が全二重方式です。モデムもこの全二重をサポートしていなくてはなりません。半二重方式は一度に片方向のみ通信が出来るというもので、双方向にする為には送信が済んでから受信をするという様な、いわばスイッチの切り替え操作を行わなければなりません。現在のパソコン通信は全て全二重方式に基づいています。
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2 通信速度
 パソコン通信の通信速度を測る単位は通常bps=ビーピーエス=bit per secondという単位を使います。1秒間に何ビットの情報を転送できるかという単位です。現在ネットで一般的にサポートされている通信速度は2400bps、33600bps、56000bps、64000bpsの4種類位なので、使用モデムが33600bpsなら2400も使えます。通信ソフトもその速度をサポートしている必要があります。いずれにしても速い方が電話代とネットのアクセス料金の節約で有利である事は間違いありません。画像ファイルの様に伝送ファイルは大きくなる一方なのでやはり33600bps=33.6kbpsは使える環境が望ましいでしょう。英数字1文字は8ビットなので33600bpsなら1秒間に4200文字、日本文字ならその半分の2100文字が送受信できます。これは1秒間に原稿用紙5枚以上が送れる事になり、FAXはA4用紙(12ポイント文字満載で2100文字)を1枚送るのに約50秒かかるので、モデムは50倍のスピードになります。
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3 データビット長 コード表参照
 1文字送るのに要するビット数がデータビットです。元々はアルファベットを主体とした通信方法があり、それに対して日本語はカタカナを使っていました。欧米ではアルファベットで事足りるために7ビットが主流でした。カタカナを使う日本では7ビットで送受信する方法もありますが、8ビットの方が効率的です。このデータビット長を送信側と受信側で合わせておかないと受信しても解読できない文字列となってしまいます。アメリカ最大のパソコンネットCompuServeのデータビットは7ビットでイーブンパリティー(5参照)です。
4 スタートビットとストップビット
 電話回線はシリアル=Serial通信なのでデータが順番に1列に並んで伝わります。シリアルはソフトでお馴染みのシリアルナンバーと同じ意味で「連続の」「順番の」という意味です。このシリアル通信で「SOS」を送ったとすると、受信側では上右図でもわかる通り0と1のデータが連続してしまってどこからが「S」でどこからが「O」なのか区別がつかなくなります。データは言わば1列に並んで電話回線を通る為どこからどこまでが1つの文字なのかを示すための目印が必要で、この目印の役目がスタートビットとストップビットです。
 データ送信時にまずスタートビットを送り、次に文字データ、最後にストップビットを送信します。これを1文字ごとに繰り返す事によって受信側でもそれを目安にデータを再生できます。スタートビットは特別なデータではなく、パソコンデータは常に1か0なのでその組み合わせで文字も構成できる事は前述しましたが、データが何も送信されていない時は常に1が送られているので、スタートビットを0にしておくと、最初に0が来ればこれから文字データが送られるという合図になります。データ部分を送ったら最後に1を送りストップビットとなりますが、ストップビットは1ビットとは限らず1.5とか2ビットとする場合もあります。これはビットの幅が大きければそれだけ検出しやすくなるからです。通信ソフトにはストップビットの1ビットか1.5、2ビットかを選ぶ機能があります。
5 パリティービット=PARITY BIT 下右図
 データ長が7ビットの時に使う1ビット単位のエラーデータ検出法で、偶数パリティーと奇数パリティーの2種類があります。Parityは「同等」「一様」といった意味ですが、パソコン通信ではデータビットの0か1を全て一様!にする意味になります。データビットは1と0の組み合わせでできていますが、この1がデータビット7つの中に奇数個ある場合、つまり1、3、5、7個の時にパリティービットとして1ビットを加えると、全データビットの1は一様に偶数個になります。位置はデータビットの終わり、ストップビットの前です。この様にして送信すると受信側で仮に1が奇数個あるデータを受信した場合はそこに必ずエラーがあると判断できます。この様に全データの1の値を偶数にそろえる方式を偶数=Even=イーブンパリティーといいます。奇数=Odd=オッドパリティーも考え方は全く同じです。これは確かに優れた着想ですが、もし2ビットのエラーがあった時は検出できない欠点があります。データビット長8ビットの通信ではまず使わないので普通はパリティービットを付けないノンパリティー=non-parityにします。電話回線のノイズが多かった時代にエラーの検出方法として考え出されたものですが、現在のエラーチェックはまず、モデム自体にエラー検出機能を持たせたMNP対応モデム(モデムの規格参照)やVシリーズ規格(モデムの国際規格参照)が普及しています。さらにプロトコル=ファイル転送の方法にもエラー訂正機能が工夫されています(プロトコル参照)。
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6 XON/XOFF制御(フロー制御)
 受信側の能力を超過してデータが送られる場合に一時送信を止める機能で、データの流れを制御する=フロー制御の事です。通常は「する」とか「あり」とします。電話回線で送られてきた受信データはモデムでデジタルデータに復調され、パソコンの受信バッファのメモリ領域に一旦入ります。bufferは衝撃をやわらげるものという意味でコンピュータでは処理速度の違いを緩和させる役目を担っているメモリの事を言います。例えばプリンタバッファではパソコンからのデータがプリンタに渡った時、プリンタ側の処理速度がパソコンのデータ出力に追いつかないため、そのデータを一旦プリンタ内のメモリに貯めます。受信時にモニタの文字の表示速度が遅いと受信バッファは一杯になり、データがこぼれる状態になって正常に受信できなくなります。これを防ぐ為にバッファが一杯になりそうな時、一時データ送信を止めなさいという指令を送信側に出す事ができます。この送信を一時停止している状態をXoff、反対に送信している状態はXonと言います。これはデータのフロー(流れ)を制御しているので「フロー制御」とも言います。このフロー制御はMS-DOSのTYPEコマンドの使い方に似ています。「TYPE」と打つとテキストデータが画面表示され勝手にスクロールしていきますが、CONTROL+Sのキー操作で画面を一時停止できます。画面スクロールを再開させる時はCONTROL+Qです。フロー制御ではこれと同じ作業がパソコンの中で行われているのです。
7 ローカル/エコーバック
 全二重の通信方式の場合、上左図の様に端末=パソコンで入力したデータ「S」はホストコンピュータがそのデータを受けたらそのまま端末に送り返す事ができるので、自分の画面に入力データが表示されて入力者は入力データを確認できます。入力データがあたかもエコーの様にホストからはね返ってくるのでこれをエコーバックと言っています。これはエコーがある場合は端末側は自分の入力したデータを表示する機能がなくても、受信データのみを画面に表示できればよい事になります。 半二重方式のネットではデータのエコーバックはしません。端末側は自分が入力したデータは自分でモニタに表示させなければなりません。この時自分でエコーバックさせる事になるのでこれを「ローカルエコーバック」と言います。従って通信ソフトでローカルエコーバックをするかしないかという設定を選ぶ場合は、全二重をサポートしているネットの場合は「しない」に設定する必要があります。つまりこの機能の選択はネットがどちらをサポートしているかによってそれに合わせなくてはなりません。現在日本で開局している主要なネットではほとんどエコーバックをサポートしているのでローカルエコーバックはしなくていいわけです。

8 漢字コード
 日本語は漢字があるためにアルファベットの様に7ビットで全て表すわけにはいきません。そこで1バイト=8ビットを2つ組み合わせて2バイト=16ビットを使うと、2の16乗=65536個のコードに文字を対応させる事ができます。このような文字をコンピュータの世界では2バイト文字といい、日本語以外に中国語、韓国語等東洋系の言語に多くあります。この様に2バイト文字を作る事でほぼ世界中の言語をコンピュータで使用可能にしました。従って28800bpsのモデムなら1秒間に漢字1800文字が伝送出来る事になります。漢字の場合はパソコンでお馴染みのJIS規格があり、どのコードにどの漢字を対応させるかが決められています。このJISコードは実は旧JISと新JISの2種類がありますが、それとは別にパソコンで一般的に使われている規格は「シフトJIS」で、パソコン通信でもこれが使われています(NECでは独自にNEC漢字コードを決めています)。漢字の送信時はどこが2バイトの漢字の始まりでどこが終わりかを送信データ中に示しておく必要がありますから、漢字の始めに「ここから漢字です=KANJI IN」という意味で「漢字IN(KI)コード」を付加します。終わりには「漢字OUT(KO)コード」を付加します。KIには「1B、24、42」(16進コード)の3バイト、KOは同じく「1B、28、4A」を送る事になっています。
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9 シフトイン=shift-in,シフトアウト=shift-out
 欧米でのアルファベット主体のデータ通信時に標準で使われていたのは7データビット(最近は8データビット)でした。カタカナは普通8ビットなければ送信できませんが、7ビットのままでカタカナを送信する方法がシフトイン/アウト=SI/SO制御です。これはパソコンのキーボードでカナキーロックを押すとカナが入力できるのと殆ど同じ様に考えて下さい。アルファベットを入力する普通の状態はシフトインの状態といいますが、シフトアウトにするとカナキーロックを押した時と同様にカナが送信されます。これは7ビットのアルファベットに対応しているコードをシフトアウトの時は同じコードがカナに対応する様に変換してしまう方式です。7データビットは8ビットの最初のビットを常に0としているために7ビットなのですが、この最初のデータを1とすると、これから送るデータはすべてカナコードにしなさい、という命令とみなされます。この状態をシフトアウトと言うのです。先頭がふつうの0の状態はシフトインの状態となります。
10 キャリッジリターン=CRとラインフイード=LF
 英語のタイプライターの機能から来ています。手動タイプライターでは1行の終わりに来たら自分でレバーを動かして用紙を固定してある円筒=carriageを行の先頭に持ってくる必要がありました。これをキャリッジリターン=carriage return=CRと言い、日本語では「復帰」になっていますが「行移動」と訳した方が良かったでしょう。パソコンで言えば下図の様にカーソルを行の先頭に持ってくる事です。キャリッジをリターンする時に自動的に1行下に移動させて行が重ならない様にもできるし、また行を移動させずに同じ行を維持する事もできます。この行を下に1行移動する事をラインフィード=line feed=LFと言い、パソコンでは改行と言っています。この場合の「改行」は下左図の様に普段日本語の文字編集で使う「改行」つまりキャリッジリターンとラインフィードを一緒に行う事と意味が違います。従ってもしCRのみ設定してLFを設定しなければ、同じ行の上を次々と重ねる様に次行が出てくる事になりますから注意して下さい。
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パックは1つの包みの事を意味しています。このpackに「小さい」を意味するetがついたものがパケットなので、基本的にはパックと同じで通信ではデータがある程度まとまった時の単位として使われます。因みに〜etはbookにつけばbookletとして小冊子を意味し、starletなら小さな星、星肩です。

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