5 プロトコル 転送規格
 テキストファイルの文字データをそのまま転送する際は、特に通信の取り決めをしなくてもモデムを使って単純に送受信可能ですが、パソコン通信では文字データだけではなくバイナリー=binary=2進数データの転送も行われます。バイナリーデータはテキストの様に通信中に画面に文字では表せない画像やAPPLプログラム等のデータの事です。このバイナリーデータの転送にはプロトコルという通信手順の取り決めがあります。プロトコルの重要な目的の1つはエラーチェックで、転送されたデータの信頼性を向上させ、しかも効率よく転送できる様にするため様々なプロトコルが考えられています。
1 無手順
 テキストファイルはプロトコルが特に必要ないという意味で「無手順」が使われます。つまりエラーチェックをせずにモデムのMNP等のチェック機能に任せるやり方です。エラーチェックをしないと余計な手間もかからないので比較的高速にデータ転送できます。それに日本では電話回線の状態が常に安定しているため通常の電子メール等はこの無手順でも殆ど問題はない様です。
2 XMODEM
 以前は殆どこのXMODEMしかありませんでした。テキスト/バイナリファイル共に利用できますが、転送速度が遅いので最近ではあまり使われていません。当初はアメリカで採用されていましたがパソコン通信が盛んになるに従って日本でも採用されたものです。エラーチェックの方法はデータの128バイトを1パケット(上囲み参照)=packet(ブロック)として、このパケットごとにエラー検出用のデータを特に加える仕組です。まず送信側が1パケット送信すると受信側はその1パケットのデータからエラー検出用の情報を読みとり、実際の受信データにエラーがあるかどうかチェックします。エラーがなければ受信側からACK(acknowledge=受信しました)というサインを送信側に送り次のパケットを待ちます。もしエラーが検出されるとNAK(negative acknowledge=受信せず)を送り、送信側は再度同じパケットを送る事になります。
 ACKサインを受け取らないと次のパケットを送らないため、ファイル転送に待ち時間が生じる事が仮に2400bpsの通信速度で受信しても実際はその半分位の速度にまで落ちてしまうと言われています。また128バイトというパケットサイズのMNPモデムとの相性の悪さがさらに速度を低下させます。データエラーを許さない点では比較的信頼性がありますがNIFTY-ServeはBPLUS、PC-VANはQuick-VAN等の大手ネットではもっと速くて信頼性の高いプロトコルが独自に提供されているのでそのプロトコルを使う方を薦めます。普通XMODEMのエラーチェック機能は「チェックサム方式」と言われますが、同じXMODEMでもより信頼性の高いCRC方式を採用したものや、CRCで転送時のパケットサイズが128バイトではなく1024バイトを採用しているものもあり、この場合は転送効率が向上します。
3 Flying-XMODEM
 XMODEMの転送速度が遅い欠点を克服しようとして考えられた方式ですが、転送速度を遅くしている原因であるANKとNCKのエラーチェック情報をやめてしまうだけの話です。従ってこれはモデムがMNPというエラーチェック機能をサポートしている場合にのみ使う様にした方がいいでしょう。モデムがエラーを防いでくれるので理論的にはAKNWCKを送る必要がないわけで、そのため転送効率は20〜30%向上しますが、MNPも完全ではありません。何らかの原因でエラーが発生した場合は即停止するプロトコルです。実際このプロトコルをサポートしているのは一部のソフトだけです。
4 YMODEM
 XMODEMから進化したプロトコルで、Flying-XMODEMと同様にモデムにエラーチェックを任せて一方的にデータを転送します。複数のファイルを一括して転送できるバッチ転送ができますが、FlyingXMODEMと同様MNPモデムかV.42規格のモデムを使用する時以外にはこのプロトコルは選ばない方がいいでしょう。
5 ZMODEM
 このZMODEMはXとYの欠点を解消する様に作られている為エラーが殆ど無く、しかも転送効率が優れています。データ送信とそれに対するAKN/NAKの応答が同時に行えるため無駄な時間を省いて効率的な転送を実現しています。テキストファイルもバイナリーファイルも扱えます。
6 BPLUS
 BPLUS(ビーブラス)はアメリカのCompuServe社が開発したプロトコルで、CompuServeの他、日本ではNIFTY-Serveがサポートしているプロトコルです。ZMODEMと同様に信頼性が高く、転送効率も優れています。MNPモデムを使っても効率は落ちません。NIFTY-Serveでダウンロード時はこのプロトコルを選ぶ事をお薦めします。
7 Quick-VAN
 NECが開発したプロトコルでXMODEMに改良を加えたものです。ZMODEMと同様データ転送時にその応答を同時に送れるため転送効率が向上しています。
8 MAC BINARYプロトコル
 Macのデータ形式は他のDOSマシンと違って特殊な構造を持っているので、このデータ形式に関して正確に情報をやり取りする取り決めを作らなくてはなりません。特有のデータ形式に対応させるため転送するファイルの先頭に128バイトのファイル構造情報(ヘッダ情報)を加えて転送しますが、他のプロトコルと違ってファイル転送の手順に関する取り決めではありませんから、例えばXMODEMと併用できます。このへッダ情報の内容は細かい取り決めがありますが、Macに対応した通信ソフトは全てこのMacbinaryをサポートしていますからユーザーは特に意識する事なくファイル転送が行えます。
9 TRANSITプロトコル
 アスキーによって開発されたプロトコルです。XMODEMよりは転送速度が速くZMODEMよりは遅いようです。
10 MNP(Microcom Networking Protocol)
 モデム間でエラー訂正を行うプロトコルです。詳しくは次項を参照して下さい。
エラー訂正規格の例
 MNPクラス4、ITU-T V.42のLAMP

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