6 モデムの規格
ATモデム

 現在使われているモデムの殆どはアメリカのヘイズ=Hayes社が開発したモデムコントロール方式が採用されています。これをへイズ式モデム、或いはそのコントロールコマンドは頭にすべてATがつくためATモデムと言います。日本でパソコン通信用に使われているモデムは殆どがこのATモデムでした。このATコマンドは発表当時は画期的に使い易い体系を持っていた為すぐにモデムの標準的なコマンドとして受け入れられたのです。電話をかける事も簡単なコマンドで済み、リダイヤルやフロー制御等全ての操作をパソコン側からの指示でコントロールできます。ATコマンドをある程度知っていると通信ソフトの各種設定時に便利なので主要なコマンドを紹介しておきます。
 モデムは変復調以外にも電話をかけたりデータフローを制御したり、場合によってはデータの圧縮解凍とめまぐるしい働きをしています。そのモデムに対して何をするかパソコン側から命令=コマンドを発しなければなりません。これは通信ソフトが担当するわけですが、入力状態でATコマンドを使ってモデムをコントロールする事もできます。
 1 もしもし:AT+リターン=モデムが正常に働いているかどうか聞く。OKのサインが返ってくれば正常。
 2 電話をかけなさい:ATDT0312345678(DTがダイヤルトーンの意味)
        ATDP0312345678(DPがダイヤルパルスの意味)
 3 最後に実行したコマンドを再度実行する:A/=リダイヤルする時に便利です。
 4 話し中に自動リダイヤルする:ATDT(P)電話番号+リターン
 5 1度電話をつないだ後に次の操作をする:ATDT(P)電話番号;(セミコロン)+リターン
  これは相手からの発信を確認してから、さらにこちらから指示する様な場合で、例えば国際電話や市外通話等では一旦局につないで局側の発信音を確認してから電話番号を入れるという場合等に使えます。
 6 通信している状態でコマンドモードに戻る:+++リターンなし
 7 モデムを初期化する:ATZ+リターン
  設定が混乱したらこのコマンドで一旦ごく普通のモデム設定に戻せます。
MNP対応モデム
 MNP=Microcom Networking Protocolはバイナリーデータを転送するためのプロトコルの1つです。米モデムメーカーMicrocom社が開発し、IBMに採用されてからモデム業界の主流となりました。モデムがMNPに対応していれば他のプロトコルを採用しなくてもエラーを防いでくれるので、無手順でファイル転送してもデータの信頼性が確保できるし、モデム内でデータの圧縮までします。日本で販売されているパソコン通信用のモデムは殆どMNP対応ですが、モデム購入時は念のためMNP対応であるかどうかを確認して下さい。
モデムの国際規格
 国際電気通信連合=ITUという国際組織の下部機関に国際電信電話諮問委員会=CCITTという組織があります。この機関が国際的に電気通信の規格を統一すべきであるとの認識で、通信方法の規格について勧告を出しました。勧告だから強制力はありませんが「CCITT勧告」と言われるもので、Vシリーズという一連の規格となって発表されています。現在市販のモデムには規格の表示があるので確認すると、例えば
CCITT/V.42bis&V.32bis/MNP5/DTE max.57600bpS
とあればCCITT勧告にもMNPにも対応している事を示します。この様に両方に対応しているモデムが一般的です。
CCITT勧告によるモデムの変調規格
 FAXモデムはFAX通信で使われる「ITU-T V.29」「ITU-T V.17」の変調規格をサポート
●通信速度・方法
ITU-T V.21………300bps全二重           ITU-T V.29………9600bps全二重(専用回線)
ITU-T V.22………1200bps全二重          ITU-T V.32………9600bps全二重
ITU-T V.22bis… 2400bps全二重          ITU-T V.32bis…14400bps全二重
ITU-T V.23………1200/600bps半二重       ITU-T V.34………28800bps
ITU-T V.26bis… 2400/1200bps半二重       ITU-T V.  ………33600bps
ITU-T V.26ter… 2400bps全二重+エコーキヤンセラ ITU-T V.FC………56000bps
ITU-T V.27ter… 4800bps半二重
●コントロールコマンド…V.2Sbis  ●エラー検出・訂正…V.42  ●データ圧縮…V.42bis
モデムの選択
 通常の据え置き型(縦型/横型)はAC電源が必要ですが、インジケータ(ステータスランプ)の見易さや発熱対策が十分です。置き場所に困らなければこの外付け型は交換が簡単なので、モデムの急速な進歩にも追随できるしISDNにも簡単に変更できます。ノート型パソコンと使う持ち運び型や、PCカードスロットに差し込むカード型、形態情報端末=PDA型等も各々長所があります。内蔵型は電話線をパソコンに差し込むだけですぐに通信できますが、新型のモデムに交換する場合は苦労します。交換が面倒で外付けに変える場合も内蔵モデムは取り外さないとモデムポートは使えません。
 単体で買う場合はFAXモデムであればパソコン通信を利用していない人にも相手のFAXにデータを送れるので便利です(遠距離の場合はネットを利用すると割安)。モデムは通信速度を目安に選びますが、現在ではアナログでは限界とも思われる56000bpsという高速のモデムもあります。高速であれば電話代や接続料は安く済みますが、それは同じ速度の回線を使った時で、高速の回線を使った場合は通信料金も高くなるのが普通なので、速度に関してはデータによる使い分けが重要です。また通信速度が速くなる程、わずかなノイズでも影響を受けやすくなる傾向がありますが、回線の状態も年々良くなっています。
通信ソフト
 モデムを買うと大抵付属しています。無い場合は雑誌付録のフリー/シェアウエアでも構いませんが、初心者にはやや不親切な部分もあります。
接続
 使用ケーブルはMacとWindowsでは少し違うので、必ずモデムの取説や接続方法に従います。回線との接続はモジュラージャックを介して行いますが、付属の電話用コードが無い場合は電気店で「家庭用(2芯線)」「ビジネスホン用(4芯線)」のうち前者を買うようにします。
 電話の話し中に割り込みが出来るキャッチホンサービスを利用していると、モデムが自動的に回線を切断してしまうのでパソコン通信とは併用できません。プッシュ操作で一時的にキャッチホン機能を停止し、その間にかかってきた電話はメッセージに残せる「キャッチホン2」を利用するか、新たな電話回線を用意、もしくはISDN回線にした方がいいでしょう。使用回線がプッシュホンのトーン式かダイヤルのパルス式かも通信ソフトの設定のために確認しておきます。パルス式は回線が混んでいてリダイヤルする場合は時間が掛かって効率が悪くなります。また外見はプッシュホンに見えてもダイヤル式の電話があるのでそれも注意します。NTTの請求書に「プッシュ回線使用料」という項目があればプッシュ回線です。

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