かぶと虫と飛行船(17) −−− ツェッペリン再結成 −−−
【ツェッペリン解散】 |
1980年9月にドラマーのジョン・ボーナムが亡くなり、3カ月間の沈黙の後、 「われわれはもはやレッド・ツェッペリンとして活動することは不可能であるとの結論に達した」 との声明文を発表して、レッド・ツェッペリンはそのバンド活動に幕を降ろすこととなりました。 ニュー・ヤードバーズとしてスタートしてから12年目のことでした。 |
【ライブ・エイド】 |
1984年の暮れにブームタウンラッツのボブ・ゲルドフの呼掛けに応えてイギリスで結成されたスーパー・スター・グループ、「バンド・エイド」の「ドウ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」は、その後世界の音楽界に大変なチャリティ・ブームを巻き起こしました。 (日本では、USAフォー・アフリカが有名なようですが...) この集大成とも呼べるものが、翌1985年初夏にイギリス・ウエンブリーとアメリカ・フィラデルフィアで同時開催された「ライブ・エイド」です。 一部に黒人アーティストの参加が少なすぎる(例えばスティービー・ワンダーにはお声がかからなかった)という批判もあったのですが、とにかくこれ以上はないという豪華な顔ぶれでコンサートが開かれました。 このステージでレッド・ツェッペリンは5年ぶりに「再結成」し、「ロック・アンド・ロール」と「天国への階段」を演奏しています。 喧嘩別れしたビートルズと違って、ツェッペリンの場合はメンバーの死亡により解散を余儀なくされたわけですから、代わりのドラマーをさがせば再結成可能なのです。 (ボンゾほどのドラマーにそう代わりがいるとも思えませんが...) この時はドラマーにフィル・コリンズを入れて演奏したのですが、結果は「惨敗」に終わりました。 あきらかにリハーサル不足!! ペイジのギターもビシッとしていないし、ペイジがまだソロを弾いているにもかかわらずロバートが歌い出してしまったりして、息が合っていません。 ステージの1週間前に急遽再結成することが決まり、かつリズムの要、ドラマーにそれまで一度もいっしょにやったことのないフィル・コリンズを入れることになった、ということを考え合わせれば無理もないことかもしれません。 (もちろん、ボンゾとフィル・コリンズのドラムの質が違うことも大きな要因です) でも、やはり同じステージにペイジとロバートが立って演奏する、ということは、私にとってはとてもうれしいことなのです。 |
【アトランティック・レコード40周年】 |
1988年6月30日(やったと思う...)に、アメリカの大手レコード会社であるアトランティック・レコードの創立40周年を記念して、「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」と銘打った一大コンサートがマジソン・スクエア・ガーデンで開催され ました。 このコンサートにはアトランティック・レコードに所属している、あるいは所属したことのあるアーティストが新旧あわせて多数出演し、各アーティストの持ち時間を30分として、朝早くから夜中の1時過ぎまで延々と続けられました。 このコンサートの目玉はレッド・ツェッペリンの再結成で、翌日の新聞はもうツェッペリンのことばかり。まさにツェッペリンの再結成のためにお膳立てされたコンサートだったのです。 ツェッペリンはこのコンサートの最後に登場しました。 (本当は、ラストはベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」が予定されていたのですが、夜中の1時を回ったこととツェッペリンが終わって皆が帰り出すことが予想されたため中止されてしまいました) 夜中の1時近くになっているにもかかわらず、観客はますます熱狂しています。 ここでは、なんとボンゾの息子ジェイソン・ボーナムがドラマーを務め、父のプレイを実に忠実に再現しました。 まさに、「ツェッペリンの再結成」なのです。 演奏された曲目は、「カシミール」「ミスティ・マウンテン・ホップ」「ハート・ブレイカー」「胸いっぱいの愛を」「天国への階段」の5曲です。 さて、このライブの結果ですが、ここでもツェッペリンは勝利することができませんでした。 会場では観客は大いに盛り上がったものの、テレビ用の放送トラックにオルガンの音が入らなかったなど、テレビの前で見ている大多数の人にはその奏でる音楽が忠実に伝わらなかったのです。 また、日本では、このライブでジミー・ペイジが太って体型を崩し、指の動きもたどたどしかったため、一気に評価を下げることとなりました。 これはテクニック至上主義の日本ならではの現象で、海外ではこういった評価は主流ではありません。皆ジミー・ペイジが好きなのです。 また、同年に行われたジミー・ペイジのソロ・ツアーでの彼のプレイは、メロディ・ライン、早弾き、観客の盛り上がり方ともにすばらしく、往年をほうふつとさせる感動ものです!! (特にクリーブランドでのライブは、最後に演奏されたインストゥルメンタルでの「天国への階段」で、観衆が合唱するという涙ものになっています。) |