かぶと虫と飛行船(20) −−− レイラとサムシング −−−
【レイラとサムシング】 |
「いとしのレイラ」「サムシング」...この2つの名曲をご存じですか? 「いとしのレイラ」は、デレク&ドミノス時代のエリック・クラプトンのたいへん情熱的なラブ・ソング。数年前にTDKカセット・テープのCMで使われたり、昨年公開されたある映画でこの曲の後半のピアノ部分が使用されたりしたので知っている人も多いと思います。 もう一方の「サムシング」はビートルズ時代のジョージ・ハリスンのたいへん甘いラブ・ソングで、ジョージの曲としてはビートルズのシングルA面に採用された最初で最後の曲です。 この2つの名曲、実は1人の女性をめぐってつくられたものなのです... |
【ア・ハード・デイズ・ナイト】 |
ビートルズの初の主演映画「ア・ハード・デイズ・ナイト(邦題:ビートルズがやってくる ヤア!ヤア!ヤア!)」の撮影中、ジョージはある女優と知りあい恋に落ちました。 「僕のために毎朝プディングを作ってくれるかい?」 こうプロポーズして、ジョージは女優パティ・ボイドと結婚しました。 |
【インド】 |
ジョンとポールの巨大な才能の陰に埋もれてしまったジョージは、失地を回復しようとして、他の誰もが目をつけていなかった領域「インド」に自らのアイデンティティを見つけようとしました。 そしてジョージが、というよりもビートルズがインド音楽を始めた、というのは音楽界にたいへんな旋風を巻き起こすようになり、ジョージはビートルズの中に自分の居場所を見い出すことができたのです。 ジョージは何度もインドへ足を運び、瞑想やシタールの修行など、どんどんとインドに傾倒していきました。 |
【あて馬】 |
どんどん自分から離れてインドに没頭していくジョージに、パティは寂しさを感じるようになり、なんとかもう一度自分にジョージの目を向けさせようと考えだしました。 そうして到達した結論は「やきもちを焼かせればいい」... パティはエリック・クラプトンに相談しました。 ジョージとクラプトンとは親友です。 クラプトンは親友ジョージ夫妻のために喜んで協力することにしました。自ら「あて馬」となってジョージにやきもちを焼かせる役をクラプトンは買ってでたのです。 |
【サムシング】 |
パティとクラプトンの作戦は見事成功し、ジョージは再びパティの元に戻ってきました。そして、ジョージはパティのためにラブ・ソングをつくり、それをパティに贈りま した。それが「サムシング」です。 |
【横恋慕】 |
ところが、クラプトンは本気になってしまいました。「ジョージとパティの仲をとりもつためのあて馬の役を演じている」とわかっていながらも、パティへの思いはどんどんと募る一方。もう演技どころではありません。 |
【いとしのレイラ】 |
この募る思いをクラプトンは歌に託しました。「いとしのレイラ」... そう、この歌で歌われている「レイラ」とは、パティのことなのです。 この歌があれほどまでに情熱的なのは、いけない恋に走ってしまった男のどうしようもない心の葛藤があるからなのです。 |
【ついに...】 |
このクラプトンの思いはついにかなうこととなりました。 パティはジョージと離婚、クラプトンと再婚することとなったのです。 この時の結婚式が「第16話 ビートルズ再結成」の中の【3/4の再結成】で述べた結婚式です。 この結婚式では先にも述べたように、ジョージ、ポール、リンゴの3人+クラプトンによるセッションが行われています。 ジョージも式に出席しているわけで、ジョージ、クラプトン、パティの3人には、しこりやわだかまりは全くなかったようです。 こうして、クラプトンは幸せに暮らしましたとさ。 と、行きたかったのですが... |
【その後】 |
ジョージはパティと別れた後再婚し、幸せに暮らしています。 あれほどまでに熱く燃えたクラプトンでしたが、結局パティとは離婚、別の女性と再婚して現在幸せに暮らしているそうな...めでたし、めでたし... |