馬場君



馬場君と目白駅から『たにし』へ行くときにどちらが先に着くかで、何回か二人で走って競争をした。丁度、目白駅の横断歩道からスタートし、学習院大学側の歩道を全速力で走った。僕も短距離では自信が有ったが、馬場は下駄履ながらも負けていない、結構健闘していた。千歳橋までは殆ど僕らは横並び、ただしその後の順位は日によって…。夕暮れの中、大きな男が二人で全速力で走っている様は、まさに女子大帰りの学生達には迷惑でもあり、恐怖だった事だろう。


2人で競争した学習院側の歩道


所で、今の学生で彼のようなスタイルをしてる者は非常に少ないと断言できる。そんな彼の格好はと言うと。

ジーパンにTシャツ
下駄履き(自慢の桐下駄)
ひげは伸び放題(ポパイのブルートの如く)
夏はタオルを首に掛け
マジソンスクエアガーデンのロゴ入りの青いスポーツバック

何でマジソン…なのかだか分からないが、当時それと同じカバンを持っている学生が多かった事は覚えている。しかし、彼のカバンの中には何が入っていたのだろうか?当時はまるで気にもとめていなかった事だが、30年も経った今になってふと考えると、彼がそのカバンを開いたり、何かを取り出している記憶は殆どない。

また、大学では下駄履きは禁止だったのだが、彼はその規則を終始無視していたのだった。彼のそのスタイルは大学の4年間かわることはなかった。



おばさんと馬場君


2002年7月  作井 正人


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