カテドラル教会のクリスマスイブ

カテドラル教会


当日は雨の降っている寒いイブでした。いつものように『たにし』で看板まで飲んで、中村さん、馬場、朝倉とカテドラル教会に行ってみようと話がまとまりました。カテドラル教会は『たにし』から江戸川橋方向に目白通りを約10分くらい歩いたところにある大きなカソリック教会です。毎年イブの夜は夜中の12時頃から敬虔な信者さんが集まり賛美歌を歌ってキリストの生誕を祝ったミサがありました。当然キリスト教でもあり、イブの夜には信者以外の人間も受け入れていました。中村さんは、『たにし』ではおばさんが怖いこともあり、店では酒飲みとしては比較的おとなしくしていましたが、看板まで飲んでカテドラル教会に付いた頃にはかなり酒もまわっていたと思います。また、教会ではおばさんに怒られる緊張も無いため、信者が賛美歌を歌う中、キリスト教に対しての自分勝手な論理をぶつぶつと喋べり続けていました。また、中村さんの服装たるやいつもの羽織に和服のまま、一人だけ教会で服装まで浮き上がっています。敬虔な信者たちも、ついには眉をひそめシスターが中村さんのところまで来てたしなめていたような気がしました。それでも、中村さんはぶつぶつ々々、さすがのシスターも顔を曇らせてきたときに、教会に居合わせた『たにし』のおばさんが一喝。中村さんもハット我に返り、我々その場で即退散!!
たにしのおばさんは毎年24日のイブの日にはカテドラル教会に店が終わった後に参列することが常でした。


中村さん『たにし』ではおばさんに絶対服従(『中村さん、大声出しちゃだめよ!』『おばさん、ごめんなさい』)


翌日のクリスマスにはキリストを冒涜した天罰が下ったのか、中村さんの身の上にはさらなる不幸が降りかかった。

霙混じり雨の中、カテドラル教会から雑司ヶ谷の朝倉の家まで逃げ帰った我々4人が次に気がついたのはもう昼過ぎです。中村さん以外は冬休みの学生たち、当時自称童話作家の中村さんも就職して半年も経っていないまだ新人の頃、絶対に無断遅刻はま許されない。出勤を急ぐ中村さん、さらに悪いことに着ている服装は昨日の羽織に和服、服を着替えに大慌て、雨の中自分の住んでるあさひ荘にとんで帰りました。

2000年1月   作井 正人


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