たにし亭最終日
遠藤先生を中心に裏庭でお茶割りで乾杯
おばさんが『たにし亭』を畳むと初めて聞いたときはとても驚き、残念でなりませんでした。何十年もの常連の気持ちは、僕などのような新参者とは比べものにならない程であったでしょう。ただ、聞いたのは、畳む半年近く前だったと思いますのでその頃はまだまだ先のことと常連達は皆考えていたのだと思います。
やがて月日が経ち、遂に1978年の7月7日に『たにし亭』の最終日を迎えることになりました。その日には殆どの常連達が集まり、店にも入りきれず台所、裏庭などに溢れ大盛況でした。また、『たにし亭』で使っていたものを記念にとおばさんから貰っている常連達も数多く、みんなのおばさんと『たにし』への思い入れは相当なもので、おそらく『たにし』はそれぞれ皆の人生そのものだったのでしょう。この日を最後に無くなることで、常連達の心の中には大きな穴が空いたはずです。しかしながら最終日は楽しく、大騒ぎでした。普段よりの早出、早帰りの大先輩の常連達も最後の最後の時間まで居残って『お茶割り』を片手に楽しんでいました。
やがて最後の宴もお開きとなり、寂しい事にそれ以降はお店にのれんが掛かることは二度となくなりました。
おばさんが『たにし亭』を畳んでからも数年間は目白通りには依然とのれんの出ない『たにし亭』が存在していました。たしか、店を畳む理由の一つにはマンションが建つため土地を買収されるからであり、また丁度おばさんも年で疲れてきたのでそれが渡りに船だったとも聞いていました。
興にのって花火を裏庭の塀の上でする、ナベさん(確か塀から落ちたはず)
長尾さんとユキちゃん(台所の裏で)
高橋新太郎先生もカウンターは入れずに外で乾杯(吉田、石井)
台所で洗い物を手伝う(宝軒の森さん)
酔っぱらている、作井、中村(左端には石橋)
2001年9月 作井 正人