タバコ値上げ
おばさんの後ろに買い置きのタバコ
『たにし』ではおばさんがお客さんの為にタバコを買い置きしてた。当時、ハイライト80円、セブンスター100円、ショートピース50円、ショートホープが50円の時代。今のように、嫌煙、不健康など神経質に言う人も少なく、愛煙家に取ってはよい時代だった。当然、酒を飲むときタバコは必需品のようなもで、だれもあまり遠慮なくタバコを吸っていた。また、自販機も面白いものがあった。それは、今のタバコの自販機は電子式でタバコの価格改定には簡単に対応出来る物だが、当時はハイライト専用の機械式の自販機で、100円を入れてレバーを下げるとハイライトと20円が出てくる代物。また、愛称”どかべん”と呼んでいた、25本入り100円のハイライトも有ったくらい、それほど当時のハイライトは人気があった。そんなタバコ天国の時代、ある日を境にタバコ値上げされる事になり大きな関心事となったことがある。税金が一本あたり一律1円増税となり、80円のハイライトは100円、100円のセブンスターは120円となった。その後20年以上の間にタバコの価格は何度も値上げされ、今では価格改定に対して我々も鈍感となり大騒はしなくなった。しかし、当時はタバコの価格は不動のものという概念があり、間違えが起きないようにと専売公社も値上げ日以降の製品が区別できるような方法を編み出していた。それはその日以降の在庫タバコにシールを貼って区別した。そして、新規に生産したタバコの封印帯の色をわざわざ暫くの間”白”と変えたほどの徹底ぶりだった。
喫茶店などの買い置きのタバコも全てその日を境に新しい価格に移行していた。たぶんかなり不当な利益をあげていた店も有ったかもしれない。ところがおばさん『あたしが、立て替えて買ったタバコだからその価格でお客さんに譲っても悪いことはしていないんだから。』と買い置きの在庫が無くなるまでは昔の価格で譲ってくれた。また、『作井さん、良かったらハイライト譲ってあげましょうか?』とワンカートン20箱のハイライトを昔の価格80円で分けて貰った。
買い置きのタバコはセブンスター、ショートホープ、ハイライト
2000年4月 作井 正人