三月書房販売速報[130]
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2019/03/26[21-01-130]  (c)SISIDO,Tatuo    *転送歓迎* 

     e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 130号
     
      ※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)

  ◆「(歌集)「海蛇と珊瑚」薮内亮輔 角川書店
  ◆「(歌集)遠くの敵や硝子を」服部真里子 書肆侃侃房
  ◆「佐藤佐太郎(コレクション日本歌人選)」大辻隆弘 笠間書院
  ◆「オリオンラジオの夜」諸星大二郎 小学館  
  ◆「黒のマガジン4号」”特集・水木しげるとカメラ雑誌の世界” 編集・発行 藤本和也
  ◆「アルテリ7号」 アルテリ編集室
  ◆「親鸞の言葉」吉本隆明 中公文庫
  ◆「わたしはどんな学問をしてきたか」山田慶兒 編集グループSURE
  ◆「脈 100号 上野英信と筑豊・沖縄」脈発行所※完売
  ◆「LEIDEN──雷電」13(終刊)号
  ◆「飢餓陣営 48号」編集・佐藤幹夫 飢餓陣営発行所

   「雷電」は同人の築山氏の急逝により終刊。築山氏は論創社の「吉本隆明質疑応答集」の
   制作もされてましたが、3巻出たところで滞っています。「飢餓陣営」は残り2冊で終刊
   を予告。猫々堂の「吉本隆明資料集」は現在184巻ですが、年内完結予定。「VAV」も陶山
   幾朗氏の急逝により昨秋の30号が最後となりそう。<吉本>本は読者の高齢化により、売
   上が逓減しつつありますが、編集者もまた高齢化しつつあり、<吉本>本の刊行そのもの
   も先細り確実です。やっと半分まで来た「全集」は、今のペースだとあと5年はかかりそ
   うなので、スピードアップが望まれます。
   

[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)

  ◆「(歌集)某月某日」永田和宏 本阿弥書店※入荷済
  ◆「(歌集)林立」花山周子 本阿弥書店※入荷済
  ◆「(歌集)あさげゆふげ」馬場あき子 短歌研究社※入荷済
  ◆「(歌集)石蓮華」吉川宏志 書肆侃侃房※入荷済
  ◆「祭り裏」島尾ミホ 幻戯書房
  ◆「光の海〜シュタイナー世界からの死の考察と死との向き合い方」ミヒャエル・デーブス 精巧堂出版※入荷済
  ◆「硫黄・塩・水銀プロセス」竹下哲生 精巧堂出版※入荷済
  ◆「逸脱する批評」齋藤愼爾 コールサック社※入荷済
  ◆「追悼私記 完全版」吉本隆明 講談社文芸文庫
   講談社の文芸文庫が不調のようで、数年前なら月3〜4冊出ていたのが、今年は0〜2冊と
   減っている上に、定価がかなり高くなり、2000円前後するのも少なくありません。このシ
   リーズの創刊当時はふつうの文庫の定価の2倍見当だったのが、いまは3倍程度にまで
   なっているような感じです。年譜、解説、著書一覧等が充実していて便利なのですが。
   

[#03]  日販への返品率

   2011年   書籍23.5% 雑誌27.2%
   2012年   書籍21.3% 雑誌31.0%   
   2013年   書籍21.8% 雑誌30.0%
   2014年   書籍21.3% 雑誌33.7%
   2015年   書籍20.0% 雑誌34.3%
   2016年   書籍21.3% 雑誌31.6%
   2017年   書籍20.9% 雑誌31.7%
   2018年   書籍21.9% 雑誌32.9%

  去年もあまり変わらなかった。返品率というのはなかなか上がらないものですね。ぼちぼち
  在庫を減らしたいので、以前なら、売れたら必ず補充していたはずの本でも、補充せずに売
  りっぱなしにすることが増えているので、少しは在庫が減っているような気はしているので
  すが。
   
   
[#04]  <天に唾する>京都の書店のうわさ(その92)   

 ○みすず書房の書店別売上げランキング(2018/01〜2018/12)

  今回も京都関係の書店のみ、売上げ冊数の前回(2017/01〜2017/12)
  との比を計算してみました。
   
   ※( )内は全国順位。(D )は大学生協順位
   1(15) MARUZEN京都本店          + 0%
   2(D3) 京大生協ルネ           −24%
   3(30) ジュンク堂京都店         − 8%
   4(D4) 同志社生協今出川         −23%
   5(50) 大垣書店イオンモール京都店    +36%
   6(D7) 立命館生協ブックセンターふらっと −24%
   7(81) 恵文社一乗寺店          +18%

  全体的にやや下降気味。全国1位の紀伊国屋新宿本店が−6%。大学生協はとくに不調
  だったようで、1位の東大本郷が−55%と激減です。
  京都では、昨年全国104位・京都8位だった「大垣書店烏丸三条」が載っていません。
  圏外なのか、売上報告がなかったのかは不明です。
  前回消えた「アバンティBC京都店」は今年も見あたりません。

 ○四条烏丸西の京都経済センター1階に「大垣書店京都本店」が開店したそうです。
  700坪を借り上げ、そのうち350坪を飲食店など8社に又貸しして、残りの350坪が大垣
  書店売場とのこと。年商目標7億円が多いのか少ないのか、スペースの又貸しでうま
  く稼げるのか、そのあたりのことはまったくわかりません。それにしても、烏丸通り
  の「四条店」「三条店」とは商圏が重なり過ぎのように思えます。直近には「くまざ
  わ書店四条烏丸店」もありますが、似たような新刊書店ばかりで、往時の河原町通り
  のように、古書店や専門書店の集積がまったくないので、書店街としての魅力はあり
  ません。大きなお世話かもしれませんが、「三条店」か「四条店」の売場の一部に、
  古書店を何店か誘致したら、少しはよくなるのではないでしょうか。
  
  それから京都駅ビル・ザ・キューブの地下1階に40坪の「ザ・キューブ店」も開業し
  たそうです。昨年6月に閉店した「三省堂書店京都駅店」と同じ階らしいですが、位
  置も同じかどうかはが未確認です。
  
  それから、ちかごろまったく用事がなかったので気づきませんでしたが、去年の4月
  から「京都府官報販売所」も大垣書店扱いになっていました。現在は烏丸の「本店」
  に併設されているそうです。河原町通のBALの北側にあった販売所は既に無くなって
  いて、ファッション関係か何かの店がになるようです。これで河原町通りの書店は
  また1店消えて、古書店系を除くと、「丸善」と「カトリック書房」そして、少し
  東入るの「メディア・ショップ」だけになってしまったようです。
  
  さらに、昨年10月にはうちの店のわりと近所に「BLUE BOOKS cafe KYOTO」というの
  もできたみたいです。サイトによれば飲食がメインのような感じですが、大垣書店
  のサイトの店舗一覧にも載ってます。  
    
 ○「ダ・ヴィンチ4月号 特集:あの人の、行きつけの本屋さん」
  京都では誠光社、ほほほ座、メリーゴーランド、三月書房など出てきますが、今回
  とくに多かったのはレティシア書房で3名があげてました。開店当時にちらと行っ
  たきりで、その後のことはまったく知りませんが、非流通系の雑誌や冊子などが充
  実しているようです。
    

[#05] 近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など
  
  前号以降
  自動車・バイク雑誌「ボイス・パブリケーション」、
  福岡の情報誌発行「アヴァンティ」
  日本酒関連の出版「フルネット」
  アウトドア系出版社「地球丸」
  医薬書籍出版「医薬ジャーナル社」
  が破綻したそうです。これらの版元の中で、うちの店が扱ったことがあるのは
  「地球丸」のみで、「アントロポゾフィー医学」の特集だった「地球人」15号だけ
  はよく売れました。   
  
  出版ニュース社は今後どうされるのでしょう。「出版ニュース」の終刊号を見ても、
  社の存続については何も触れられていないようでした。いずれにしろ、倒産に追い
  込まれたわけではないので徐々に業務を縮小されるのでしょう。しかし、強制終了
  される倒産と違って、自由意志による会社解散(廃業)の場合は、かなりの手間と
  時間と資金を要するようです。20年ほど前に廃業したペヨトル工房の今野元社長の
  『ペヨトル興亡史―ボクが出版をやめたわけ』(冬弓舎)によると、トーハンとの
  契約では解散後も2年間は返品を入帳する義務があり、しかも、解散のためには保
  証人をたてて新たな契約を結びなおさねばならないのだそうです。ペヨトル工房の
  場合は億に近い支払いが発生したと聞いたようなおぼろげな記憶がありますが、あ
  まりたしかではありません。
  何年間も新刊を出していないのに、廃業しないでゾンビ化している出版社は昔から
  少なくないようですが、このような契約があることも一因でしょう。
  それにしても「出版ニュース」は有用な情報源であり、連載物も読み応えがあり、
  過去には寄稿をさせていただいたこともあり、その廃刊はまことに残念です。せめ
  てうちの店が廃業するまでは続けていただきたかったのですが、ちょっと先を越さ
  れてしまいました。 
  
  
[#06] etc.…

  ○「週刊新潮 2019年3/14号」の見開きグラビア“とっておき私の京都”の間村俊一
   氏の4回目に載せていただきました。これは一人の著名人が4週連続で、京都・
   奈良のお気に入り場所を紹介するもので、10年近く続いている企画です。うちの
   店は7年ほど前に、福岡伸一氏に取り上げていただいたことがあるので、一応は
   辞退したのですが、2度目の登場となりました。この記事の情報欄に定休日は月
   曜・火曜と紹介されたため、発行部数数十万部に敬意を表して、週休3日にする
   のを少し延期しました。いまのところ5月の10連休明け以降の予定です。
   
   それから、南陀楼綾繁ほか著『36時間わたしの京都観光 12通りの1泊2日
   (淡交社)と、福岡伸一著『わたしの すきな もの』(婦人之友社)にも載せて
   いただきました。これらは、「なごみ」と「婦人之友」の過去記事の再編本です
   が、一度の取材で2回も宣伝していただきありがたいことです。

     
    

   いまさらですが、うちが潰れないのは、店賃ゼロ、人件費ゼロ、借金ゼロ、そし
   て多くの方々が無料で宣伝してくださるので宣伝費ゼロのおかげです。問題なの
   は店主の高齢化と店舗の老朽化ですが、これは避けようがないので遠くない時期
   に週休7日制にするつもりです。
   
  ○前号に角川文庫の短冊廃止がめんどくさいと書きましたが、その後追随社は増え
   る一方で、主なところでは文藝春秋全部?、講談社文庫、中公文庫、そして、小  
   学館コミックスも4月からスリップレスになるそうです。うちでは毎朝入荷した
   短冊無し商品に、手書きの短冊を作成して挟む作業が増えてうんざりです。補充
   は以前なら封筒に詰めて郵送していたのですが、ネットの受注サイトを利用する
   ことが増えています。受注サイトがある出版社ばかりならまだましなのですが、
   サイトがないのに短冊を廃止した出版社もあり、こんなところの本はせっかく売
   れても、補充注文する意欲がかなり下がります。自社サイトは無理でも、せめて
   「出版社共同ネット」くらいには参加すべきでしょう。
 
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。

   ◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
   ◆「バックナンバー(01〜129号)」はHPにて公開中です。
     
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