三月書房販売速報[132]
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2020/02/25[22-01-132] (c)SISIDO,Tatuo *転送歓迎*
e-mail版 三月書房 販売速報(仮題) 132号
※いちおう出版業界向けに制作してます※
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[#00] 先日号外にてお知らせしましたように、2月17日に朝日新聞、同18
日に京都新聞のそれぞれ地方版に、近日閉店の記事が載りました。
新聞記事そのものよりも、ツイッター等で拡散したこと、両紙とも
デジタル版に転載されたことにより、地元以外にも広く知られたよ
うです。17日と18日はちょうど定休日でしたが、休み明けの19日の
水曜日には開店と同時に多数のお客が来店され大繁盛しました。そ
の後も23日の日曜日まで客足は途絶えることなく、前週の数倍の売
上を記録しています。世間には年がら年中閉店セールをしている、
いいかげんな商店もあるようですが、あれはやはりそれなりの効果
があるのでしょう。この景気がいつまで続くかはわかりませんが、
売上の増加以上に、最終返品が困難であろうと予想している本が、
少しづつ減りつつあるのが喜ばしいことです。それから、20日の木
曜日にNHK・TVのドキュメント何たらという番組から取材の問
い合わせがありましたが、これは即座にお断りしました。テレビだ
と、わけのわからないひやかし客が増えて、めんどくさくなりそう
ですから。
※閉店関係のニュースは、ブログ三月記、あるいは、このメルマガの
号外にて随時発信予定です。
[#01] 最近売れてるような気がする本(順不同)
◆「人間と大地における惑星の作用と生命プロセス」
ベルナード・リーヴァフッド 涼風書林
◆「AI 分岐点に立つ人類」ニカノール・ペルラス 涼風書林
◆「(歌集)梨の花」小池光 現代短歌社
◆「(歌集)紫のひと」松村正直 短歌研究社
◆「門司の幼少時代」山田稔 ぽかん編集室
◆「山田稔自選集 2」編集工房ノア
◆「ザ・うらたじゅん 全マンガ全一冊」第三書館
http://3gatsu.seesaa.net/article/472743404.html
◆「いつもひとりだった、京都での日々」宋欣穎 早川書房
◆「別冊太陽・茨木のり子」平凡社
◆「南洋と私(中公文庫)」寺尾紗穂 中央公論新社
◆内田樹+平川克美「沈黙する知性」夜間飛行
◆松岡祥男「吉本隆明資料集 別冊1『ニャンニャン裏通り』」猫々堂
◆松岡祥男「吉本隆明資料集 別冊2『吉本隆明さんの笑顔』」猫々堂
◆安藤礼二「吉本隆明〜思想家にとって戦争とは何か」NHK出版
◆菅原則生・編集「続・最後の場所 7号」発行・菅原則生
◆比嘉加津夫「平敷屋朝敏の謎〜歴史に消された真実の行方」脈発行所
◆「脈 103号 葉室麟」脈発行所
http://3gatsu.seesaa.net/article/471642796.html
◆「飢餓陣営 50号 追悼・加藤典洋」編集・佐藤幹夫 飢餓陣営発行所
◆渡辺京二ほか「アルテリ 9号」 アルテリ編集室
「門司の幼少時代」は10月末の刊行で、昨年末までに70冊ほど、現在で
は80冊を超えています。
http://3gatsu.seesaa.net/article/471217175.html
「山田稔自選集 2」の収録作品は比較的新しくて、単行本が入手可能な
作品がほとんどだっため、レアものが数篇収録されていた「1」に比べる
と売れ行きがやや落ちますが、とりあえず30冊ほど売れています。
http://3gatsu.seesaa.net/article/473065244.html
山田本については前号(132号)にて詳説しました。
猫々堂の「吉本隆明資料集」は本編191集、別冊2集で完結しました。ほぼ
20年間、毎年10号の刊行でしたが、多い集で100冊以上、少ない集でも30
冊以上売れていました。その売り上げの6割以上が通販でしたが、それは
Amazonでは売っていないということが大きく影響していたはずです。
Amazonで扱っていないということは、新刊はもちろんマーケットプレイス
で古本を売っていないということであり、その結果バックナンバーもほと
んど値崩れしていないわけで、その点も強みでした。。
「脈」は昨年末に主宰者の比嘉加津夫氏が急逝されたため、103号で終刊
となりました。次号は編集者の小川哲生氏、次々号は猫々堂松岡氏の特集
予定で、108号あたりまでの特集は決定済みと聞いていただけに終刊は惜し
まれます。「脈」も毎号30冊以上売れていました。脈発行所の旧在庫は、
別の発行所が販売を代行されると聞いています。詳細未定。
「飢餓陣営」は50号で終刊予定と告知されていましたが、その50号は
“「終刊宣言」凍結号”となり、いましばらく続けられるそうです。この
号は加藤典洋追悼特集ですが、売れ行きは上々です。
[#02] これから売れそうな気がする本(順不同)
◆「吉本隆明質疑応答集 4」論創社
◆日下部正哉個人誌「放題」一号
◆「題不明A」「同B」グレゴリ青山 発行所不明
テープ起こしの担当者が急逝されたため中断している「質疑応答集」の
4回以降は、近日中に再開されると、新担当者から聞きましたが、発行所
からの連絡はまだありません。このシリーズが予告されたときは、搾り
滓集ではと思っていましたが、現物は予想以上に内容が濃くて売れ行き
も好調でした。
グレゴリ青山さんの新刊が6月と7月に続けて出るそうです。ざんねん
ながらたぶんうちの店は閉店しているでしょう。
[#03] 日販への返品率
2011年 書籍23.5% 雑誌27.2%
2012年 書籍21.3% 雑誌31.0%
2013年 書籍21.8% 雑誌30.0%
2014年 書籍21.3% 雑誌33.7%
2015年 書籍20.0% 雑誌34.3%
2016年 書籍21.3% 雑誌31.6%
2017年 書籍20.9% 雑誌31.7%
2018年 書籍21.9% 雑誌32.9%
2019年 書籍23.0% 雑誌30.5%
来るべき閉店に向けて、一昨年あたりから、ぼちぼちと在庫を減らすつも
りではいたのですが、ごらんのように返品率はあまり変わりません。それ
でも、売れた本の補充をかなり絞っているので、少し在庫は減りつつあり
ます。とはいえ、もともと在庫がやや過剰だったので、棚がスカスカにな
るのはまだしばらく先のことになるでしょう。はっきりと減少したのは八
木書店から仕入れているバーゲン本で、これは数年前の半分以下になって
ます。いくら卸値が安いとはいえ買い切りなので、以前のように数年先ま
で見越して多い目に仕入れることができません、その結果売り損ねが目立
ちますが、いたしかたありません。
[#04] <天に唾する>京都の書店のうわさ(その94)
○みすず書房の書店別売上げランキング(2019/01〜2019/12)
今回も京都関係の書店のみ、売上げ冊数の前回(2018/01〜2018/12)
との比を計算してみました。
※( )内は全国順位。(D )は大学生協順位
1(14) MARUZEN京都本店 + 8%
2(D2) 京大生協ルネ +15%
3(32) ジュンク堂京都店 + 4%
4(D3) 同志社生協今出川 +28%
5(55) 大垣書店イオンモール京都店 − 7%
6(68) 恵文社一乗寺店 +11%
7(D7) 立命館生協ブックセンターふらっと −24%
8(118) くまざわ書店四条烏丸店 ………
全体にやや増えてるような感じですが、京大と同志社は前回−24%と−23
%だったのでその分戻しただけ。大垣のイオンモール以外の店、北大路、
三条、四条あたりは毎年リストに載ってませんが、売れていないのか、そ
もそも売上カードを提供していないのかどちらでしょう。くまざわ書店四
条烏丸店がはじめて登場しましたが、ビルの地下のさほど目立たない場所
で地味にがんばっているようです。くまざわは全体でも昨年の5店から倍
増の10店になっています。
http://3gatsu.seesaa.net/article/46189731.html
〇ジュンク堂書店京都店が2月末で閉店するそうです。この店は1988年の開
店で5階建て400坪強。神戸から他都市に出た最初の店だったはず。21世紀
初頭に倒産した駸々堂京宝店と、いまや盛時の面影が半減のアバンティBC
と並んで京都市内を代表する大書店でした。閉店の理由は想像ですが、売
上が減少してテナント料に見合わなくなったからでしょう。この店につい
ては同社の福嶋氏が、2013年に書かれたコラムに、河原町BAL店と2店
合わせても、1990年代の京都店1店の売上に届かないと書いておられたく
らいですから、それから7年後の現在ではさらに落ち込んでいたことでしょ
う。MARUZEN京都本店もあまり景気の良いうわさは聞こえてきません。
http://www.jimbunshoin.co.jp/rmj/honyatocomputer124.html
[#05] 近ごろちょっとまずいことになったらしい出版社など
前号以降、東邦出版(シーロック出版社)、フルネット、新水社、レヴィ
プラス4Dmusic、トランスメディアなどが、民事再生とか倒産とか廃業と
かされたようです。
民事再生法の適用を申請の東邦出版は、東邦出版社の社名だったころは、
わりと地味な文学書の版元だったはず。1979年に現社名に変更してからは、
競馬や格闘技、タレント本や実用書が中心となっていたらしい。。
新水社は演劇本、海外文学、女性学などを少し仕入れた記憶がある。
創文社は以前から予告されていたように3月末で書籍販売を終了されるそう
です。ここは辻まことの「山からの絵本」「山で一泊」などがよく売れま
した。
[#06] etc.…
〇「アマゾンジャパン、書店への卸業務開始へ」とのこと。具体的なことが
まだわからないので何ともいいようがないが、正味80%送料無料なら使え
ると思う。実はいまでも急ぎの客注などでは、正味100%だけれど、新品
が送料無料で翌日に届くから時々利用している。日販に発注して、1週間
以上かかるといろいろ都合の悪い場合もあり、お客にぐずぐず言い訳する
よりはよほど気分がよい。わずかながらAmazonとクレジットカードのポイ
ントがそれぞれ付くからまったく利益が無いわけではないし。
〇クリックポストが4月からまた値上げで188円から198円になる。これは
以前は164円だったのが何度かの値上げで188円になっていた。クロネコ
のメール便が使えなくなって以降、クリックポストが一番便利なので、
180円のスマートレターと使い分けているのだけれど、どちらもそう遠く
ないうちに、さらに値上がりしそうな気がします。ちかごろはゆうメール
も定型外が無くなったから、クリックポストに入りきらないものは、レ
ターパックを利用してますが、これ以上送料が上がると、Amazonで売って
いない商品でなければ、通販は完全に成り立たなくなるでしょう。いまで
もAmazonに勝てるところはほぼないけれど、Amazonの完全一人勝ちが確定
したら、間違いなくプライム会員の年会費は値上がりするに違いないので、
会員としては気がかりです。
○「別冊太陽スペシャル・京都が京都である理由。」に、うちの店の汚い
シャッターが、きれいなカラー写真で掲載されました。まんねりにまん
ねりを上塗りしつつある各誌の京都特集ですが、この記事は予想外の切
り口で、ちょっとおどろきました。
http://3gatsu.seesaa.net/article/472531221.html
○今年も「週刊読書人」の“アンケート特集「2019年の収穫」”に寄稿
させていただきました。2019年12月13日号です。今のところ、発行所
のサイトにて全文が無料公開されています(2020/02/25現在)。
https://dokushojin.com/article.html?i=6337
ご参考までに昨年(2018年12月14日号)の分を再録しておきます。
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大竹功・編著『卜部哲治郎・鐵心和尚集』仮立舎。
“辻潤の高弟”卜哲の初めての作品集で六百頁の大冊。彼の生涯を探索し
た「卜哲の追っかけ」と題する附録が実に面白い。大酒呑みの乞食坊主と
思っていたら、意外にも正式に得度して臨済宗の住職にまでなっていた。
「権力構造の中での非権力志向するという生き方」との編者による評がよ
い。
『スペクテイター41・つげ義春』幻冬舎。
ここ三十年ほどまったく新作を描いていないのに旧作が売れ続けている
“現役漫画家”。ご本人のあまり乗り気でなさそうな協力ぶりにもかか
わらず、とても読み応えがある。事後承諾によるインタビューがとくに
愉快。
ハルノ宵子『片棒』(吉本隆明全集第15巻月報)晶文社。
娘が書いた父親の臨終記でこんなに笑えるのは珍しいのでは。早朝に駆
けつけたのに放置されて「“ガキの使い”のようなオジさんたち」と書
かれた報道関係者の皆様にはちょっとだけ同情しますが。
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この「販売速報(仮題)」はe-mailの性質上,簡単に改訂することができ
ますが、その度に全読者に送信するのは、お互いに煩わしいので、最終版
をおよそ1ヶ月後にHPに掲載します。
◆1998/11/27 創刊準備号(通巻01号)発刊
◆「バックナンバー(01〜131号)」はHPにて公開中です。
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