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おすすめ「クラシック」


気に入ったCDを紹介していきましょう。

ジャンルは現代音楽以外。

だから、クラシック以外も入ります。


2002年7月
 シューマン・ピアノ作品集
   アレグロop.8
   クライスレリアーナop.16
   暁の歌op.133
 マウリツィオ・ポリーニ(p)  ドイツ・グラモフォン
 471 370-2(輸入盤)
 録音:2001年
 最近は、同じCDを聴き込むことが少なくなってしまったが、このクライスレリアーナはひたすら聴き続けてしまった。雑なアルゲリッチは問題外だったし、アシュケナージは悪くないけれどもうひとつだったので、このポリーニの演奏に接するまではクライスレリアーナがこんなに面白い曲だとは思ってもみなかった。第5曲の流動感、第8曲(終曲)のバスの動きなど、何とも聴いていて面白く、しかも聴き飽きない。
 プーランク初期声楽作品集
   世俗カンタータ「仮面舞踏会」 FP60
   動物小話集(器楽伴奏版) FP15a
   黒人狂詩曲 FP3
   コカルド(器楽伴奏版) FP16
   3つの常動曲 FP14
   喜劇「理解されない憲兵」 FP20
   マックス・ジャコブの4つの詩 FP22
 フランソワ・ル・ルー(Br)
 ドミニク・ヴィス(C-T)
 ランベール・ウィルソン(T)
 パスカル・ロジェ(p)
 シャルル・デュトワ指揮
 フランス国立管弦楽団団員
 DECCA
 452 666-2(輸入盤)
 録音:1995年
 プーランクの、皮肉屋でいたずら好きな(?)側面がよく現れてるといえるのが、このCDに収められている「仮面舞踏会」。とりわけ聴いていて楽しいのは、「フィナーレ」の浮かれ騒ぎ。しかしながら、ル・ルーの歌唱はいささか生真面目過ぎて、堅さが感じられるのが少々残念。もっと軽く歌いとばして欲しかった。そう思う向きの方には、ケント・ナガノとホセ・ファン・ダムが組んだ録音(Virgin Classics)がお薦めかも。

2002年8月
 ウィーン・フィル結成150周年記念エディション−3
   ベートーヴェン 「レオノーレ序曲」第3番op.72a
   ブラームス 交響曲第2番op.73
   ベートーヴェン 大フーガop.133
 フルトヴェングラー指揮
 ウィーンpo.
 ドイツ・グラモフォン
 435 324-2(輸入盤)
 録音:1944-54年
 ブラームスは、フルトヴェングラーが第2次大戦中に最後に行ったコンサート(1945.1.28、ウィーン)の録音。彼はこの後、ゲシュタポの監視の目を逃れてウィーンのホテルを抜け出し、演奏用の旅券の発行をまってスイスに亡命する(1945.2.1)。それゆえか、このブラームスは、亡命直前の異常な精神状態を彷彿とさせるような演奏になっている。通常は9分半ほどかかる第4楽章の演奏がわずか8分半で終わってしまうという、異常なまでのスピード。その異常な指揮についていってしまうウィーン・フィルの、異常なまでのテンションの高さ。戦争という特殊な状況下でしか存在し得ないような、異常さ。
 J・S・バッハ
   ミサ曲ロ短調BWV.232
 フランス・ブリュッヘン指揮
 18世紀オーケストラ
 ジェニファー・スミス(S)
 マイケル・チャンス<C-T>
 ニコ・ヴァン・デル・メール(T)
 ハリー・ヴァン・デル・カンプ(Bs)
 PHILIPS
 426 238-2(輸入盤)
 録音:1989年
 大バッハのミサ曲ロ短調は傑作である。ひとたび聴き始めると、それからしばらくの間はひたすら聴き続けることになってしまう。随所に現れる、簡潔ながらも妖しいまでに美しい合唱は、何度でも聴きたく(歌いたく)なってしまう。このブリュッヘンの演奏は、そんな聴き方にも堪えうる立派な演奏である。どちらかといえば素朴さの感じられる合唱だが、Gloriaの力強さ、Credoの精妙さなどはまったく申し分がない。平和への強い祈りを感じさせる終曲Dona nobis pacemは、大曲を締めくくるに十分な感動的な演奏。まさに、よい曲、よい演奏だ。

2002年9月
 ワーグナー 舞台神聖祭典劇「パルシファル」
   パルシファル:ペーター・ホフマン(T)
   グルネマンツ:クルト・モル(Bs)
   クンドリー:ドウニャ・ヴェイソヴィチ(S)
   アンフォルタス:ホセ・ファン・ダム(Br)
   クリングゾル:ジークムント・ニムスゲルン(Bs)
   ティトゥレル:ヴィクター・フォン・ハーレム(Bs)
   アルト・ソロ:ハンナ・シュヴァルツ(A)
 カラヤン指揮
 ベルリンpo.
 ドイツ・グラモフォン
 POCG2879/82(国内盤)
 録音:1979-80年
 なぜだか分からないが、涼しくなってくるとパルシファルが聴きたくなる。ホフマンが好きなので、カラヤンかレヴァインの演奏を聴くことになるのだが、スタジオ録音の精妙さを取ってカラヤンのCDを聴くことが多くなる。冷たい炎のような青白い輝きをみせるベルリン・フィルの演奏が素晴らしく、管楽器の精妙なブレンド具合は滅多に聴かることがない程の域に達している。音を聴いているだけで、舞台照明が様々に変化する様が分かってしまうような演奏だ。独唱ではクンドリーに少々不満も残るが、精神的に不安定な役柄の歌なのだから、この歌唱でもよいのかも知れない。クンドリーは難しい。

2002年10月
 aiko  秋 そばにいるよ
   マント、赤いランプ、海の終わり、陰と陽、
   鳩になりたい、おやすみなさい、今度までには、
   クローゼット、あなたと握手、相合傘(汗かきMix)
   それだけ、木星、心に乙女
 aiko(vo)
 その他
 ポニー・キャニオン
 PCCA01778(国内盤)
 録音:2002年
 以前、テレビで「ボーイフレンド」を聴いて以来、実はaikoにはまっていたりする。このアルバムに聴かれるaikoの歌は、入院して喉を治してきただけあってか、今までのアルバムよりも声ののびが素直なように思える。「おやすみなさい」のファルセット(裏声?)なんかは、まさにその現れといえようか。「相合傘」のノリの良さも、これまたよし。とはいえ白眉はラストの2曲。今までのアルバムには聴かれなかったような不思議な雰囲気の曲で、新境地を予感させるものとなった。「じゃあね木星に着いたらまた2人を始めよう」という「木星」の歌詞は、「ボーイフレンド」の「テトラポット登っててっぺん先睨んで宇宙に靴とばそう」と同じくらいにaiko節かも知れない。ともあれ秋を感じさせるアルバムに仕上がった。
 アラン・ホールズワース  All Night Wrong
   Lanyard Loop、 The Things You See、
   Alphrazallan、 Funnels、 Zone、
   Water On The Brain PT.U、
   Above & Below、 Gas Lamp Blues
 アラン・ホールズワース(g)
 ジミー・ジョンソン(b)
 チャド・ワッカーマン(d)
 Sony Music
   Entertainment
 XSCP 3(国内盤)
 録音:2002年5月5日
 六本木ピットイン
 2002年5月5日、六本木ピットインにおけるライブ録音。ジミー・ジョンソンとチャド・ワッカーマンという、贅沢なリズム・セクションを従えてのライブ。聴きに行きたかった。ある意味、曲も演奏もマンネリ化しているのだが、この2人が加わるだけで聴かせてしまうところが凄い。全体的に丁寧に演奏しているような印象を受けるが、それだけに、ギターもベースもドラムもが、すべてがピタリと合っている。それにもまして素晴らしいのは、随所に聴かれるホールズワースのコード・バッキング。独特の妖しい和声が実に綺麗に収録されており、どっぷりと浸かってしまう。

2002年11月
 ミハエル・ギーレン生誕75周年記念エディション−4
   スクリャービン 交響曲第3番op.38 「神聖な歌」
   ブゾーニ 悲歌的子守歌op.42
   ラヴェル 海原の小舟
   ストラヴィンスキー ロシア風スケルツォ
 ミハエル・ギーレン指揮
 南西ドイツ放送so.
 ヘンスラー・クラシック
 CD93.059(輸入盤)
 録音:1975年、95年、
      97年、98年
 ギーレンの生誕75周年を祝って出された5枚組の中の1枚。他の4枚には、ベートーヴェン、シューベルト、ブルックナー、シェーンベルクなどが収められており、実に盛りだくさんの内容。それらの中で最も気に入ったのが、このスクリャービン。スクリャービン的妖しさの全くない、隅々まで明快に見通せる日当たりのよい演奏。そのおかげでオーケーストラが何をやっているかが明瞭に分かるため、聴いていて実に面白く飽きも来ない。とりわけ長大な第1楽章は、リズムの刻みが鋭くて、聴いていてワクワクドキドキしてしまう。ベートーヴェンを聴いているかのような喜びを覚えるこの演奏は、録音は古い(1975年)が名(迷)演といってよいだろう。ストラヴィンスキーもまた楽しい。
 イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタop.27 全曲
   第1番 ト短調、 第2番 イ短調、
   第3番 ニ短調「バラード」、 第4番 ホ短調、
   第5番 ト長調、 第6番 ホ長調
 ギドン・クレーメル(vn)
 メロディア(ビクター)
 VICC2079(国内盤)
 録音:1976年
 全6曲からなるイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ。無伴奏なら6曲作らねばならぬ、というのはバッハ以来の伝統のようだが、イザイの6曲はバッハの無伴奏以上に多様性に富んでいる。なかでも一番のお気に入りは、エネスコに献呈された第3番「バラード」。単一楽章の曲(6分程度)ではあるが、全編が妖しい魅力に満ちあふれており、感興のほとばしりに欠くことがない。クレーメルのヴァイオリンで聴くと、「もう少しふくよかさがあってもよいのでは?」とも思うが(録音が古いからかも)、他の演奏者で聴くと甘ったるくて物足りなく感じてしまう。再録音してくれないものか。そうすれば、クレーメル特有の妖しい音色が堪能できるようになるかも知れない。

2002年12月
 UNDERCURRENT
   My Funny Valentine、 I Hear A Rhapsody、
   Dream Gypsy、 Romain、 Skating In
   Central Park、 Darn That Dream、 Stairway
   To The Stars、 I’m Getting Sentimental
   Over You、 My Funny Valentine(別テイク)、
   Romain(別テイク)
 ビル・エヴァンス(p)
 ジム・ホール(g)
 Blue Note Records
 7243 5 38228 2 8
          (輸入盤)
 録音:1962年
 ジャズ・ピアノの大御所ビル・エヴァンスと、ジャズ・ギターの大御所ジム・ホールの競演アルバム。何かジャズが聴きたくなったのと、ピアノとギターという私のお気に入りの楽器でどんな音楽が創造できるのか興味があったのとで、このCDを聴いてみた。ピアノもギターも、メロディーと伴奏とを同時にこなせる楽器なのであるが、そのせいか実に豊穣な音楽が奏でられていて、正直いって驚いてしまった。何かこう、今まで聴かずにいたことが悔やまれるような、そんな気持ちがしてしまう。My Funny Valentine のピアノとギターの絡み(とりわけ3:10〜)には、痺れきってしまった。歴史に残る名演だというのにも、確かに素直にうなずけるものがある。
 マーラー 交響曲第3番ニ短調
 ピエール・ブレーズ指揮 ウィーンpo.
 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)
 ウィーン学友協会女性合唱団
 ウィーン少年合唱団 
 ハンス・ペーター・シュー(posthorn)
 イアン・バウスフィールド(tb)
 ドイツ・グラモフォン
 UCCG1136/7(国内盤)
 録音:2001年
 この100分にもならんとする長大な交響曲(全6楽章)、通常好んで聴くのは4〜6楽章がほとんどで、1〜3楽章については出だしが有名な第1楽章を除き、滅多に聴くこともなかった。ところがこのブレーズの演奏は、前半の1〜3楽章の方が断然面白く、オケが大騒ぎしても不思議なくらいに楽しめてしまう。実にすっきりと整理され尽くしているのである(ブレーズ!)。それに対して4〜6楽章は、第4、5楽章はまあまあのなのに、第6楽章がいただけない(第5楽章冒頭の児童合唱の余韻の残し方は、実に面白かった。一聴の価値あり)。第6楽章では、随所に現れるトランペットのロングトーンが「命」なのに、そのロングトーンの音色が実に汚く何とも雑な演奏になってしまっている。しかもそのままコーダに突入し、曲を締めくくってしまう。金管についていえば、コーダに入ってからは、今まで聴いたことのないような雑なアクセントで演奏している(ブレーズ?)。どのCDを聴いてもしんどそうに演奏している部分ではあるが、弦や木管が綺麗だっただけに実にもったいない演奏だ。
 シューマン 交響曲全集
   第1番変ロ長調op.38「春」
   第4番ニ短調op.120
   序曲「メッシーナの花嫁」op.100
   第2番ハ長調op.61
   第3番変ホ長調op.97「ライン」
 クリストフ・エッシェンバッハ指揮
 北ドイツ放送so.
 BMG(RCA RED SEAL)
 74321 61820 2(輸入盤)
 録音:1998年、99年
 年末に、エッシェンバッハが指揮するマーラの第9交響曲をラジオで聴いた。その演奏が結構よかったので、シューマンをどう指揮するか聴いてみたくなった。シューマン歌曲全集(フィッシャー=ディースカウ)での名伴奏者ぶりからするに(詩人の恋の伴奏はベストのひとつ)、指揮もシューマンで聴いてみよう、といった選択である。その演奏は、オケの音がどっしりとしており、実に重厚なシューマンに仕上がっていた。なかでも最も感心したの曲は、第3番「ライン」。地味な印象が強く、なかなか好い演奏に巡り会えない交響曲ではあるが、ここに聴かれるエッシェンバッハの演奏はかなりいい線を行っている。第4楽章の「憂鬱さ」から第5楽章の「快活さ」への変化がスムーズに感じられるのは、おそらくテンポ設定が妥当だからであろう。しかし何よりも特筆すべきなのは、第5楽章の中間部(2:26あたりから)の表現。ラインの水がさざ波のように湧き出てくる情景が思い浮かんでくるような、実に新鮮な表現となっている。「明朗」なラインと「苦渋」に満ちたラインという2つの側面から、この交響曲の由来に気づかせてくれる演奏だといえようか。

2003年1月
 シューマン 交響曲第2番ハ長調op.61
 バルトーク 弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽
 レナード・バーンスタイン指揮
 バイエルン放送so.
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 バーンスタイン&バイエルン放送交響楽団といえば、「トリスタンとイゾルデ」、モーツアルトの「レクイエム」、ハイドンの「天地創造」などにみられるように、よい演奏が多い(個性的ではあるが)。バーンスタインと最も相性のよかったのは、ウィーンpo.ではなくバイエルンso.だったのではないかと思える程である。そしてこのシューマンも、その証拠といえるような演奏に仕上がっている。ウィーンpo.との正規版が中途半端なものに感じられるほどに、振幅の激しい熱い演奏が繰り広げられている。演奏の傾向から1980年代中頃のライブだと推測されるが、ヒス・ノイズが多いこと、強奏部分で音が割れることなどから考えると、ラジオ放送をテープ録音したものが音源となっているようにも思える(その意味では、あまり紹介すべきCDではないのかも知れない)。ともあれこのシューマンの演奏が、信じられない程の次元に到達しているものであることだけは、確かだといえる。
 鈴木重子 Just Beside You
   ’Cause I Love You、 Imagine、 Tears In
   Heaven、Only Trust Your Heart、 My Heart
   Will Go On、 For You、 Dindi、 On The
   Shore、 Out There,In Here、 In My Life、
   Colors Of The Wind、 The Rose
 鈴木重子(vo)
 ケニー・ワーナー(p)
 トニー・マリノ(b)
 ジェイミー・フォックス(g)
 カフェ(perc.)
 BMGファンハウス
 BVCJ 34009
       (国内盤)
 録音:2000年
 知人からいただいたCD。聴き慣れないスタイルの女性ヴォーカルを聴くというのは、最初はなかなか気恥ずかしいものであるが、少しずつ慣れてくると、なかなかによい曲よい歌唱だと思えてきて、やがては夜半のひっそりとした頃に、ヴォリュームを下げてひっそり聴きたいと思うようになる。鈴木重子といえば、確かNHKのガーデニング講座に出演してジャズのスタンダード・ナンバーを歌っていた人のはず。ただしその時は、こんな不思議な魅力を持ったヴォーカルだとは気が付かなかった。ボサノバ調に始まり、非常にしんみりと、終わるCD。送って下さって、どうもありがとう。

2003年2月
 リヒャルト・シュトラウス 4つの最後の歌
 アルバン・ベルク 7つの初期の歌
 リヒャルト・ワーグナー ヴェーゼンドンクの5つの詩
 フランソワ・ポレ(sop)
 クラウス・ヴァイゼ指揮
 ニースpo.
 ACCORD
 472 357-2(輸入盤)
 録音:1995年
 R.シュトラウスもベルクもワーグナーも、皆、ロマン派の終焉に立ち会いつつ、ロマン派の中に留まり続けた作曲家である。そのような作曲家によるオーケストラ歌曲集を贅沢に集め、ありそうでなかったカップリングを実現させたのが、このCD。ポレの歌唱は、多少ヴィブラートがかかりすぎたりするし、シュトラウスなんかでは高音の軽やかさにかけたりするところもある。しかし、この水準で全部歌いきって、しかも1枚のCDというのだから、やはり脱帽であろう。ヴェ−ゼンドンクの演奏が気に入った。それぞれの曲にはそれぞれマイ・ベストのCDがあるのだが、それらについてはまたそのうちに。



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