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国際関係論(大学院法学研究科)




担当者  松田 哲


講義テーマと目的
 本講義のテーマは、「アマルティア・センの経済開発論を読む」である。
 1997年度のノーベル経済学賞受賞者であるアマルティア・セン(Amartya Sen)は、インド生まれの経済学者である。センは自らを厚生経済学者と評しているが、講義担当者の 関心は、開発経済学者としてのセンにある。そこで本講義では、開発経済学に関係するセンの論考を取り上げることとする。センの開発経済学の論考には、実に多岐にわたる内容が含まれている。その根底にあるのは、「善き生とは何か」という倫理的な問題意識である。そしてこの問題意識は、具体的には、「善き生」の実現を可能とするような社会の在り方についての考察に結実している。よって、センの開発経済学は、広い意味での社会科学と接点をもつものとなる。
 本講義では、開発経済学におけるセンの論考の集大成とでもいうべき、以下のテキストを精読する。センの論考について考えることを通じて、社会の在り方を根底から考え直すきっかけを提供するのが、本講義の目的である。講義に参加する諸君には、本講義を現代社会の在り方について考え直す一助としていただきたい。


講義の進め方
 報告担当者の報告をもとにして、参加者全員で討論を行い、内容についての理解を深める。その際、報告者には、レジメの作成と30分程度の報告が求められる。報告者以外には、該当部分を熟読し、講義で質問・議論ができる程度に理解してくることが求められる。報告の分担等については、初回の講義で決定する予定である。
 テキスト以外の文献(邦語、英語)を読んでいただくことも考えている。それについては、講義中に紹介するので各自でコピーしてもらいたい。
 最終的には、4000字程度のレポートを提出していただく予定である。


テキスト
 アマルティア・セン『自由と経済開発』石塚雅彦訳(日本経済新聞社、2000年)


参考文献
 センの著書・論文は無数にある。講義で適宜紹介する予定であるが、テキスト以外の日本語で読めるものは、以下の通り。
  @大庭健他訳『合理的な愚か者』(勁草書房、1989年)
  A鈴村興太郎訳『福祉の経済学』(岩波書店、1988年)
  B池本幸生他訳『不平等の再検討』(岩波書店、1999年)
  C黒崎卓他訳『貧困と飢饉』(岩波書店、2000年)
  D志田基与師他訳『集合的選択と社会的厚生』(勁草書房、2000年)
  E鈴村興太郎他訳『不平等の経済学』(東洋経済新報社、2000年)
  F大石りら訳『貧困の克服−アジア発展の鍵は何か』(集英社新書、2002年)
  G徳永澄憲他訳『経済学の再生』(麗澤大学出版会、2002年)


評価方法
 出席、報告、討論への参加、提出レポートを総合して評価する。

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