★水無月の由来★

昔、天然の氷雪を氷室に貯え6月30日にその水を宮中に献上していたものを一般に は夏季に氷を得る事ができなかったので形を氷になぞらえ麦粉で作ったものを徳川の中期になって 麦粉の中に小豆を混ぜて三角に切るようになりました。これを食べると悪疫を防ぎ災難を除くとさ れ広く用いられました。

★土用餅の由来★

昔、宮中の公家の間ではカガ芋の葉を煮出しその汁で餅米の粉を練り丸くまるめ味噌 汁に入れ土用入りの日に食すると暑気あたりしないとされていました。徳川時代の中期より土用の 入りには餅を小豆あんに包んで食し夏季の悪病災難を退け除くとされています。

★月見団子の由来★

昔から我が国では秋に新穀の取入れが終わると、その新穀を神仏にお供えし感謝をす る風習がありました。藤原氏の時代の中期頃より宮中では9月15日の満月に新穀を粉にしそれを だんごに丸くまるめ平年の年は12ケ、うる年には13ケと萩とすすきと共にお供えしたとされて います。いつのころからか一般市民も9月満月の夜には月見だんごと萩とすすきを共にお供えし日 々の食物に感謝する事を忘れぬ様にしたと言い伝えられています。

★ひなまつり・桃の節句★

3月3日のひなまつりは、女児の節句、上巳の節句とも弥生の節句とも呼ばれていま す。起源は古く平安時代で当時の書物に美しい小さい男女の人形を持って遊ぶのを「ひいなあそび 」と呼んでいます。上巳の節句というのは、旧暦の3月3日が十二支の上の巳の日なのでなのでこ う呼んだもので、この節句には紙で人形を作りこの「ひとがた」で体をなでて身のけがれをそれに 負わせ海や川に「はらえ」という習慣のあったことが源氏物語や栄華物語にも書かれています。 この厄払いの身代り人形がのちに雛人形となり雛祭りとなりました。「ひし餅」が飾られるように なったのはインド仏典の説話にならったものとされています。昔インドのある川に橋を掛ける工事 が行われていました。度重なる洪水で工事は捗らずそれは川底に住む竜の怒りということで、竜を 鎮めるために女児を犠牲ととて捧げなければなれませんでした。竜の使いとして子供を選んだのは 天狗でした。その年も川は荒れ天狗は女児を捜し見つけましたが、その女児はすでに7人の娘を竜 に捧げたある農夫の末娘でした。農夫は天狗に懇願し替わりに子供と同じ味がするといわれる菱の 実を差しだしました。その後川は静まりそれ以降人々は菱の実を捧げるようにしました。 菱餅を雛祭り飾るのは子供の命を救ってくれた菱の実に感謝することからきているとされています。 よもぎの緑と桃や紅花で色付けした赤、そして白の三色は健康と魔除と清浄を表していますが、 古くは赤には竜に捧げられ犠牲となった女児の血を意味しているともいわれています。

★まんじゅう★

我が国のまんじゅうの起源は、南北朝時代の初期(1340−46)京都建仁寺の三 十五世徳見龍山禅師が林和靖の末裔林浄因という者をつれて元から帰国しました。この人が帰化し 奈良に住み妻をとって饅頭屋を開き初めて奈良万寿を作りました。もともと中国の饅頭はその中に 羊や豚の肉を餡として包んだものですが、日本の饅頭は豆腐の餡で作り始めたそうです。これは日 本人の嗜好にあったので広く親しまれました。狂言に「饅頭食い」というのがありますが、「洛中 に住まいし者でござる、それがし饅頭を商売仕る」とうたっています。そのころ饅頭を立ち売りし ていたので、そのところが御所の西の「立売」という地名になったといわれています。 紹伴は時の将軍足利義政に饅頭を献上したところ非常に称賛され「日本第一饅頭所」の看板を賜っ たとされています。このことがあってから「饅頭」の名が全国に知られるようになり饅頭屋ができ るようになりました。室町時代の菜饅頭という野菜餡の餡饅頭は人気が悪くいつか滅びて、砂糖が あまり用いられなかった時代は甘茶を用いた餡を使っていました。大阪の饅頭屋は店先に木馬を出 した。これは「あらうま」=「あらうまい」の意味である。また、「饅頭のすさい」といって大根 ・蓮根などの酢の物を添えて出す習慣がありましたがこれも廃れました。江戸時代饅頭が出ると食 べ残りのを紙に包んで持って帰りましたがこれを「料紙を引く」と言いました。江戸では饅頭を紙 に包みましたが京阪地方では竹の皮に包んでいました。文政(1818−31)のころの書には法 事のとき白強飯をやめて饅頭を配るというのが記されていますが、このころから法事に饅頭が使わ れ始めたと思われます。日本では饅頭を万頭・蛮頭とも言いました。中国の饅頭の起源には饅は小 麦餅の類をいい頭は最初いとう意味があります。従って饅頭は宴会の最初にでる小麦餅を意味して いました。宴会の最初にでる料理が主役であった中国ですから饅頭は重要なたべものであったと推 測できます。現在中国では饅頭は料理の最後に出るようになっています。我が国の変わった呼び方 としては、北海道・福岡・長崎などでうるち米で作った餡入り饅頭を「ケイラン」と呼んでいます 。(たべもの語源辞典より)