あかね雲の彼方へ(5)

魚のエサに

(2012.6.20)


魚のエサに

 親鸞聖人の時代、庶民の死骸は、洛外の野や川に捨てられた。

 嵯峨の化野(あだしの)、東山の鳥辺野(とりべの)、
 洛北の蓮台野(れんだいの)、洛東を流れる賀茂川などがそうだった。

 「某(それがし) 親鸞 閉眼せば、賀茂河にいれて魚にあたふべし」との御遺言も、
 思えば、「特別なことはしてくれるな」という意味ではなかったか。

 特別なことなど何もいらない。
 南無阿弥陀仏