春夏秋冬・16

6年1組のみなさんへ

拝啓

 今日、みなさんの「ピーターパン」を見せていただきました。ほんとうに楽しく、素晴らしいお芝居でした。ストーリーの運びも、音楽の選び方も、ちょっと愉快なセリフも、なかなかよく考えられていたと思います。

 学芸会というのは、あなたがたの成長をみんなに見てもらうよい機会です。そして、みなさんはその機会を本当に生かすことができたと思います。みなさんは、こんどの「ピーターパン」を自分たちの力だけで成し遂げたのです。そのことで、小学校での6年間に、みなさんがどんなに成長してきたかが、本当によく分かリました。

 でも、なによりも素晴らしかったのは、みなさんの若い素直なエネルギーが輝いていたことです。ひょっとすると、若いみなさんは、今は自分たちの持っているこの素晴らしいエネルギーに気づいていないかもしれません。ですが、私たち大人は、自分たちがそういう素晴らしい宝物を失ってしまったからこそ、よく分かるのです。先生が、「自分もこの6年1組のピーターパンにいっしょに出演したいといつも思っていた」とおっしゃっているのも、きっと同じお気持ちだと、思います。

 ひとつ考えてみてください。いろんな障害があったのに、みなさんが「ピーターパン」を自分たちの力だけで成し遂げることができたのはなぜでしょうか。みなさんに、いわゆる「根性」があったからできたのだと思いますか?

 私たちはそうは思いません。みなさんが一つのことを完成できたのは、それはみなさんのなかに「そうしたい」という「願い」があったからだと思います。「願い」には、よけいな我慢がありません。我慢がなけれぱ、はた目にはどんなに大変に見えることでも成し遂げることができるのです。

 「願い」はピーターパンの剣です。「願い」はティンカーベルの銀の粉です。どうぞこれからも、大きな「願い」を持って様々な困難に立ち向かっていってください。「願い」こそが、あなたたちを幸せにしてくれる鍵です。ネバーランドというのはあなたがたの「願い」によって開かれる世界のことです。ネバーランドはあなたたちの「願い」を待っているのです。私たちは、いつもそんなあなたたちを見守ってゆきたいと願っています。ではまた。

 素敵なお芝居を見せていただいたことへの感謝をこめて。
              11月12日 6年1組PTA有志。



 これは、かつて長男が小学校に通っていたころ、学芸会を見て子供たちのエネルギーに感動して書いたものです。翌日学校へ届けたところ、ホームルームの時間に担任の先生が子供たちに読んでくださいました。「神様からきた手紙みたい」。それが子供たちの感想だったそうです。秋の学芸会の時期になると、この文章を書いたころのことが懐かしく思い出されます。