春夏秋冬・17

溶岩の詩

  溶岩

   溶岩のようなクラスになれたらいい
   いつも真赤に燃えたあついあつい青春を持っていて
   いつもみんながとろとろにとけあっている
   そこには男も女もない
   みんな一緒だ
   そして心の底から話しあえるんだ

   溶岩のようなクラスになれたらいい
   外に出たら砂のようにサラサラとははなれない
   外に出たらがっしりと堅い岩になって
   みんながかたまるんだ
   そこにはのけものは一人もいない
   みんな一緒だ
   そしてみんなが励ましあって生きるんだ

   そんなクラスになれたらいい
   溶岩のようなクラスを作りたい



 昨年、私の母校、金津中学校(福井県坂井郡金津町)が創立50周年を迎えました。卒業してから、もう30年近い歳月が流れていますが、あのころのことを思うと懐かしくて胸が熱くなります。この詩は、当時、3年間担任をして頂いた西川憲弥先生の感化を受けて書いたものです。

 先日、ずいぶん久しぶりに、この詩を読み返すことができました。思えば、この詩は、当時のクラスの雰囲気のなかで、先生の願いを受けて自然に生まれたものでした。けれど、クラスを離れて時が経つにつれ、この詩の世界とはかけ離れたところにいる自分に気づいていきました。なんだか立派すぎることを言っているようで、格好をつけているようで、自分とのギャップに苦しみました。そんなわけですから、この詩のことは、長い間、記憶の片隅に押し込んだままでした。

 ですが、再びこの詩を読んでみて、ようやく分かったことがあります。これは先生の心からの願いに私自身のエゴを超えた部分が共鳴して応えたものだったのです。これは決して格好良く書いたわけではない。間違いなく私自身の思いだった。あの時、確かに私は先生を通じてピュアな世界に触れていた。この詩はその証拠なのです。そう思えたら、なんだかとても感動して嬉しくなりました。自分の書いた詩を今ようやく消化できたような気がしています。クラスの目標として書いた詩は、そのまま私の人生の目標です。拙い詩ですが、先生への感謝を込めて、ここに掲載させていただきます。 文栄(坊守)