春夏秋冬・24

ご縁をいただいて

 朝晩が冷えてまいりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。年末が近づいて、学生時代の恩師や友人に会う機会が増えました。離れていても再会できるいうのはなんともありがたいことやなぁと感じております。

 私たちは日々出会いと別れを繰り返しながら暮らしています。人が生まれてから亡くなっていくまでに、出会える人の数は限られています。一生を80年として、1人の人間が一生のうちに出会える人の数はおよそ3万人と言われています。仮に一日10人の人と知り合ったとしても、80年でおよそ29万人しか出会うことはできません。

 地球上には70億人ほどの人が暮らしています。到底全ての人に出会っていくことなどできません。この世界であなたに出会えてよかった。心からそう思える出会いがあれば、生きていくことに悩んだ時でも大きな支えとなってくれるでしょう。出会えた人にどう接し、そのご縁をどう受け止めていくのか、そのことが常に問われているように思えます。

 しかし、一言でご縁と申しましても喜ばしい出会いばかりではありません。あの人嫌やなぁ、あの人が来るなら行きたくないな、顔は見たくないし声も聞きたくない。そんな人との出会いも人生では起こってまいります。うまくいかない関係もあるでしょう。苦手意識が消えない人もいるでしょう。ですがそんなことがあっても無理になんとかしようと焦る必要はないのかもしれません。

 人間関係には機が熟すということがあります。もし、その方との間にご縁の花が咲くのであれば、いつの日かカタカタと変化していくことでしょう。明日のいのちもわからない私達です。できることならあいつは違うこいつも違うとバッタバッタと切り捨てていかないことが大事ではないでしょうか。

 ご縁は、水面に波紋を広げる雨粒のように、円となり、混ざり合い、形を変え一つに溶け合っていく。人の一生は、与えられるご縁によって思いもよらない方向へと進んでいきますが、ついには同じ場所へと帰っていくのです。思えば、出逢いのご縁こそが、私の人生です。同じ時代を生き、出会わせていただく全ての人々に感謝の気持ちを捧げたいと思います。

 このあいだ、相田みつをさんの、こんな詩に出遇いました。

      その時の出逢いが
      人生を根底から
      変えることがある

      よき出逢いを

 新しい年に向かって、いい言葉に出遇いました。ではまた。

合掌

                         釋了徹