1.ISOとは? (1)ISOとは? International → 国際 Organization → 機構 for Standardization → 標準 国際標準化機構と訳されます。 本来は、頭文字を取って「IOS」となるはずですが、ギリシャ語の平等、標準を意味するISOSに由来し て「ISO」となったと言われています。 このISOSは、英語のisotope(同位元素)やisobar(等圧線)などの語源ともなっています。 (2)ISOという組織について ISOは、世界共通の標準、基準などの制定を行う組織(民間の国際機関)です。 電気・電子関係の規格、基準はIEC(国際電気標準化会議)で制定しますが、それ以外はすべてISO で制定しています。 (3)ISO9000’S規格及びISO14000’S規格の発行及び制定について ISO9000はBS5750(英国の規格)、ISO14000はBS7750をベースにして作られました。 なお、ISOの中には専門委員会(TC:Technical Committee)があり、その技術委員会で各国の代表 により、規格や基準は審議されて制定されます。 TC176 ISO9001など TC207 ISO14001など TCの中には、作業を行う分科委員会(SC:Sub Committee)や作業グループ(WG:Working Groups) があります。 (4)審査登録制度について 簡単に言えば、審査登録(認証取得)とはISO9001の要求事項を満たすQMS又はISO14001の 要求事項を満たすEMSが構築され実施されていること(適合性)を、審査登録機関に審査してもらう ことでです。 (5)日本のISO9000シリーズ規格の導入状況について 参考ホームページ 財団法人 日本適合性認定協会 http://www.jab.or.jp/ (6)ISO規格についての理解のしかた 規格書を良く読み返す、できれば英語の原文を読む、今までの解釈事例を調べる、規格に精通した 人に尋ねる、疑問が生じたら原文に戻る (7)ISO規格の読み方(用語の読み方) 「shall」:強制的事項 「should」:推奨事項 「may」:許容事項 「Notes」:解説事項 2.ISO9000シリーズ規格の概要 (1)ISO9001:2000の概要と品質マネジメントシステム構築の判断基準 ISO9001:2000の概要は次のとおりであり、これは、組織がISO9001:2000を使って品質マネ ジメントシステムを構築する場合の判断基準となる。 1.適用範囲 1.1一般 この規格は,次の二つの事項に該当する組織に対し,品質マネジメントシステムに関する要求事項を 規定するものである。 品質保証 a)顧客要求事項及び適用される規制要求事項を満たした製品を一貫して提供する能力をもつことを 実証する必要がある場合 顧客満足、継続的改善 b)品質マネジメントシステムの継続的改善のプロセスを含むシステムの効果的な適用、並びに顧客要 求事項及び適用される規制要求事項への適合の保証を通して、顧客満足の向上を目指す場合 (2)ISO9000主要規格について ISO9000:2000 品質マネジメントシステム−基本及び用語 ISO9001:2000 品質マネジメントシステム−要求事項 ISO9004:2000 品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針 ISO19011 品質及び/又は環境マネジメントシステム監査の指針 (3)ISO規格とJIS規格の関連について
(4)ISO9001の性格と基本的な考え方 規格の第一の狙いは、顧客の満足を第一に考えていること。この狙いを確実に実現するために、 ・顧客との契約を確認する ・顧客の要求する事項が設計(製造に)確実に伝わるような仕組みを作る ・顧客の要求する事項を満足する設計が行われるようにレビュー、検証、妥当性確認を確実に行う ・設計計画を策定し、設計の遅れによる製造のゴタゴタや納期遅れを無くす ・製造で使う原材料は必要な特性のものを入手するようにし、入荷時も確認する ・製造工程では決められた検査項目が確実に終わっていることを確認して出荷する 等々 品質方針に基づく経営を行うこと 経営責任者の基本的な考え方を全体に徹底させ、実行させる、 トップダウンによる品質経営を行う ボトムアップで品質経営を支える 3.ISO9000の考え方1 皆がわかってしまうと、チャンスはデメリットに変わりやすい。 認証取得が押しつけになってしまったり、下請再編成や淘汰のためのツールとなってしまうからだ。 現に、ISO9001は企業存続のための必須条件の一つとなった。 現在、ISO規格はある意味で「流行」のような様相を呈している。 また、認証機関の中小企業に対する営業攻勢も日増しに勢いを増している。 認証取得にあたって、中小企業パックと称してリーズナブルな費用を提示して来る機関も少なくない。 だが、認証取得にかかる費用は中小企業にとって大きなな負担となっている。 しかし、システム構築のために純粋にISO規格に取組み、企業体質を強化している企業も数多く存在 する。 名古屋のある企業は、現場作業員が全て何らかの資格を持ち、手順書や作業指示書に拘束されるこ となく、活き活きと仕事に取組んでいる。 同社はISO9002認証企業だが、ムダな社内文書は無くマニュアルもいたってシンプルだ。 長野県の企業は技術のブラックボックス化を図り、ISO9001とISO14001の認証取得によるQMS とEMSと、同社の強みである熟練作業技術の融合化を目指す。 同じく長野県の企業は従業員2名ながらISO9002を認証取得した。 皆、我こそは職人と自負するモノづくりが好きでたまらない従業員達だ。 東京の企業はわずか4名のサイトでISO14001を日本で最初に取得した。 現在、ISO14000取得を営業ツールに売上げを驚異的に伸ばしている。 京都の企業も負けてはいない。 京都市南区の保全工業は従業員数14名でISO9001とISO14001を取得。同社は、認証取得によ って訪れる人が驚くほど現場が改善された。 伏見区の西嶋製作所は29名でISO9002を取得。会社全体が一丸となった。 右京区の上田鍍金は20代の若手3名を中心に活動を進め、ISO9002を取得。 リーダーは「合格間違いなし。」という審査員の言葉を聞いて男泣きに泣いた。 中小企業は人で成り立っている。 少数であれば精鋭にならざるをえない。 「製造作業をせずにISO専任となる」という人材の不足を熱意とパワーで克服しようとする中小企業が 存在することは心強いことであり、積極的に応援したい。 4.ISO9000の考え方2 ISO規格の認証取得は早期(全国で1番、業界で一番、京都で1番に認証取得するなど)でなければ、 それだけで売上げや利益増加につながることは無いということを認識すること。 そして、あくまでも経営目標を達成するためのツールであることを理解すること。 中小企業が生き残り、勝ち残るための方法は各企業にとってまちまちである。 親企業にと共存共栄を図るのも良し、熟練技術者に頼るのも良し、新鋭設備を導入するも良し、ISO 規格などの各種管理技法を導入するもまた良しである。 ようは自社にあった策を見つけて取組むことだ。 必ずしも、ISO規格を認証取得しなければならない必然性は無い。 しかし、企業存続のために「マネジメントシステム」を構築しようと考えた場合は、少しニュアンスが違っ て来る。 企業のマネジメント・システムを構築するためのツールには様々なものがある。 TQC、TPM、IE手法、5S活動、KT法など日本が最も得意として来た管理手法もマネジメントシステ ム構築のためのツールとなる。 だが、経営陣がそっくり入れ替わっても企業体質が変わらない、ある意味で人に頼れない目に見えな い部分を構築するためのツールはISO規格が最適と考えられる。 それは、日本の従来の管理手法はあくまでもシステム構築のための手段であり、その達成度は現場 のリーダーの技量によって左右されるのに比べ、ISO規格はシステムそのものの構築を主眼に置い ていることに他ならない。 目に見えない部分の「非効率」に光りを当てるのがISO規格なのだ。 大手企業の場合は、マネジメントシステム無くして成長出来なかったはずであり、それは既に構築され ている。従って、ISO規格の認証取得は業務上で必要なライセンス的な意味を持つ。 中小企業の場合、マネジメントシステムというよりも人という熟練者に頼る部分が大きい。 しかし、熟練者の高齢化とともに若手技術者が減少し、何より生産拠点の海外移転や部品の海外調 達に示されるように「価格が少々高くても、精度の良い製品(部品)」の需要そのものの価値が低くなっ て来ている現状では、熟練者と非熟練者をバランスよく育成することが急務となっている。 それを考えると、ISO規格に基づいたマネジメントシステム構築の必然性が見えて来るのではなかろ うか。 5.ISO9001規格の考え方と活用の仕方 ※要求事項はすべて網羅していません 経営者の責任 ビジョンや品質方針を定めて従業員に周知し、啓蒙する 責任と権限を明確化して、誰が何をすべきなのかハッキリさせる 自分の片腕、参謀などを育成して任命する 自社は現状のままで良いのかどうか、定期的に考えてチェックする 品質マネジメントシステム うちの会社は、「最低、これだけのことは完璧にやるぞ!」というルールをつくり、実行する 決められたルールしか守らない場合は、教育訓練が必要です 営業 お客様が何を要求しているのかをキッチリと把握し、それを確実に関連部署に伝える 設計 お客様の要求を満足させるための設計をキッチリと行う 購買 ちゃんとしたモノを入手できる仕組みをつくり、入手時にも確認する 顧客所有物 お客様から預かっている品をちゃんと管理する 工程管理 さて、ちゃんと造るぞ!というために必要な仕組みづくりを行う おいおい、本当にちゃんと出来てるの?という不安を無くす 機械のチョコ停止によるムダをなくす 識別 これは何?、今は何をやってるの?という状態を無くす 「おお〜い!これ検査したの?わからない?仕方が無いなあ、もう一度やるか・・」を防ぐ この製品は、こうやって造りましたよという証拠を出せるようにする 取扱い、保管、包装、保存及び引渡し カラー鋼板を重ねるなよ!何でこれ錆びてるの?箱を空けたら欠けてたよ!いやあ、運搬中に製品が こけちゃいまして・・・なんてミスを防ぐための仕組みづくり 検査・試験 ダメなモノは入れない、次工程に送らない、外に出さないための仕組みをつくる 測定機器の管理 せっかく行なった検査だから、その信頼性を確保するために行なう 不適合品の管理 不良品を確実に処理するための仕組みをつくる 文書管理 決められたルール、活用すべきデータをキッチリと管理する 「それ使ったらアカンやんか!」というミスを防ぐ 記録管理 データをちゃんと蓄積するための仕組みづくり 活用もしない記録を作成しない仕組みづくり 内部品質監査 ルールの実行状態のチェックと現在の良否の判断及び改善のためのデータ収集を行なうための仕組み づくり 教育・訓練 資質向上は自努力でやれ!という無茶は言わずに皆に最低の能力は持ってもらうための仕組みづくり データ分析 改善及び改革のための基礎資料作成 是正処置 同じミスは繰り返さない仕組みをつくる 予防処置 不具合を出さないための予防、保全
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