![]() 1.ISO14000規格について ISO14000'Sは、第三者(認証機関)による審査という仕組みが取り入れられている。先にも述べ たが、この審査基準となる規格がISO14001である。 この第三者審査には、環境パフォーマンス(実績や達成度)を含まない。 だが、法規制や条例等の遵守及び継続的な改善が求められており、認証取得したからといって、 未来永劫、現状維持で良いということでは無い。 また、この規格は大手企業、中小零細企業、業態、業種、民営、公営を問わず、あらゆる組織が 取組むことを期待している。 しかし、ISO14001は、ある意味で大手の製造業者が理解しやすい内容となっているのは確か である。 これを払拭しようとしてか、ISO14001及びISO14004には「中小企業」という単語がしばしば 使われ、TC207においては中小企業のための別規格を作成しようといった動きもある。 ISO9000では、TC176において中小企業のためのISO9000の手引き(助言)が1996年に まとめられ、ISO中央事務局から刊行された。 ※正式名称:ISO 9000 for Small Business What to do - Advice from ISO/TC176 反面、これが助言の域を出て「中小企業のための規格」となった時点でWスタンダードが発生し、 かえって混乱を招く恐れもある。 ISO14004は、審査登録のための規格ではない。 組織がEMSの実施を構築し、実施する場合のガイドラインである。 具体的に言えば、ISO14001を理解するための参考書の役割を担っている。 したがって、ISO14001の認証取得を考える企業は、ISO14001規格とともに、ISO14004も 熟読する必要がある。 2.ISO規格をどのように考え導入するのか(ISO14001の場合を例にして) (1)何をすれば良いのかわからない 現在、国際的な環境問題に積極的に取り組んでいるのは一部の政府組織、比較的に規模の大き な営利組織及び非営利組織、そしてそれらに属する少数の人々である。 しかし、本来はあらゆる組織や人間は地域的で身近な環境問題において、その役割を果たさなけ ればならない。 この役割分担は、もちろん「モノづくり」に携わる企業にも割り当てられ、中小企業とて例外ではない。 注意すべきは企業において、利益を出して社会に奉仕するというその存在理由から、経営活動と 環境改善活動のバランスを取りながらこの役割を遂行しなければならないこと。 しかし、この経営と環境のバランスを取るという行為が、環境への取組みを非常に複雑で難解なも のにしてしまっている。 そして環境問題がグローバルであるという理由などから崇高なものとして取り扱われることもそれに 輪を掛けているのが現状のようだ。 それが多くの中小企業の「何をすれば良いのかわからない。」という言葉につながっている。 また、特に中小企業の場合は「ウチには関係無い」という意識も作用する。 それは何故であろうか。 (2)降りかかるかもしれない火の粉を如何に先取りするか=チャンスとするか 大手企業の場合は、国や地域とともに利害関係者からの影響を直接に受ける。 そしてそれが企業イメージに結びつき、売上げや利益の増減に直結する。 そのため、地球環境問題に対しても利害関係者へのPRとともに、海外での事業展開に有利だからと いう理由が明確となり、会社として素早く社内で専門家を養成して対応する。 しかし、中小企業の場合は利害関係にある相手は通常、親企業に集約される。 そのため、親企業が先に受けた経営環境(=リスク)を親企業というクッションを通じて 「親企業の要望」という形で受けることになり、危機的なリスクをまともに受けることは少ないが、反面、 それが対応の遅れにつながっていわゆる「親企業に振り回される状況」に陥やすい。 まず、中小企業においてはいち早く親企業が受ける経営環境を察知し、親企業よりも早くそれに取組 むか、遅くとも親企業と歩調を合わせて取組むことが大切である。 それが振り回されないための最上の方法であるはずだ。 そういった前提のもとで、環境問題も考える必要がある。 親企業が取引先から環境への配慮を求められている場合や親企業が欧米への輸出に力を入れている 場合、もっと具体的には親企業が環境測定器関連のメーカーであったり、ISO14000の認証取得を考 えている場合など。 この様な場合、中小企業は早急にISO14000'S規格に基づいたEMSを構築すべきである。 差し当って、親企業が環境に対して要望することが無いとわかった場合。 これは千載一遇のチャンスであり、いろいろな選択肢を持つことが出来る。 例えば、 環境問題について独自の手法や理念を持って、個人として取組むべき内容と、企業として取組む内容を 検討し実施する。 ISO14000'Sの理念を導入して環境問題に取組む。 いち早く、ISO14001の認証取得に取組む。 ISO9001がそうであった様に、大手企業がISO14001の認証取得に取組み出すまでの「誰もがわか っていない時期」、「大手企業から要請されるまで」が中小企業にとってのチャンスとなるのだ。 (3)すでに火の粉は降りかかっている 2002年の末、関西地区の大手家電メーカーが協力企業を集め、1年と少しの期間でISO14001及び ISO9001の認証を求めた。 品質や環境に配慮するグループに協力会社も入ると位置づけ、共存共栄の御旗のもと、あえてこの時期 に費用のかかる審査登録を求めた。 ISO14001への取組みを環境への配慮とするならば、これは火の粉ではない。 しかしながら、取引先からの要請であること、従わなければ取引が無くなるかもしれないという不安を考え れば、これは降ってわいた災難でしかなくなる。とりあえず認証取得なのだ。 「いいや、災難なんかじゃあないよ、いい機会だよ」 中小企業の皆さん、もう、考えている時間は無いのかもしれません。
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