NEWS 2000.04.10

真面目なNEWSからそうでないニュースまで。
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最近、配信が少なくてすいません!!

【そっ、そんな簡単なもんじゃない】

私は月間工場管理という本が好きで、購読しています。最近はこの月刊誌にもISOに
関する特集が増えてきました。
4月号でもISOのムダとりという特集が組まれています。
サブタイトルはISOを楽に、早く、安く取るための方法。

しかし、この特集を読んでガックリときました。
まえがきでは、軽い品質マニュアルをつくろうと書かれています。
でも、なんで品質マニュアルが軽くなければいけないのか。私にはわからない。
本書では、認証の取得は100点を目指さずに60点で十分だとか、一発合格を目指すと
システムが重たくなるとしています。

審査機関の選定方法でも、60点合格をOKし、イギリス型の20〜30ページの品質マ
ニュアルでOKしてくれるところが良いなんて助言まで載せています。

それなのに、せっかくISOを取るんだから取得には1〜2年かけて、

プロセス発想法で、
トヨタ生産方式による5ナゼで、
問題点の原因を1次、2次、3次で層別して、
小改善、中改善、大改善に分けて旗展開して、
トヨタ式の標準作業票で標準化しましょうとしている。

トヨタ式の標準作業票で標準化する理由は、ISOのように文書で標準類を作っても不良は
発生するからだそうです。

QC工程表はムダと言い切りながら、不良が出るのはモノづくりの仕組みやレイアウトが悪い
からとして工程設計の重要性とIE的問題解決のプロセスを良しとする。
極めつけは本審査で改善前の写真と改善後の写真を審査員に見せて現場を見せるのだなんて。

なぜに改善改善と言っていた方はこうなんでしょうか。
論点は改善は良しだがISOは駄目だ!です。
ここからスタートしているから、ISOを楽に、早く、安く取るための方法という特集になっ
ていません。

書いてあることはためになりますが、「ISOのムダとり」と改善を分けて読まなければなら
ない読者のムダを筆者は考えていない。

C社がISOを上手にとった5つのポイントなんて、ISOのことなんて「これっぽっち」し
か書いていません。
ここまでISOとかけ離れたISO特集は必見です。

※こき下ろしていますが、頑張って読むと面白い個所がいくつもある特集です。
 一応、フォローまで。こんなことがあっても、工場管理は私の愛読書です。

私はいつも言っているのですが、巷でよく言われているような「軽い品質システム」で楽に安く
短い期間で本審査に合格出来るかというと、ほとんどそれは不可能に近いことです。

また、せっかくISOに取り組むのだから、この際に改善活動も含めて実施するというのも、よ
っぽどの覚悟がないと出来ません。

あえて言わせていただくと「そんなにあまいもんじゃない。」

ISO規格は、他社に「このように、やっています。」という根拠を示さなければなりません。
これが文書類や記録類なのですが、確実に工数は増えます。
しかし、この工数を間接と考えるのか否か・・・。

悲しい話ですが、モノづくりだけをちゃんとやっていても勝ち残れない時代です。
何か、新たなものにチャレンジする時は、楽なはずは無い。加えて金もかかる。
何よりも、後ろを振り返ると誰もついて来てくれない。
これはISOだけに限ったものじゃあ無いはずです。

しかし、真面目に取り組めば必ず成就し、それは血となり肉となります。
今、本審査の後にISOを会社全体に浸透させて改善や改革に取り組むことが増えています。
本審査に向けたキックオフ大会よりも、合格後の取り組みが会社の命運を左右します。

悲しいかな、本審査の受審は世に言う重たいシステムでないと合格できません。
本審査の合格後が本当のスタートなのです。

あんまりISOに期待を込めると審査でこけることになります。
受審は、やはり審査合格を考えて体制を整えるべきです。
でも、これも無駄じゃあありません。
必ずや社内にパワーの源が生まれます。そこを見逃しちゃあいけない。
そこからスタートです。ISOをツールとして活用できるのか、はたまた振り回されるのか。

毘沙門天さんをご覧ください。
屈強な体躯、それを守る鎧、敵を倒す槍、そして知恵袋としての宝塔。
まず、体を鍛えなければ鎧の重さで押しつぶされます。
技術が無ければ槍を持っていても使えません。
頭が柔軟でなければ宝塔にいる高僧の話は理解できません。
さて、すべてを強化するのか、いずれかを特化するのか。
選ぶのは貴方自身です。



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