伝言板 1998.07.17

お役所

今回は、少し短くも恐いお話です。

先だって、こんなメールが入りました。

「僕の会社は食品メーカーなんでHACCP(危害分析重要管理)について、
お役所様の講習会の案内がきます。恐いもの見たさの感覚で出席してみま
した。24〜25歳の若い保健所の担当者は、実際の品質管理や生産の現場
というのを知らないのです。そんな人がなにを講釈したって、みな実際に関わ
ってる人にしてみれば単なる不利益な負担業務です。行政の指導でやれとい
うなら虚構記録をつくってしまうようになってしまいます。」


こんなメールです。
最近、役所がいろいろな研修会や講習会をやってくれるのは良いのですが、
担当されている方によって、同じテーマでもまったく内容が異なります。
これは様々な施策も同じです。

現場に即応していない。

役所の方は、実際に現場で働くことはありません。
しかし、現場で働いた経験が無くても、現場を知ろうとする気持ちがあれば良
いのですが、それさえ無い方が多すぎます。だから面白くない。

けれでも、役所や行政機関は情報の宝庫であり、知の宝庫です。
どんどん利用しなければなりません。これは企業の義務です。
何故ならば、役人の給与は税金で賄われているのです。
納税の義務は果たしているのに、利用しないなんてことは権利の放棄です。
権利の放棄=利潤を追求する企業にすれば義務違反です。

ただし、注意しなければいけません。
役人は、未だに3年ごとの異動があり、行政マンとしての調整能力のみを要求
されていらっしゃいます。

新聞や雑誌に○○市役所の○○部が凄いことをした!と掲載されたとしましょ
う。例えば、内容は中小企業に対する効果的な支援策であったとします。

それを読んだ皆さんは、○○市役所の○○部は凄い!とお考えになります。
そして、中小企業にとって神様みたいな所だ、となって会社に来てもらうことに
しました。

ここで、大きな間違いに気が付くのです。
実際に会社に派遣されてくるのは、それなりの役職についている調整型の方
です。何の役にも立ちません。

○○市役所の○○部は凄い!
しかし、凄いのは所属する1〜2人だけです。
何十人もいる○○部で、1〜2人くらいは現場で働いた経験が無くても現場を知
ろうと努力する方がいらっしゃいます。その方が凄いのです。
悲しいかな、役人の場合は若くても調整型の人材が多すぎます。

さんざん待たされたあげく、扇子片手に草履でペタペタ音をさせながらやって来
た方に、後追い施策を説明されたって聞く気にはなりません。
加えて十八番(おはこ)はタライまわしと来ます。

ここで恐い話をしましょう。

ある役所の集まりに出席した時のことですが、役所の幹部が最近の景況をす
べてひっくるめて「産業構造の変革」の一言で片づけておられました。
施策検討の会ですが、自分の先見性の無さと現場を知らないため後追い施策
しか打ち出せない理由もすべて「産業構造の変革期」でした。

その後の懇親会の席で、「利益を出すのに四苦八苦したくないから役人になった。
だから、的確な中小企業の生き残り施策なんて考えられるはずがないじゃないか。」
と語られて、回りのお役人も肯きはすれ否定せずでした。
こんな方々が中小企業白書を読みながら景況を語り、景気対策を立案されます。
恐くなりました。



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