伝言板 1998.05.02

Yさん、頑張って

先だって、家に帰ると一通の手紙がポストに投函されていた。

差出人を見ると、見慣れた名前。

顔を見たことは無いが、名前だけは良く知っている。

私のホームページを見て、電子メールをいただいてからお付き合いが始まった

Y氏からの手紙であった。

Y氏は北の地で食品会社に勤務される、ISO9000シリーズの推進担当者。

実は、私はこの北の地の牧場で2ヶ月間、アルバイトした経験がある。

最初は肉(ジンギスカン)を食べ放題で、雨なら休みとのことだったが、肉を食

べたのは2カ月で2回だけで、あとは菜っ葉でご飯を4杯ぐらい朝からおかわり

していた。

雨が降れば休みとのことであったが、結局、一回も降らずで休みなし。

毎日、朝の4時に起きて晩の7時まで肉体労働。

べーべーと(そこでは牛を集める時にこう叫んだ)牛を追う毎日だった。

一度、車で2時間くらいかけて街のスナックに遊びに行った思い出や、少年ジ

ャンプの発売日が木曜日で驚いたことなどなど。

観光はほとんど出来なかったのだが、若さ一杯の日々で肉体的な苦労など何

のその。

帰路の船(今はもう廃船となっている)では、さだまさしの関白宣言がジュークボ

ックスで流れ、その頃はまだ、ギターを抱いた見ず知らずの青年達が輪になっ

てフォークソングを歌う。私にとっては良き思い出の地。

そんな場所で、Y氏は苦労されている。

何度もメールをいただき、それにお答えする日々が続いた。

そして、1冊の本をお送りした。

そのお礼として1通の手紙が送られて来たのだ。

内容は・・・・

今まで、ひたすら取り組んできたものの、ここに至ってこれまでの進め方や自社の

現状が正しいものか、受審におよぶ段階に達しているのか推進責任者として冷静

に考える術を失っているのが自分でも良くわかっておりました。

本審査を向かえ、何をどうすればいいのか正直、途方に暮れておりました。

そんな折り、帰宅するとポストの中に大きな封筒が差し込まれており、急いで中を

確認いたしました。

中の本を見たとき、一瞬、誰かに「余裕を持って冷静に」と声をかけられたように励

まされたように感じました・・・・・・・。以上お手紙の内容要旨

手紙の内容を記載すべきかどうか、とても悩んだのだが、あえて記載することにし

た。なぜなら、この気持ちは日本中のISO推進者にとって共通のものであり、私の

気持ちそのものでもあるからだ。

私は、この手紙をいただいて非常に心を打たれた。

Y氏に「頑張って!」と京都からエールをお送りするとともに、ISOに携わる者として

下手は出来ないと心を引き締め、同時に私自身にもエールを送った。

私にとって、この手紙が「余裕を持って冷静に」と声をかけられたように励まされたよ

うに感じたからである。

幸い、私のまわりには同世代で頑張る人々がいる。

地方経済誌を発刊した人、機械金属関係の団体で代表幹事として頑張った人、

中堅企業の2代目として社風を変えようとしている人、黙々と木型の職人としてマイ

スターを目指す人、そしてISO推進担当者として首が回らないほどに規定類を作

成する人などなど。

Y氏にとって、私が「まわりの頑張る人」でいたい。

北の地と京都であっても、

それが可能な時代、ネットワーク通信の発達した時代になったのだから。



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