伝言板 1998.04.30
電子化の難しさ
先だって、下記のような質問が寄せられた。
詳細は守秘義務があるので記載できないが、概略を説明する。
(質問.1)
コンピュータに入力する人が権限を持っておれば、承認(承認行為)をしたこと
として扱えますか。
(質問.2)
製造の担当が、受注情報(オーダーシートと呼ぶ紙をプリントアウトしている)を紙
に打出していますが、この行為を「発行」と呼びますか。
それとも、営業の受注担当が、承認(承認行為)をし、サーバーに保管することを
「発行」と呼ぶのでしょうか。
質問された背景
この質問は、プリントアウトした紙に「承認印」がないと云う指摘からのもので承認
(承認行為)は、営業の受注担当が行っており、プリントアウトしたものは「受領」で
あると考えているのですが…
また、プリントアウトを「発行」と呼ぶのかどうかも合わせて明確にしておきたいため
です。
最近、電子化に関する質問が非常に多くなっている。
紙媒体での文書管理時代に生きてきた方々が多いため、皆さん、苦労されている
ようだ。上記の質問については、
パスワードでアクセスを統制して、日付等で確認できれば承認といえる。
発行については、この会社がどう規定しているかによる。
また、せっかく電子化しているのに「はんこ」という手間をかけるのはナンセンスで
ある、と回答した。
私の会社では、パソコンを持つ相手に対しては「送信」したときが発行だし、パソコ
ンを持っていない(予算の関係で皆に行き渡っていないので)相手には紙媒体でプ
リントアウトして、渡した時点を発行としている。
まだまだ紙での保管が主流なので、
検討→起案→皆がはんこを押す(確認)→社長がはんこを押す(承認)→
起案が戻ってくる→決済日を記入する→文書番号をもらう→文字等の修正を行う→
プリントアウトする→ホッチキスで止める→出来たとほっとする(発行)
という手順が多い。
質問のあった会社の場合は、営業の担当者が上の行為を一気にやるようだ。
もちろん、責任と権限が与えられているはず。
手順は、
責任と権限を持つ受注担当者が、契約内容の確認を手順どおり行い、その情報を
パスワードでアクセスを統制して、日付等で確認できる方法でコンピュータに入力
する。
受注担当が、入力後、受注内容に間違いがないかどうか確認し、サーバーに保管
する。
間違いがないか確認された時点で、承認された文書が出来上がり。
しかし、サーバーに保管する行為が、たとえば誰にも知られていないならば、発行
はされていない。
しかし、製造担当が毎日、何時にプリントアウトするなどが決められているならば、
サーバーに保管した時点で発行となる。
たとえば、あなたが文書をしかるべき場所に持って行ったと考える。
そのしかるべき場所に製造担当者が定期的に取りにくる。
たとえば、現場にポケット付の管理ボードがあるとしましょう。
製造担当は、毎日、今日の分のポケットから作業指示書等を抜き出して現場に指示
します。管理ボードはサーバーにあたります。
昔は、「お〜い!これが今日の仕事だぞ」と渡していた時は配付しないと誰も仕事が
できなかった。
毎日、朝の8時に営業の○○箱までオーダーシートを取りに来るという手順に変えれ
ば営業は文書を製造現場まで持って行かなくても良くなるが、製造が文書を取りに行
かなければならなくなる。
コンピュータはどちらも取りに行く手間が省けるのだ。
なお、私はパスワード管理もナンセンスだと思っている。
特に、中小企業の場合は、お金のかかるシステムとなるため、導入は難しい。
極端に言えば、パスワード管理しなくても良いように、ISOに取り組むのであって、
大手企業以外はパスワード管理を勧めていない。
HAW toの部分なので、ISO規格に最低限対応したお金のかからないシステムを
構築していただきたい。
なお、余談であるが、
ISOの審査員もそうだが、多くの中小企業診断士やコンサルタントはパソコンを持って
いない。
従って、パソコンの良さを説明してもチンプンカンプンことが多い。
私は、とある先生にFAXを買うように勧められたことがある。
パソコンやザウルスを持っていたので、これを使おうかどうか迷ったのだが、パソコンを
つけっぱなしだと電気代が高くなるので(ザウルスは心もとないし)、電話機が古くなっ
ていたこともあってFAX機器を購入した。
とある先生にそれを報告すると、「パソコンも良いけれど、FAXもいいでしょう。」
「パソコンできれいに文書が出来ても、それをプリンターで出力して、FAX機器に入
れる手間と時間が、私にはもったいないんですよ。」と笑顔でおっしゃったくらいだから。
ちなみに、この方は世界に羽ばたく大手家電メーカー出身。
現在、我が家のFAXには手書きの文書しかFAXされて来ないし、どう考えても手書き
の方が確実で早くて楽な世代が多いようだ。
だから、電子メールのやりとりが出来れば仕事が飛躍的に効率アップすることがわかっ
ていても、その話はしないことにしている。
ああ、早くまるまったFAX用紙をまっすぐに伸ばし、変色しないように日に当てないよう
気遣う日々から開放されたい。
電子メールは諦めたが、つけっぱなしにしても月々の電気代の安いパソコンを待ち望む
今日この頃である。
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