夾竹桃(oleander

 

ささやかな街の空き地

葉をこんもりと茂らせた2株の樹

1株と1株の間に遠い山を入れ

不思議な空間を向かい合う

 

 

 

まあるくなぞられた葉群れ

軽やかに咲き乱れる花のユニゾン

ひかえめなピンクに秘めた

生る緊張

夏のきみたち

わが心に生まれる

尊厳の鼓動

 

 

 

せみ時雨もひときわ高く

陽は地上への憎しみを込めて

熱の矢を射る

 

生き物すべてが消える午後

夾竹桃の夏はヒリヒリと痛い

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