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 冬 気 (とうき)

 

空に、大きな雲が去っていく

梢に揺れる蓑虫坊主

冬は凍りつく言葉の苦しみの日

 

ある夕暮れは

町往く人々に

暖かい家庭の妻や

はしゃぎ回るこどもたちの

湯気をあげる吐息を

込み上げるほど

懐かしくさせて・・

風はヒュウヒュウと往く

 

 

 

みるみる空一杯にかぶさる黒雲

遠い山々のうねりをぬけて

今夜も 吹雪は

人を凍りつかせる

もう、こうなれば

いくら悲しみをこらえても

そっと

手の平でまぶたを押さえたところで

若い、君達よ

悲しみは消えはしない

 

 

 

風は、北の山々から

遠い原野から

あんなにのた打ち回りながら

山裾の、固く閉ざされた家々の戸に

ぶちあたり

そら、電線に

そら、骸骨の銀杏並木に

泣きながら

走っていくよ

 

ヒヨヨン ヒュウ

ヒヨヨン ヒュウ

ヒヨヨン ヒヨヨン 

パタッ        詩:かみがしげよし