【見たかった初夢】  伏見医報 2022年1月号  栗原 眞純
 年の初めに同世代の友人から私のスマホに「使っていたdocomoスマホを替えたのだけれど、うまく使えない、高齢者用簡単スマホの筈だったのに」というショートメールが来たのですが、何度返信しても反応がありません。通常メールの返信も出来ないばかりか、090-****の電話もかからず固定電話番号も分かりません。当方も開院から45年目を迎え終診の残務整理に追われて対応出来ないでいました。
 これは新しいスマホの使い方が分からないのに違いありません。サービスが極端に手薄になるコロナ禍の年末年始にスマホを新しくするとは無謀な冒険をされたものです。
 日々進化している筈のスマホが高齢者にとって何故、もっととっつき易く使いやすいものにならないのでしょうか。以下見たかった初夢です。

 新しいスマホが届きました。
 真新しいケースにはただ「開封してスマホに話しかけて下さい」と書かれているだけです。
 開封するとピカピカの新品が現れました。「さて何を話そうか」と思っていたら、まだパスワードもスイッチも入れていないのに。スマホの方から話しかけてくれました。スマホ:「明けましておめでとうございます。今日から私はあなたのパートナーです、何かお手伝いしましょうか?」私:「**さんにメールしたいんだけど」
 それだけで簡単にメールの送信が出来てしまいました。そのあともスマホの使い方に始まって何を聞いても老人に分かり易いように上手にことばで対応してくれるのです。AIの進歩のおかげです。
 これが見たかった初夢です。現実はなかなかこんな風には行きません。

 スマホ(=高性能コンピュータであり、単なる携帯電話ではありません)にはすでにSiriや ok,Googleなど(以下Siri)のAIアシスタント=音声アシスタントが装備されています。人間語で話せばスマホが自分でスマホ語に直して理解し、働いてくれる機能の始まりかと思って淡い期待を持ったものです。
 スマホ初心者がスマホに慣れるにはSiriの進化が必須と思うのですがまだまだSiriは1歳児にも及ばない幼稚さです。
 高齢者にとってスマホが使いにくいのは単に、運悪く下手なスマホセールスに当たっただけではありません。スマホ製作者の怠慢が大いに関係しています。天才S.Jobs氏が生きて居ればスマホは今よりはるかに賢く使いやすいものになっていたことでしょう。 令和4年1月31日記

                     

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