糖尿病とは

 糖尿病とは種々の原因による糖代謝異常のために血糖値が慢性的に高くなる病気です。通常空腹時血糖値が120mg/dl以上あると糖尿病が疑われます。

 血糖値の高い状態が続くと、慢性的な糖代謝異常の結果、全身の細小血管に退行性の変化を来たし、数々の恐ろしい合併症を引き起こします。特に網膜や腎糸球体に障害を来し、失明や透析の必要な腎不全などを起こすことがあります。

 糖尿病は脂質代謝異常をも引き起こし、動脈硬化を促進させます。その結果狭心症、心筋梗塞、脳梗塞や四肢の血行不全を来します。

 また、糖尿病は神経系をも侵し、神経痛、異常感覚、知覚障害、自律神経障害などを起こします。

 糖尿病は栄養過多、肥満、運動不足などで発症しやすく、また糖尿病を起こしやすい体質は遺伝します。

 糖尿病の分類

1.インスリン依存型糖尿病−−−−膵臓の障害のため治療にインスリンが必須である糖尿病で日本ではあまり見られません。全糖尿病患者の1%以下なのでこの型の糖尿病についてはこれ以上述べません。

2.インスリン非依存型糖尿病−−−インスリン投与は必ずしも必要でなく、日本の全糖尿病の99%以上を占めます。いつのまにか知らない間に多くは中高年者に発症しますが近年若い方にも増えて来ました。治療は食事療法、運動療法が中心となり、これで十分な効果の見られない場合には血糖降下剤の内服やインスリン注射を行います。

 血中ヘモグロビンA1c(HbA1c)の検査は糖尿病の経過を見る際にたいへん重要な検査です。過去1〜2カ月間の血糖値の平均値を表現するものです。5.8%以下が望ましい値です。

 糖尿病の治療

 糖尿病の体質そのものを治すことは難しいので、食事療法、運動療法、薬物治療により血糖値を適正にコントロールすることによって恐い合併症を起こさないように心がけます。

 食事療法−−−@患者の年齢、生活様式、肥満度などを考慮して1日に必要な総エネルギー(カロリー)を決めます。A食品交換表(日本糖尿病学会が作成したもので書店で購入できます)や糖尿病食の献立集(書店で買えます)を参考にして栄養の偏らないバランスのとれた食事を摂ります。Bアルコール類はなるべく止めるべきですがどうしても止められない場合は1日160カロリー程度以下に押さえます。

 運動療法−−−毎日適度の運動をつづけるよう心がけます。各人の1日必要カロリーの10%程度を積極的な運動で消費するようにします。体重60kgの人が10分間行ったときに消費するおおよそのカロリー数は次の通りです。歩行:54、ジョギング:93、ダンス:35、平泳ぎ:118、卓球:89、テニス:86、ゴルフ:50。

 経口血糖降下剤やインスリン療法については個々の病状にあったやり方を主治医にお尋ねください。なお、これらの薬物を使用される場合は、低血糖(血糖値50mg/dl以下)を起こさないように注意してください。低血糖の症状としては、空腹感、けだるさ、あくび、冷汗、動悸、ふるえなどがあります。ひどい場合は昏睡状態に陥る場合もありますが、このような時には至急病院へ行ってください。低血糖に気付いた場合は砂糖、甘いジュースなどを少量摂ってください。常時角砂糖、あめだまなどを携帯されることをおすすめします。

 低血糖を起こさないためには決められた量以上の血糖降下剤を服用したりインスリンを注射したりしないようにしてください。また何らかの理由で食事の摂取量が少なかった場合には薬物の摂取量も減らすようにします。