高脂血症とは、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪が異常に増加した状態をいいます。
高脂血症自体にはあまり自覚症状は無いのですが、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などの原因となる動脈硬化を引き起こします。高脂血症の人が狭心症や心筋梗塞などの心疾患にかかる割合は正常の方に比べて4倍に、高脂血症と同時に糖尿病や高血圧症があると16倍に、高脂血症、糖尿病、高血圧症が全部合併して居れば32倍にもなるという報告もあります。
空腹時の血液検査における正常値の目安は、他に糖尿病、高血圧症などの無い人では総コレステロールが240mg/dl以下、中性脂肪が150mg/dl以下です。しかし、高脂血症に糖尿病や高血圧症が合併している場合には総コレステロールの適正値は200mg/dl以下となります。
高脂血症の原因には遺伝的な体質、肥満、食べすぎ、運動不足、飲み過ぎなどがあります。また女性は更年期になるとコレステロール値が上がりがちです。
高脂血症の主な治療には、食事療法、運動療法、薬物治療があります。
一日に摂取するカロリー量を適正にすること。一日に必要なおおよそのカロリー数は次のようにして求められます。 (身長(m))×(身長(m))×22(女性の場合は21)×25〜30 kcal 例えば身長1.6mの女性であれば、 1.6×1.6×22×30 = 約 1700 kcal ということになります。 余り動かない方は30のところを25として計算してください。
一日で摂取する食物中のコレステロール量を300mg以下に押さえます。コレステロールの多い食品としては、鶏卵その他の卵類、霜降り牛肉、うなぎ、レバー、いか、えびなどです。中性脂肪が高いときは砂糖、甘い果物、アルコール類の取りすぎにも注意してください。
豆類、さつまいも、ごぼう、きのこ、海藻、こんにゃくなど食物繊維を豊富に含んだ食物を多く取るとコレステロール値が下がります。ビタミンE、C、カロチンを多く含む緑黄色野菜、果物、種実なども動脈硬化を防ぎます。
毎日適度の運動をつづけることでコレステロールや中性脂肪の値を下げることができます。また、喫煙は動脈硬化を促進させるのでよくありません。睡眠不足も心臓疾患の原因になるので注意してください。
血液中のコレステロールや中性脂肪を下げる薬剤はいろいろのものがあります。食事や運動療法で適正な値まで下がらない時にはこれらの薬剤を処方いたします。