収縮期(上の)血圧が140mmHg以上、または拡張期(下の)血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と言います。この内、収縮期血圧が140〜159mmHg、または拡張期血圧が90〜99mmHgのものを軽症高血圧、収縮期血圧が160〜179mmHg、または拡張期血圧が100〜109mmHgのものを中等度高血圧、収縮期血圧が180mmHg以上、または拡張期血圧が110mmHg以上のものを重症高血圧と言います。

 他の病気が原因で起こる高血圧もありますが、大部分の高血圧は他にはっきりした原因の求められない高血圧で、これを本態性高血圧症と呼びます。

 高血圧が長期間つづくと、高い圧力がたえず血管壁にかかって正常な血管構造が失われ動脈硬化を起こします。動脈硬化を起こした血管はもろく壊れやすく、血管破裂を起こしたり、壊れた血管壁の一部が流れ出して血流異常や血栓を起こし、脳梗塞、心筋梗塞などの原因となります。

 本態性高血圧症の治療には食事療法、運動療法、薬物治療があります。

 高塩分食は血圧を上昇させます。高血圧の方は一日の塩分摂取量を8グラム以下に押さえましょう。平常から塩分控えめの味付けにし、ラーメンのおつゆやざるそば・うどんのつけ汁は飲まない、お漬け物にしょうゆをかけないなどの注意が必要です。

 高血圧の主な原因の一つに肥満があります。一日の摂取カロリーを標準体重(身長(m)×身長(m)×22(女性は21))1kg当たり25〜35kcalとしてこれを三食に等分して食べるのがよいのです。睡眠前の食事はよくありません。また毎日適度の運動を心がけて体重を標準体重に近づけるようにしてください。

 適度の運動には血圧降下作用があります。毎日つづけることが肝要です。

 降圧剤にはその効き方によっていろいろの種類があります。その中からよく使われるものの特徴を記します。一種類では効果が不十分な場合は数種類の降圧剤を同時に使用する場合もあります。

 *カルシウム拮抗剤−−−血管の収縮(血圧を上げるもと)に必要なカルシウムの流入を抑え血管を拡張して血圧を下げます。多くの人に有効で脳、心臓、腎臓の働きをよくすることから当院で最も多く処方されている薬剤です。末梢血管が拡張するので顔がほてる感じがすることがあります。

 *ACE阻害剤−−−血管を収縮させる物質(アンジオテンシンU)ができるのを抑えることにより血管を拡張して血圧を下げます。ときどき現れる副作用として「からせき」があります。

 *交感神経遮断剤−−−心臓の収縮力を弱めることで血圧を下げる薬剤です。心不全のある方には原則として使いません。

 *利尿効圧剤−−−腎臓から水分とともに高血圧を引き起こすナトリウムを排泄させる薬剤で古くから使われている薬です。