Workshop
天然灰汁醗酵建藍染
辻ヶ花文様染布



藍染師と絞りの職人さんの手をお借りして、
天然灰汁醗酵建藍染めによる、辻ヶ花文様布を染めてみました。
図案は、「石畳草花模様辻ヶ花染」又は「松皮取に石畳と桜藤柳」とされている、
室町時代の辻ヶ花染布を写しました。

室町時代の辻ヶ花は、草木染で3〜4色使われていますが、
今回は、柿渋地に藍色の染め分けだけでの表現にしました。
白地では、少し柄の出方がきつくなると思いましたので、
先に柿渋染めをしてからの、藍染にしました。

まず、松皮取りの上段の部分の染め分けです。
柳の模様を、小帽子で絞り、その段の松皮菱を大帽子で絞り、出し、
中段の葉を二枚出して、一回目の染に入ります。  
藍染は、染重ねることで、濃度を上げていきますので、
この一回目の色で4〜5回、
藍染液の中に浸し、空気に触れさせることを繰り返します。
一回染めるごとに、水元、乾燥をします。

帽子絞り・・・染めない部分をビニール(昔は竹の葉など)で包む絞り方です。
         大小は大きさです。

   
     一回目が染め上がった状態です。

次に、下段の石畳の部分の染分けをします。
一回目と同様に、染めない部分を帽子で絞り、
中段の葉を三枚出して、染に入ります。
一回目とのバランスを見ながら、少し濃い藍色に染めていただきました。

   
     二回目が染め上がった状態です。

最後に地色になる部分を染めます。
今までに染め分けた部分を全て帽子の中にしまい、
地色になる部分だけが外に出るように絞ります。
二回目と同様に、バランスをみて、濃い藍に染めていただきました。
この時に、生地の端に、平縫いと、折り縫いによる、縫い締めもしてみました。

   
    地色まで染め上がった状態です。
   
    上が平縫い。下が折り縫いです。

手湯伸しの後に、褐描きと隈を入れます。

  
        完成です。

写した柄では、混みすぎていたようで、厚い生地の時は、難しいそうです。
特に、上段の柳の葉の柄のように、細かく集まった柄は、生地が薄ければ、
もっと綺麗に出せるそうです。
藍の色素が、化学染料のものより、少し大きいのか、絞ったところの境目を、
綺麗に染めるのに、工夫がいるようで、絞り加減も、染め方も、
一回ごとに変えながら、絞り・染をしていただきました。
それにより、一回目より二回目、三回目のほうが、境目も綺麗に染まっています。
白ではきつくなるかと思いましたが、柄が白で出る部分も幾つかあれば、
良かったように思います。
柿渋の色がもう少し濃ければ、一回目の藍色と重なった部分に、
もっと緑味を感じられたと思います。



天然灰汁醗酵建藍染めの、簡単な説明です。

藍の葉を乾燥し、水を加えて醗酵させたものが、
「すくも」とよばれる藍染の原料になります。
その「すくも」を、木灰に湯を通して取った灰汁と混ぜ、醗酵させ、
ようやく染めることができます。
「すくも」は、藍の種まきから、刈り取り、乾燥、醗酵など出来上がるのに、
ほぼ一年かかります。
藍建ては、一週間から十日ほどかかります。
天然の灰汁での建て方をされているものが、天然灰汁醗酵建てとなります。
藍は、灰汁で醗酵させて、水溶性となり、その液に生地・糸を浸け、
その生地・糸に藍の色素が付着し、それを酸化させることで、藍色に発色します。
化学染料と違い、上手く建たなければ、染まらなかったり良い色が出なかったり、
また、毎日の攪拌、pH管理などを怠ると、すぐに染まらなくなったりします。
染めた時は、必ず水元(水洗い)と乾燥をします。
酸化することで発色しますので、水の中での酸化と、空気酸化させます。
化学染料など浸透性の染料は糸の中まで染料が入り込みますが、
藍は付着性の染料ですので、糸の表面に、膜になるように、染まり付きます。
何度も染めることにより、徐々に濃色になります。
濃い色ほど、糸の周りに沢山の藍が付いています。



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