高木茂のホームページ アルコール依存症について02
アルコール依存症とは

 アルコール依存症、昔は慢性アルコール中毒あるいは,俗に「アル中」と呼ばれていた病気に対して、みなさんはどのような印象をお持ちでしょうか?
きっと,仕事もせず毎日昼間から酒をのみ、繁華街や公園のベンチで寝ているホームレスのような人々を思い浮かべられるのではないでしょうか?
でも,以前に比べ、そのような人々の姿は減ってきています。
では、アルコール依存症者は減ってきているのでしょうか。
いいえ。ストレスの多い現代社会では,逆に昔よりずっと増えているのです。
スーツを着てネクタイを締めたごく普通のサラリーマン,子供を持つ専業主婦といった皆さんの周りの人々の中にアルコール問題は潜んでいるのです。


アルコール依存症とはどんな病気なのでしょうか?
 
一言で言えば、自分で自分の酒の飲み方をコントロールできなくなり、それによって様々な問題を引き起こしてしまう状態です。
そして、身体がアルコール漬けになってしまい、体の中にお酒が入っていて当たり前で、逆にお酒がきれると異常な状態となるのです。
アルコール依存症を考えるのには、精神依存、身体依存、そして耐性の形成という3つの考え方が必要です。

 
1.精神依存
 
お酒の飲み方に異常をきたした状態です。具体的に言えば、お酒に対してのブレーキがかからなくなったこ状態を指します。
一旦、お酒を飲み出すと適量で済ますことができず、つい量まで飲んでしまう
自分でも、お酒を控えようと思うのだが、いつも失敗する。そんな方はおられませんか?
また、医者から肝臓が悪い、尿に糖がおりているなどの理由から、お酒をやめなさいとか控えなさいと言われているのにもかかわらず、その言葉を守れていない方はいませんか?
お酒が身体に悪いと思いながらも、ついつい飲んでしまう。そんな飲み方をしている人はおられませんか?一旦アルコール依存症にかかると、お酒に対するブレーキ障害は一生治りません。10年間お酒を止めていても、一滴でもお酒を飲むと元の飲み方に戻ってしまいます。
アルコール依存症の究極の姿に、連続飲酒発作あるいは山型飲酒と呼ばれるお酒の飲み方があります。
お酒を飲み始めると、昼夜を問わず飲み続け、酔っぱらうとそのまま寝てしまい、目が覚めるとまた飲み始めると言った具合になります。食事もとらず、風呂にも入らず、ただお酒を飲むことと寝ることしかできなくなります。
飲み始めると、このような状態が1週間から数週間続き、最後には体が衰弱して飲酒が止まります。でも、お酒をやめて徐々に身体が元に戻ると、一杯のアルコールからまた同じ連続飲酒が始まります。飲んでいる本人は、このような状態で飲んでいるお酒は全くおいしくはなく,飲まないと苦しいから,ただしかたなくお酒を口に運んでいるのです。
 
2.身体依存
 
身体、特に脳がアルコール漬けになった状態(いわば焼酎に漬け込まれた梅酒の梅状態)が依存症者にとってはごく当<たり前になることです。
普通の人は、お酒を飲んで酔っぱらい、時間がたつと身体からお酒がぬけて、元の身体に戻ります。アルコールが体内に存在しない状態が、普通の人の身体です。
ところが、アルコール依存症になると、いつも体の中に一定量のアルコールが存在する状態が続いていて、お酒がぬけたときの方が逆に異常な状態となってしまっています。
では、お酒がきれて生じる異常な状態として、どんなことが身体に起こるでしょうか?
頭痛、倦怠感、胃の痛み、吐き気、発汗、手のふるえ、いらいら、不眠などの離脱症状いわいる禁断症状)が出てきます。
そこで、これらの症状を軽くするために、アルコール依存症者は軽くお酒を一杯飲みます。すると,たちどころにこのような症状は消えてしまいます。
お酒がきれたとき(例えば朝、目が覚めたとき)に、離脱症状が認められ、またそ のためにお酒を飲む人には、身体依存が出ていると言えます。
 
3.耐性の形成
 
お酒を飲み続けていると、誰でも自然に強くなります。肝臓でのアルコールの分解する酵素の活性が増加するとともに、脳でのアルコールの感受性が鈍くなります。
ここでの問題は、この脳の感受性の低下です。
ジョッキ一杯のビールあるいは銚子一本の日本酒で、ほろ酔い加減になれていたものが、ジョッキ二杯、三杯、あるいは銚子が二本、三本と一回に飲む量が次第に増え、まわりからはお酒に強くなったと言われます。
つまり、同じ量のアルコールでは、次第に酔うことができなくなり、酔うために必要なお酒の量が増えていきます。これはアルコールに対しての耐性が形成されたのです。
ですから、お酒に強くなった事を喜んでいられません。このことは、一歩アルコール依存症に近づいたことを意味するのです。
これら3つのお酒に対する身体の変化が、アルコール依存症者で見られます。逆にこうした症状があれば、アルコール依存症と診断することができます。
だから,見た目だけではアルコール依存症であるかどうかは判断できないのです。
 

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アメリカの米国精神医学会の作成したアルコール依存症の診断基準は次のとおりです。

アルコール依存Alcohol Dependence
 
次の3つ以上が、同じ12カ月の期間内のどこかで起こる

(1) 耐性、次のいずれかによって定義されるもの
(a)酩酊するために必要なアルコール量が著しく増加した
(b)以前と同じ量のアルコールでは全く酩酊できなくなった
(a)アルコールに特徴的な離脱症状がある
(b)離脱症状を軽減したり回避したりするためにアルコールを摂取する
(3) 飲みはじめに考えていたことに反して、より大量あるいはより長期間にわたってしばしば飲酒してしまう
(4) 断酒あるいは節酒しようと思い、試みるが成功しない
(5) アルコールを手に入れるために、あるいは飲酒するために、またアルコールを切るため費やされる時間が大きい
(6) 飲酒のために重要な社会的、職業的・娯楽的な活動を放棄,又は減少させている
(7) 精神的または身体的問題が、飲酒によって持続的、または反復的に起こり、悪化していsることを知っているにもかかわらず、飲酒を続ける
 
アルコール離脱Alcohol Withdrawal
 
A. 大量かつ長期間にわたる飲酒を中止、あるいは減量した
B. 以下の徴候の2つ以上が、基準Aの後、数時間から数日以内に出現する
(1)自律神経系過活動(発汗、頻脈など)
(2)手指振戦の増加
(3)不眠
(4)悪心・嘔吐
(5)一過性の幻視、幻触、幻聴あるいは錯覚
(6)精神運動興奮
(7)不安
(8)大発作型けいれん
C. 基準Bの症状が、臨床的に著しい苦痛を与えているか、仕事や社会的活動などに影響を及ぼしている
D. その症状は一般身体疾患によるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明できない
 

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