金属学習2
「金属チェッカーによる金属探し」

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1.概要
  金属学習は,身近な金属探しが導入となります。金属光沢が最も目に付きやすいので,「光り物探し」ともいえます。身近で探すと,アルミホイル,はさみ,包丁,カッターナイフ,硬貨などが目に付きます。しかし,塗料や合成樹脂やコンクリートなどで覆われていたり,錆びていたりして光沢が見えない金属のほうが多いのです。そこで,自動車のボンネットを開けてエンジンを見たり,金属缶の皮膜や錆びた針金などをサンドペーパーで磨いて金属光沢を確認することになります。この時,電線の存在を忘れてはいけません。金属と電流の流れやすさを関係づける重要な意味をもつからです。

  実際に教室で利用している延長コードの被覆を剥いで銅線を観察します。軟質塩化ビニル樹脂の被覆は優秀で,普通は,赤銅色に輝く銅線が見られるはずです。この作業中,プラグは抜いておきますが,銅線をむき出したままで接続した電気機器を作動させてみましょう。少し危ないですから演示実験としますが,見るだけで電流の流れ易さがよく理解できます。

  「金属チェッカー」は電流の長れ易さで金属を判定するものです。ブザーやランプを作動させる回路の一部を切り離し,その部分で触れて判定します。

2.金属チェッカー
・金属チェッカーは,金属の代表的な性質である通電性を利用したもので,流れて反応した「音(ブー:聴覚)」と「光(ピカ:視覚)」で金属を確認するようになっています。そのため,「ブーピカチェッカー」という愛称もあります。昔から,さまざまな形を作り続けてきましたが,多少でも凝った,美しい作りは,生徒の興味関心を引き易くなります。

※ブザーの音はよそ見をしていれも注意を引き易く,金属チェッカーの検出器に最適です。しかし,反応するかどうかを見守るためには,検出器のある場所に注意を集中できる豆電球などの光り物が必要です。今回は,電子ブザーとLEDを並べた照明パネルを用いましたが,この両者は必須です。

・接触端子は,「ミノムシクリップ」か「テスターリード棒」が一般的だと思います。クリップは挟んで手放しでき,リード棒は押し当てた接触位置が見易くなります。なお,ミノムシクリップに釘などをつかませ,テスターリード棒の代用とする事も可能です。

・通電検出用の電子機器例  
  「電子ブザー」音量によって個別実験用と演示実験用に分かれる。
  「電子メロディ」個別実験用
  「ラジオやCD」演示実験用:ラジオは電池から回路基板に延びる線を切断し,CDなどは(音の立ち上がりに時間がかかるので)回路基板からスピーカーへ延びる線を切断し,その線を外部へ引き出すとよいでしょう。  
  「電球」
100V電球:演示実験用(感電とショートに注意!)
  両端子を触れなくても感電することがあります。アースされていない方を触れると,大地との間に電流が流れるからです。また,同じくアースされていない方の端子で水道管などのアースされている機器に触れるとショートとなり,極めて危険です。問題点をよく理解して演示し,生徒実験としてはいけません。
  私は,壁のコンセントを覆う金属プレートに触れてショートさせ,身の危険を感じました。火花が弾け,端子とプレート金属が融けて飛び散りました。

豆電球:演示および個別実験用
  「LED」演示および個別実験用,今回用いた「LED照明パネル」は演示実験用を意図した。
  「モーター」演示実験用:乾電池作動の小型の扇風機など,おもちゃ店か100円ショップを探してみましょう。
  「振動モーター」個別実験用
※個別実験用としては,「電子メロディとLEDの併用」がよいでしょう。音が小さく明かりも目立たず隣の生徒への影響が少ない事と,電池の消耗がほとんどなくてメンテが気にならないからです。しかし,イオンにも反応してしまうので,金属チェッカーとは言いにくくなります。ただ,濃度調節によって,少しだけ流れることを示すようにすれば問題ありません。


紹介する「金属チェッカー」の特徴
・LEDを10個ほど並べた「電子ブザーとLED照明パネル」を検出器に用いました。ショートの危険を避けるために乾電池作動とし,イオンへの高感度な反応を抑制するために消費電力の少し大きな電子ブザーと複数個のLEDを用いた照明パネルを利用しました。簡単なものですが,考える事はたくさんあります。
・本体は作りやすいように木製とし,表面は合板に黒のアクリル板を両面テープで貼り付け高級感を演出しました。
・端子とリード線は,どちらも赤色としました。赤と黒にするのが一般的とは思いますが,そこで+と−がぶつかるわけでもないので,論理的には同色でよいはずです。しかし,赤と黒バージョンも作りました。どちらがよいかは,お考えください。

金属チェッカー
図1  金属チェッカー


両手が自由になると扱いやすい。
  →図2:ひもで首にぶら下げ,空いた両手で端子を持って金属を探します。
  →図3:裏面のゴム磁石によって磁石黒板に貼り付け,空いた両手で端子を持って金属を探します。

首
図2  首にぶら下げた金属チェッカー
黒板
図3  磁石黒板に貼り付けた金属チェッカー


回路
・図4:用いた電子ブザーは9V,照明パネルは6V定格でした。そこで,照明パネルには12Ωの抵抗を直列に入れた並列接続とし,006P箱型9V電池を共通電源としました。簡単な回路で,図を描くまでもありませんが,作ってみると意外と手間なものです。

回路
図4  裏面の板を取り外して見る回路


3.金属チェッカーで金属探し
  「金属光沢物質」が金属であることを確認するため,「金属チェッカー」で通電性を調べます。「金属光沢」→「自由電子の存在」→「電流が流れ易い」→「金属チェッカーで確認」という流れです。このように,「金属光沢によって金属である事を予想し,金属チェッカーで確認する。」という手順が,行き当たりばったりではない科学的な検証作業となります。なお,自由電子調べなので,「自由電子チェッカー」と名付けてもよいのです。

刃物
図5  刃物は最も巧みな金属の利用
コーティング
図6  表面コーティングを取れば電流は流れる


「必見1」 色のある金属
  「金」と「銅」だけは色があり,他はすべて銀白色の金属光沢です。金は,密度が大きく,錆びず,延性・展性に富み,高価であることなどにより金属の英雄(Au)に例える先生もあります。生徒に観察させるために,1kgの延べ棒を購入した先生もおられます。銅は,電気抵抗が小さく,錆びにくく,柔軟で,比較的安価であるため,電線素材に最適です。

金
図7  金
(ネックレスと金箔)
銀
図8  銀
(ネックレス)
銅
図9  銅
(電線,10円玉,自然銅)


「金・銀・銅メダル」
  オリンピックなどのメダル素材は「金→銀→銅」です。3段階に順位付けするためには,銀白色でない金(黄金:こがね)と銅(赤金:あかがね)は不可欠です。もうひとつは銀白色となりますが,錆びにくいことを条件とすると銀(白金:しろがね)かプラチナ(白金:はっきん)となります。プラチナを採用したなら,希少価値や相場からして「プラチナ→金→銅」という順位になります。予算や色のインパクトを考えると,「金→銀→銅」が妥当なところでしょうね。そして,3段階以上のランクが作れないことになります。上位は3段階が当然と考える裏には,素材の科学的な事情もあるはずです。なお,金メダルは銀の土台に金めっきということです。

「必見2」 液体の金属
  水銀は,常温で唯一の液体金属です。その特徴を生かし,体温計やトリチェリーの大気圧の実験や水銀スイッチなど,特別な用途が存在します。便利な金属ですが,融点が低いだけで特別変わっているということでもありません。鉛(釣り用のおもりでよい)などを加熱溶融して比較するとよいでしょう。歴史的には,金の溶媒として貴重で,奈良の大仏などの金めっきに用いられました。
注意:水銀は毒物に分類され(蒸気が危険),取り扱いと保管には特別な注意が必要です。

「必見3」 柔らかい金属
  鉛は,手に入りやすい柔らかい金属の代表です。釣りのおもりとして,さまざまな形のものがあります。「丸型」は叩いて展性の実験に使えます。「糸おもり」と「板おもり」は手で曲げると柔らかさがよくわかります。

水銀
図10  水銀
鉛
図11  釣り用の鉛のおもり


「必見4」 硬貨
  金属で鋳造した貨幣のことです。他には,銅貨,アルミニウム貨,真鍮貨,金貨や銀貨などがあります。昔の穴あきの50円玉は,今では珍しくなったニッケル貨です。穴に糸を通して磁石との関係を提示するとよいでしょう。これらは錆びにくいことと,金属故に溶融やプレスによって同じ形や模様が簡単に複製できることが活かされています。
  古銭店に出かけ,世界のさまざまな材質の新旧の硬貨を手に入れましょう。私は,磁石を持って古銭店に出かけてニッケル貨を探していて,珍しい「鉄製の一文銭」を手に入れました。鉄は錆びやすくて硬貨に適さない金属ですが,一部で利用されていたのです。
硬貨
図12  世界の硬貨


ニッケル貨1
図13  日本のニッケル貨
(五銭,十銭,50円2種)
ニッケル貨2
図14  外国のニッケル貨
(金色は真鍮めっき?)
鉄銭
図15  鉄製の1文銭
(磁石に引き付けられた2枚)


「必見5」 ここにも金属
「金紙と銀紙」
  色紙の中の金紙は黄色っぽい金属光沢をしていますが,値段からして金箔とは思えません。金紙はアルミニウム蒸着面にオレンジ色の透明塗料が塗ってあることは,試薬のアセトンやマニュキュアの除光液(入手した商品の成分を見ると,同じくアセトンでした。)などで拭き取るとわかります。銀白色はアルミニウムの蒸着面で,塗料を塗らなければ銀紙となります。

「カラーホイル」
  カラーホイルという,アルミ蒸着面にさまざまな透明色を塗った色紙があります。同じく,表面の塗料を拭き取ってみましょう。どれも,アルミホイルの蒸着膜が現れます。

金紙
図16  「銀紙」紙にアルミニウム蒸着したもので電流を流す。
「金紙」表面の透明塗料により絶縁され,電流を流さない。
除光液
図17  除光液で金紙の表面コーティング除去。
顔を出したアルミニウム蒸着の銀紙は電流を流す。



カラーホイル
図18  色紙「カラーホイル」
下地
図19  コーティングを除去した「カラーホイル」
下地は,どの色もアルミニウム蒸着の銀紙。


「アラザン」
  ケーキなどのトッピングに用いるアラザンの表面コーティングは銀白色で,金属であることがわかります。袋裏面の成分表示を見ると,本物の銀であることが明記されています。錆びにくいことと毒性の心配の少ないことを考慮すると,こうなるのでしょう。展性の良さを活かした極薄の箔を利用しているはずなので,コストはわずかだと思います。なお,「仁丹」も同じく銀コーティングだと思います。

アラザン
図20  アラザン
成分表示
図21  アラザンの成分表示
本物の「銀」による表面コーティング



「金線」
  陶磁器の周辺部などを飾る金線は,本物の「金」です。窯の中で高温で焼いても錆びない金属といえば,限られます。そして,黄色っぽい色となると「金」しかないのです。

金線
図22  金線は,本物の金!
電子レンジで使えないため,商品を見かけにくくなっています。



※アクションペン


  専用の絵本に用いる「アクションペン」というものがあり,金属チェッカーの代用になります。

  金属に押し当てると緑色ランプ,非金属に押し当てると赤色ランプが点灯し,同時に違ったメロディも鳴ります。

  娘のおもちゃ箱で10年ほど前に見つけましたが,現行の市販品かどうかは?です。いずれにしても,こういった用途に利用できるおもちゃが見つかりそうです。
アクションペン
図23  アクションペン



5.備考
・金属チェッカーは実験室に常備し,いつでも利用できるようにしておくべきだと思います。
・作りやすくてさまざまなバリエーションが可能なので,最初の手作り教具としてお薦めです。