「音は心の中で音楽になる 音楽心理学への招待」
谷口高士(編著) 北大路書房 定価(本体2800円+税)
ISBN 4-7628-2173-X
本書は、心理学は初心者だけど音楽は好きという方にも
理解できるように、かつ、音楽心理学=ミュージックセ
ラピーといった世間の誤解を解くために企画しました。
内容は音楽認知研究が中心ですが、音楽療法や大脳生理
的研究も含めたものになっています。音響や聴覚の基礎、
発達的視点なども、コラムという形で数多く取り入れま
した。さらに、心理学用語の解説、引用文献や索引を充
実させるとともに、もっと深く学びたい人への参考文献
も紹介しています。なお、各章は現在第一線で研究して
いる若手を筆者として迎え、また、コラムについては音
響研究、比較音楽、指揮、調律など、音楽心理学に関連
するさまざまな分野の方のご協力を得ました。
もくじ・筆者
1章 音楽心理学の方法 倉片 憲治
観察法、実験法、質問紙法、各研究方法のまとめ
2章 旋律(旋律の音高的側面) 吉野 巌
楽音の知覚、メロディ認知における群化・体制化、
旋律線の処理、調性:調性的体制化
3章 リズム(旋律の時間的側面) 後藤 靖宏
音楽心理学におけるリズム研究、時間構造の知覚に関する研究、
拍節構造の知覚、関連するその他の研究
4章 音の響き 谷口 高士
協和とは何か、うなりと差音,そしてバーチャル・ピッチ、
音色は何で決まるのか、和音や音色の使用と評価
5章 音楽の聴取 榊原 彩子
音楽作品間での違いが気になる場合、音楽作品内での違いが気になる場合、
聴取者間での違いが気になる場合、聴取者内での違いが気になる場合
6章 音楽の記憶 三雲真理子
記憶と表象、リズムの表象、音の響きの表象、旋律(音系列)の表象
7章 演奏と作曲 倉片 憲治・田中 吉史
芸術的逸脱、演奏技能の発達、創造的活動としての作曲
8章 音楽療法 稲田 雅美
音楽療法の概念、音楽の意義と音楽療法の目標、
音楽療法セッションの実際と理論的基盤、音楽療法と即興演奏
9章 音楽と脳 栗栖 麗
脳の構造、機能局在、脳損傷研究−聴覚失認、画像研究
●メッセージ 梅本 堯夫
これから音楽心理学を始めようと思う人たちへ
◆COLUMN(コラム)
心理学と音楽理論 田中吉史 / 聴覚の生理神経的基礎 谷口高士
音高情報処理の発達 吉野 巌 / 調認知モデル 吉野 巌
リズム知覚に関するモデル 後藤靖宏 / リズム知覚能力の発達 後藤靖宏
リズムとメロディの関係 岡田顕宏 / 音の物理的次元 谷口高士
協和感の発達 谷口高士 / 音律と聴取印象の関係 下迫晴加
絶対音感 榊原彩子 / 演奏者の動きと音楽の印象 下迫晴加
歌の記憶 後藤靖宏 / 音楽聴取における文脈効果 荒川恵子
音楽の普遍的認知過程 田中吉史 / 演奏様式の歴史的編纂 荒川恵子
なわとび遊びの音楽心理学 小川容子 / 感情の心理的測定 谷口高士
音楽と映像の相互作用 菅野禎盛 / ラテラリティの発達 栗栖 麗
感情の神経・生理学的測定 谷口高士
●Tea lounge(ティーラウンジ)
「音楽療法士」の現実 稲田雅美 / 音楽情報処理 後藤真孝
商品としての音楽 谷口高士 / 「沖縄音楽」 岩井正浩
調律の世界 三上 優 / 動物が音楽を弁別する話 石川 悟
次世代オーディオ 蘆原 郁 / 指揮者裏話 小林 洋
鈴木メソッド 三雲真理子 / 身のまわりにあふれる音楽 谷口高士
ショパンのワルツから撥のオドリまで S.ギニヤール
・用語解説(心理学用語)
・音楽心理学をさらに深く学びたい人のために−−参考図書
・引用文献 ・コラム引用文献
・人名索引 ・事項索引
© 1997- Takashi Taniguchi