モーセの兄で、モーセと共にヘブライ人のエジプト脱出を指導した。
Abraham Eleazal13世紀のアラビアの錬金術師。彼は金属の発生についてはアリストテレスの学説を採用した。そして卑金属を金の不完全な変種とみなし、エリキサを用いれば真の金や銀が得られるとした。その証拠として、鉛を長時間熱することにより少量の銀が生じるという事実をあげている。彼の著書『金の培養に関して得られた知識』は、物質の変成と精神的な昇華を象徴的にとらえ、その後のアラビア錬金術に主軸を与えるとともに、イスラム神秘主義(スーフィズム)にも大きな影響を及ぼした。（大槻真一郎）
［ハグ・ハマディ文書］ 「知恵」を意味するヘブライ語「ホクモート」（箴言9:1他）に由来する借用語。ヴァレンティノス派の神話では、過失を犯した「上のソフィア」から切り離されたエンテュメーシスの別称のひとつで、「上のソフィア」との関係では「下のソフィア」ということになる（ヴァレ・エイ ?, 4, 1）。しかし、同じヴァレンティノス派のものであるフィリ福では「エカモート」と表記され、「エクモート」と呼ばれる「小さなソフィア」「死のソフィア」「不妊のソフィア」と区別されている（§39, 55a）から、少なくとも三段階のソフィアが考えられていて、アカモートはその中間をしめると思われる。バルク・ヒポV, 26, 4 では半処女エデンがエローヒームとの間に生んだ12天使のひとり。
［ナグ・ハマディ文書］ 人間を霊、心魂、肉体の三つから成るとするグノーシス主義一般に広く認められる人間論に対して、(1) 超越的な光の世界のアダム、(2) アルコーンたちによって造られる心魂的アダム、さらに(3) 肉体を着せられて楽園から追放され、そこからまたエバとともに追放されるアダムという三種類のアダムが登場する。ただしバルク・ヒポV, 26, 8 のアダムは半処女エデンと父エローヒームの結合の象徴として、霊的であると同時に心魂的な存在。
［カバラ神秘学］ 「創世記」のアダムが創造される以前に形作られた原初的な人間であり、「神」の反映といえます。彼は、存在世界が“神的世界”から“物質世界”に広がり、時の終わりに再び“神的世界”に戻って融合する以前から顕現する存在であり、「神」は自らの姿に似せて人間を創ったという言い伝えは、まさに彼「アダム・カドモン」のことであります。「アダム・カドモン」は、人間の姿をしていますが「神」の写しという仕事をするために一切の必要なものを含んでいる完全な存在です。意志・知性・情緒・活動においても完璧な存在であり、至福に満たされた存在なのです。カバリスト達は、真摯に祈りを捧げながら、究極の愛に目覚め、やがては「アダム・カドモン」と自己を合一させていきます。その時、私達には大いなる至福と輝ける栄光が与えられ、人生の勝利者となるのです。「アダム・カドモン」は、この世を写す鏡であり、また同時に鏡を見る者なのです。
Bodensteinゲルマン神話やドイツのおとぎ話に登場するコウノトリの名前。霊魂を運ぶとされ、その名は「幸福をもたらすもの」の意。
In Hinduism, Âdityas, meaning "of Aditi", refers to the offspring of Aditi. In Hinduism, Aditya is used in the singular to mean the Sun God, Surya. Bhagavata Purana lists total 12 Adityas as twelve Sun-gods. In each month of the year, it is a different Aditya (Sun God) who shines. All these 12 Adityas are the opulent expansions of Lord Vishnu in the form of Sun-God.
［ナグ・ハマディ文書］ アイオーンはギリシア語で（ある長さの）「時」「時代」「世代」の意。グノーシス神話では至高の神的「対」から流出し、「プレーローマ」の中に充満する、擬人化された神的存在。
［=Agaqodaivmwn=ajgaqovV〔善い〕+daivmwn〔霊〕の合成語］。本来は古代ギリシアのさまざまな地方で崇拝されていた神で、ブドウ酒の祭りと関係があった。またエジプトでは幸福な来世へ死人を導く蛇神として崇拝され、人間の死と再生に深いかかわりをもっていた。ヘレニズム期(前3世紀~後3世紀)になると、いわゆるへルメス文書・魔術・錬金術・占星術などの文献の中にこの名が見出されるようになる。とりわけ錬金術においては、ゾーシモスの書物にみられるように、後2世紀頃アガトダイモーンを名のる偉大な錬金術師が現われ、「第一原質論」という書物を著した。これはオシリスにあてた書簡の形をとって、オルフェウスの言葉を解説したものである。（大槻真一郎）
インド神話における火の神。アーリア人の拝火信仰を起源とする古い神だと考えられ、イラン神話のアータルと起源を同じくする。火のあらゆる属性の神格化であるが、特に儀式に於ける祭火として重視される。供物は祭火たるアグニに投じられて煙となり天に届けられ、神々はアグニによって祭場へ召喚される。すなわち彼は地上の人間と天上の神との仲介者であり、『リグ・ヴェーダ』に於いては冒頭で讃歌が捧げられ、「アグニよ、あなたは存在する一切のものの牡牛。あなたは崇敬さるべき、闊歩するヴィシュヌ」「あなたはその掟の確固たる王、ヴァルナ」「燃え立つときにはミトラ」と説かれるなど、インドラに次いで多くの讃歌が捧げられるなど極めて重視される。
本名はゲオルク・パウアー Georg Bauer。ルネサンス期のドイツの鉱山学者。当時流行のラテン語をもじってBauer(農夫)にあたるAgricolaを名のり、古典語・医学にも精通していた。著書『金属のことについて(デ・レ・メタリカ)』には、彼自身の科学的観察と実験の成果を踏まえ、鉱物の試金、冶金、貴金属の分離、塩・ソーダ・硫黄・瀝青・硝石等々の製法が体系的に述べられている。この本は錬金術から近代化学への移行に関して歴史的に重要な位置を占めている。（大槻真一郎）
宗教改革期にドイツのケルン (かつてはアグリッピナ植民地と呼ばれた)で生まれた錬金術師で、哲学・医学・占星術にも精通していた。彼の思想にはルネサンス期のさまざまな思想的影響が見られるが、とりわけ重要なのはカバラ本である。主著は晩年に公刊された『隠秘哲学(Occulta Philosophia)』で、彼は神を頂点としたこの宇宙(マクロコスモス)を3つに分けた：四元素の世界、天界、天使界。そしてミクロコスモスである人間は、魔術、数の神秘、カバラなどを用いてこの世界の隠れた秘密を探求し、明らかにしていくのである。（大槻真一郎）
ゾロアスター教の最高神である。ゾロアスター教の神学では、この世界の歴史は、善神スプンタ・マンユと悪神アンラ・マンユらとの戦いの歴史そのものであるとされる。 そして、世界の終末の日に最後の審判を下し、善なるものと悪しきものを再び分離するのがアフラ・マズダーの役目である。その意味では、彼は善悪の対立を超越して両者を裁く絶対の存在とも言える。
シトー会修道士。スコラ学者、神学者、哲学者、全科博士(doctor universalis)。中世のアリストテレス説の開拓者。特に《De eccllesiae occidentalis atque orientalis perpetua consensione libri III (Cologne, 1648)》がある。
スコラ神学・哲学者。博学のゆえに「普遍博士(ドクトル・ウニウェ/レサーリス)」と呼ばれた。トマス・アクイナスの師。当時、たびたび研究が禁じられることもあったアリストテレスの自然学的著作を積極的に研究し、さらに広くアラビアの自然学的研究も取り入れた。また自らも観察・実験を行い、鉱物・植物・動物・気象についてすぐれた著作を残した。とりわけ鉱物に関する著作においては、みずから鉱山におもむいて採取した資料やアラビアの文献を駆使して数百種の鉱物・宝石を取りあげ、それらがもっている不思議な効力について詳しく論じている。金術にも深い関心をもち、錬金術によって作られたという金を実際に炉の中で試験する実験を行った。その結果、錬金術師たちは本当の金を作っていないと考えるようになった。しかし、金属の変成そのものは、非常に困難なことではあるが理論的には可能と考えた。彼が書いたといわれる『秘密の書』『錬金術について』 などは錬金術史上広く影響を及ぼしたが、今日の研究ではすべて偽作とされている。（大槻真一郎）
イタリアの法学者、作家。代表作『エンブレマタ（エンブレム集）』は、最初のエンブレム・ブックとして、16世紀から17世紀のヨーロッパで流行したこの形式の本の中で、最もよく知られている作品の一つである。なお、名前は、アンドレーア・アルチャーティ（Andrea Alciati）という表記の方が有名であるが、正式なものではない。また、著書がラテン語であったことからラテン語式のアンドレアス・アルキアトゥス（Andreas Alciatus）、フランスに移住したことからフランス語式のアンドレ・アルシア（Andr? Alciat）といった表記も用いられる。
アレクサンドロス3世。アルゲアス朝マケドニア王国のバシレウスである。また、コリントス同盟（ヘラス同盟）の盟主、エジプトのファラオも兼ねた。ヘーラクレースとアキレウスを祖に持つとされ、ギリシアにおける最高の家系的栄誉と共に生まれた。ギリシア語ではアレクサンドロス大王であるが、この場合は英語風に読んでアレクサンダー大王またはアレキサンダー大王とすることも多い。
ハンニバル、ガイウス・ユリウス・カエサル、ナポレオンなどの著名な歴史上の人物たちから大英雄とみなされていた。旧約聖書やコーラン、シャー・ナーメ、ゾロアスター教など多様な民族の教典にも登場する。現代でもアレクサンドロスの名に関する名をつける人は多い。
16世紀の有名な錬金術師、医師、詩人。
Abu'l Qâsim「養育の母」の意。
Alma Materアラビアの哲学者で、12世紀の人物であるとされている。
4世紀のミラノの司教（主教）。正教会・非カルケドン派・カトリック教会・聖公会・ルーテル教会の聖人で記念日は12月7日、ミラノの守護聖人でもある。四大ラテン教父・西方の四大教会博士の一人に数えられる。アウグスティヌスに影響を与えたことでも有名。
恋の神。ギリシアのエロースのラテン訳名。
Eros天使の名前。
アムセト、あるいは、イムセティ。ホルスの息子たちの一人。
ドイツの神秘的宗教詩人。本名Johann Scheffler。ベーメに親しみ、固陋なルター派の一派から斥けられカトリックに改宗(1653)。信仰的苦悶を詩に詠い、《Heilige Seelenlust》(57)など簡潔で美しい詩集を出版。敬虔主義詩人にも影響大であり、その詩のいくつかは教派の違いを超えて讃美歌として採用され、今日に至っている。
［グノーシス用語］ 超越的世界プレーローマの至高神のこと。必ずしもすべての神話が至高神にこの呼称を与えているわけではないが、「人間即神也」というグノーシス主義一般に共通根本的思想をもっとも端的に表現するもの。至高神はこの他に「人間」、「不死なる光の父」、「存在しない神」、「万物の父」、「不朽なるもの」、「生まれざる方」、「生まれざる父」、「始まりも終わりもないもの」、「原父（プロパトール）」、「深淵（ビュトス）」などといった多様な呼称で呼ばれている。『ヨハネのアポクリュフォン』では、至高神と同時にバルベーローも「第一の人間」と呼ばれる。
「完全なる人間」は終末に到来が待望される救済者、すでに到来したキリスト、あるいは人類の中の「霊的種族」の意味で使われることもある。同様に「真実なる人間」も、エイレナイオス『異端反駁』の報告におけるヴァレンティノス派の教説において、例外的に、至高神より下位のアイオーンの「オグドアス」の一つを指す。同書では「人間（アントローポス）」は至高神ではなく、より下位の神的存在（アイオーン）の一つ。
愛と美と性を司るギリシア神話の女神で、オリュンポス十二神の一柱である。元来は、古代オリエントや小アジアの豊穣の植物神・植物を司る精霊・地母神であったと考えられる。アプロディーテーは、生殖と豊穣、すなわち春の女神でもあった。
Venus1世紀の新ピタゴラス学派の哲学者。生没年不詳。小アジアのテュアナTyanaに生まれた。フィロストラトスの伝記によると、生涯を独身の苦行者として過ごし，各地を遍歴してさまざまな奇跡を行った。インドに達したとも言われている。
しかし、『Dicta Belini』の著者は明らかに彼の名を騙った。
Dicta Belini２世紀に活躍したローマの著作家。魔法によって驢馬に変わった青年が女神イシスに救われるまでを描いた小説『変身譚』で知られる。この小説は、アプレイウス自身のイシス秘儀への参入経験が下敷きになっているとされる。「アモールとプシケー」は『変身譚』のなかの挿話。青年神エロス(アモール)は美しい王女プシケーに恋をし結婚するが、自分の姿を見てはならないと花嫁に禁止する。彼女がその禁止を破って花婿の美しい姿を目にしたとき、彼は彼女を置き去りにして飛び去ってしまう。プシケーはエロスを探して長い旅をし、数々の試練を乗り越えて再会をはたす。アプレイウスの時代は、くしくもグノーシス主義の全盛期と重なっている。
ギリシア語で、アテーナイにおける「執政官」を意味する(129n.)。
［ハグ・ハマディ文書］ 造物神（ヤルダバオート）を「第一のアルコーン」として、その支配下に7人、12人あるいはさらに多数のアルコーンが存在し、地上の世界を統治していると考えられている。「権威」あるいは「諸力」と並列的、交替的に表れる場合が多い。
ギリシア神話に登場する神で、戦を司る。 ローマ神話のマールスに相当し、また火星と同一視される。
Visio Arislei古代ギリシア思想を集大成 した哲学者。形而上学・自然学等々あらゆる分野にわたって数多くの著述をしたが、なかでも師プラトンの高踏的にはしり易いイデア(形相)の思想を現実世界に引き戻し、質料と形相による物質変成の理論を展開したことが、後世の錬金術思想に決定的な影響を与えた。
質料はいわば元素的で基盤的な性格をもっており、形相のほうが完全変化への要因であった。例えば質料は、四つの形相的基本性質(温・冷・乾・湿)により、火、空気、水、土という元素をつくるが、これらは互いにそれぞれの形相を失うと元の共通な質料にかえる。ここに物質変成という後代の錬金術理論の展開に直接つながる要素があった。とくに彼の「気象学」に述べられている鉱石・金属変成上の二つの蒸発気が重要である。
アリストテレス理論を受け容れてつくられたアラビア錬金術の硫黄水銀理論では、硫黄がアリストテレスのいう乾いた煙状の蒸発気に相当し、水銀が湿った霧状の蒸発気に相当する。実例をあげると、鶏冠石・黄土・紅土・硫黄その他の石は液状にはなりにくく、主として前者の乾いた蒸発気から生ずるが、水銀・鉛・金などの金属はすべて液状になり易く、主として後者の湿った蒸発気によると考えられた。が、これら蒸発気という質料的なものは、それぞれが相互に非常に共通しており、とくに金属の変成はきわめて可能性の高いもので、当然、鉛は金に変成できると考えられた。一方、アリストテレスの質料と形相は相互に、より高次の形相をとることによって完全態へと高まる。これがまた後に中世後半期のキリスト教世界に受け入れられ、アリストテレスは自然界の錬金術界の教祖院な存在にまで祭り上げられた。しかしそれがかえって、近代ルネサンス以後は、その教条打破の標的ともされた。（大槻真一郎）
『アリストテレスの論説』の著者と目される人物。
スペインの医師、哲学者、錬金術師。
12世紀頃のアラビア出身の錬金術師とされるが、著作はすべてラテン語で残っている。このため彼のアラビア人説を疑う向きもある。他方、 12世紀初頭に詩人・錬金術師として有名だった AI-Toghrai と同一視する説もある。著作には『隠された術と哲学者の石についての秘密の書』などがある。 （大槻真一郎）
古代インドの仏教僧侶。 馬鳴本人の作であることが確実とされる作品に『ブッダ・チャリタ』(Buddhacarita)がある。
Ishtarアッティスはローマで大地母神として知られたフリギアの女神キュベレーの息子かつ愛人である。同時に去勢された付き人であり、ライオンが牽引するキュベレーの戦車の御者でもある。彼はキュベレーの手で正気を失い、自ら去勢した。
初めマニ教を奉じ、やがて新プラトン哲学(特にプロティノス)に転じたが、ミラノで洗礼を受け、生地北アフリカのヒッポで司教に就任。同地で死去。その神学は「人は神の恩恵によってのみ救われる」「教会はその救いの唯一の機関である」「歴史は神の国と地の国との戦いである」の三点を中心においている。内的経験の自己確証性、真理照明説、悪は善の欠如であるという説、記憶・知性・愛を三位一体の痕跡とする説など、初期キリスト教の哲学的基盤を作り上げた。著書『告白』『三位一体論』『神の国』。
ローマの曙の女神。ギリシアのエーオースに相当する。
［ナグ・ハマディ文書］ ギリシア語で「自ら生まれた者」の意。ヨハ・アポ§19,20 では「独り子」、「キリスト」と同じ。
アラビア名イブン・スィーナー。アビケンナはラテン語読み、アビセンナは英語読み。医学や哲学にすぐれ、「アラビア第一の知者」と呼ばれた。アリストテレス、ガレノスなどのギリシアの学問を深く研究し、アラビアの哲学・医学の体系化に努めた。医学に関する著作はラテン語に翻訳され、アヴェロエス(アラビア名:イブン・ルシュド)の哲学とともに中世のヨーロッパ世界に大きな影響を与えた。
彼はアリストテレスに従って、月下の事物はすべて四元素の結合・分離によって説明できると考えた。錬金術の哲学的・科学的基礎を探求し、実際に実験を行ったが、結果は貴金属の模造品ができるだけで、金属の変成は不可能だという否定的な結論を得た。『錬金術小論』など6つ以上の錬金術関連の著作をしたといわれるが、これらは恐らく偽作であろう。（大槻真一郎）
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