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メルキゼデク(Melchizedek)

 グノーシス派のキリスト教徒が、キリストより偉大な神として信じた救世主-神。キリストは人間の救世主に過ぎなかったが、メルキゼデクは天使たちの救世主であった。『ピスティス・ソフィア』Pistis Sophia (グノーシス派の聖典)によれば、メルキゼデクは、「光の宝庫の5本の木」すなわち女神ソフィア自らの手から放射された神であった。旧約聖書には、「パンとブドウ酒」(血と肉)を持って来る者としてメルキゼデクがわずかの間出現するが、これは真の救世主としての彼の「再臨」の予示であると言われた(『創世記』14:18)。『詩篇』第110篇は、キリストは「メルキゼデクの位にしたがう」祭司にすぎないと述べている。


Barbara G. Walker : The Woman's Encyclopedia of Myths and Secrets (Harper & Row, 1983)