ヘルミッポス/Titulus
[人物]
アレクサンドリア天文学の最高峯はニカイア(Nikaia)のヒッパルコス(B.C.190頃〜125頃)である。ヒッパルコスは、もし彼の生存年代を知らずして彼の諸業積を点検したであろうならば、おそらく彼はルネッサン ス以後の近世天文学展開期における最も卓越した天文観測家であろうと判定せられるにちがいない。ほとんど現代の精密度といえる回帰年の長さの決定、春分・夏至・秋分・冬至の4点が1年を正確に4等分しないこと、太陽および月の軌道の中心が地球から少し離れていることと、その運行速度に一公転のあいだで遅速あること(中心差)の発見、近日点と遠日点の方向決定、真太陽日の長さの一定でないこと(均時差)、月の運動における出差(太陽の摂動作用による月運動の不等性)や、春分点が黄道上を東から西へ永年移動する歳差現象 (春分点歳差)の発昆など、およそ近代球面天文学における基礎的事実の大部分は、ヒッパルコスが最初の発見者なのである。彼はまた月の視差(距離)を測定して実際に近い値を出し、全天の明るい恒星1080個の位置(赤経・赤緯)の精密観則を試みたが、そのうち1022個の測定値は後にプトレマイオス・クラウディオスの大著アルマゲスト(Almagest)に収録せ られ,世界最古の星表(アルマゲスト星表)として現在まで残っている。(荒木俊馬『西洋占星術』)
[底本]
TLG 1431
HIPPARCHUS Astron., Geogr.
2 B.C.
Astron., Geogr.
Nicaeensis
TLG 1431.001
Fragmenta [Sp.?]
Astrol.
S. Weinstock, Codices Britannici [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 9.1. Brussels: Lamertin, 1951]: 189-190.
9,1.
(189)
<星々の数に間するヒッパルコスの〔書〕から>
前述の事柄の後では、星で飾られた獣帯星座の各々がいくつの星々を有するかを続いて示すのが必然である。
北の星々:大熊座24星、小熊座7、北極星の中央のドラコーン座15星、牛飼座18星、冠座8星、「膝つく男」座24星、蛇遣い座半球の両方に16星、「竪琴」座8星、鳥座4星、帆座4星、鷲座4星、海豚座9星、馬座半球の両方に18星、ケーペウス座14星、カッシエペイア座14星、アンドロメダ座20星、三角座ないしデルタ文字座3星、ペルセウス座19星、御者座8星。
南の〔星々〕:[河座13星]、ヒュドラ座両半球に (190) 27星、その上にクラテール座10星、烏座7星、アルゴー号座26星、ケンタウロス座24星、ケンタウロス座が右手に含む野獣座13星、「祭壇」座4星、射手座の下の冠座8星、†カモメ座4星†、魚座12星、ケートス座13星、オーリーオーン座は両半球に18星、兎座7星、犬座21星、プロキュオーン座3星、エーリダノス<河座13星>、[祭壇座8星]。
獣帯軌道〔黄道〕の北:蟹座16星、獅子座19星、乙女座19星。
南:〔蠍座の〕鋏つまり天秤座4星、蠍座15星、射手座16星、山羊角座26星、水瓶座18星、魚座は両半球に41星。
北:蟹座17星、牡牛座18星、双子座19星。
さて、先に明らかにされた星々はすべて、いわば天に固定されたかのように惑動することなく、固有の動きで動くのではなく、極点とともに東から西へと公転する。しかし太陽と月とその他の惑星とは2つの動き、1つは固有の〔動き〕、もうひとつは極点の動きで、動く:つまり、みずからは西から東へと進むが、極点のより速い回転によって強制されて、みずから東から西へ進んでいると思われているのである。
2019.12.29. 訳了
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