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back.gif助祭にして哲学者ペトルス/書簡

ギリシア占星術文書目録4387_001

占星術について


[人物]
 哲学者ステパノス。ペルシア人。占星術をコンスタンティノープルに再導入することを主張した。彼は自己を正当化する議論の中で、星は神ではなくただ神の意志を表すだけであり、星自身の力ではなく神の力によって振る舞うのだから、神の力を利用しないことは人間の罪になると主張している(テスター『西洋占星術の歴史』)。しかし、占星術の復活は大規模なものではなかったが、占星術が妥当なものかどうかという議論を刺戟するには充分な量であった、とテスター。


[底本]
TLG 4387
STEPHANUS PHILOSOPHUS Astrol.
A.D. 8
Persicus

TLG 4387 001
De arte mathematica (e cod. Venet. Marc. 335, fol. 25)
Astrol.

Date of manuscript = A.D. 15
F. Cumont, Codices Veneti [Catalogus Codicum Astrologorum Graecorum 2. Brussels: Lamertin, 1900]: 181-186.



2.

哲学者ステパノスの〔書〕。算術的術知〔占星術〕についてと、この術を用いる族民たちについて。この術が罰当たりであると言う者たちに対して。この術を認めない者は誤っているということについて。この術の有用さについて。また、いかなる術よりも価値があるということについても。

(1)

算術的術知(hJ mavqhmatikh tevcnh)について。

 季節の運行や時間の推移は、ときには諸学のあるものらを紹介するが、あるものらはまったくひそかに、それも二重に(あるいは万人に等しく、あるいは或る都市において)覆い隠すからには、わたしこそはペルシアからこの幸福の都市に通い、星学と占星術という哲学の冷めた分野を発見して思ったのだ、おお、親愛なる思量深きテオドシオスよ、このような教えを手許に置き、このような恋するに値する学を再燃させねばならないと、タラントンを隠す連中といっしょに連行されて、数に入れられないためにである。ここにおいて :しかし諸々の族民からこれほどの そこでわたしは、第5クリマの中央に横たわるこの都市の縦(垂直)と横(水平)によってこれを作成した。

(2)

この術知を用いた諸々の族民について。

 先ず、われわれが読んだところでは、セートがこの術知を用いた:彼からカルデア人たちがこれを継承した:次いで彼らからペルシア人たちに移った:そうしてこれらの者たちからヘッラス人たちに〔移った〕:彼らからアイギュプトス人たちに移行した:彼らからローマ人たちも秘儀伝授された:次いで最後にこれを受け継いだのがハガルの子孫〔アラブ人たち〕である。そして述べられた族民すべてが、これを用いるまで、皇帝としてや勝利者として覇権を握ることは稀であった。されば、それゆえ、この学問をローマ人たちから更新し、キリスト教徒たちにうえつけねばならないと思われたのである、

(3)

この術知において罰当たりだと言う者たちに対して。

 諸々の禁止事項や、法習を妨げる事項や、ロゴス的に有毒な事項の多くが、有用な事柄として益する、例えば蝮の肉や狼の糞やエラテーリオン〔テッポウユリの種子からの抽出物。Dsc.IV-155〕やアスカムモーニア〔ヒルガオ科セイヨウヒルガオ属の植物。Dsc.IV-171〕や植物の隨のように — というのは、医術のロゴスではこれらがもたらされると最大事に利し、他の〔ロゴス〕では傷害し破滅をもたらすものとなるのだから — そのように星学もまた、思量によって把握されれば、天の諸々の動きや位置や形態の、さらには将来結果する善事とか拙い事柄の理解にとって敬虔であり、造物への讃辞と、神的観想によって上方の輝きへと理性を飛翔させるのである。だがもしひとがヘッラス人たちのごとくにこれを用いて、諸々の天体が神であるとか、自力で凝視して自助しているとか思いなすなら、そのひとはそのような不敬ゆえに赦されない:なぜなら、それらがもたらされたのは自力ではなく、知者たる造物主によってなのだからである:同様にまた雨をもたらす轆轤は、そのような動きを自家でもったのではなく、無駄にそれを為すのでもなく、必須から、牧草に水をやるためにそれを〔為す〕、まさしくそのようにこれらも、この仕方で動かせ、神的先慮からいっしょに変えるゆえであり、また、新しい火と家の照明が活動を感知しないがごとく、そのようにこれらもロゴスなく活動を効験するのである:とにかくそれらについてこのようなキリスト教徒の敬虔の栄光を有する人は、信仰を失うことはないのである。

(4)

こ〔の術知〕を受け入れない者は最も重大事を誤るということについて。

 知恵の源泉である神は、モーセースによれば、先ず天と地を創ったが、後者は天に対して基本方位のロゴスを有し,前者は全方位から等しくこれを取り囲み、固有の動きで全方位からこれを管理するものとして:そして2つの動きと

(5)

いかなる術知よりも価値があるということについて。

 将来の事柄の予知は何ものにもまして価値あり帰結したからして、万物の造物主はこれをご自身で先取りしたまい、

 だが、同じこのことをある推論を使って別様にも証明することができる。それは以下のごとくである:あらゆる知識の大きさは、それ〔知識〕の前提と結論とから特徴づけられる:例えば、前提と結論とが自余のものらを凌駕するなら、そ〔の知識〕はどれよりも価値があろう:ところで星学には天の外縁と星々が内包されるが、これらは万物を超越していること、あたかもよりまさった位置にみたされ、質料的なものらから乖離していればいるほど、第1原因に近い:これの終極も、証明されたとおり、いかなるものらよりも上空的である:されば、自余のいかなる知識よりも価値がある、証明終わり。

(6)

諸々の星が活動するのは自分勝手にではなく、造物主の力能に起因するということについて。

 ひとよ、汝の精神を創造に広げよ、そして神の知覚される被造物を凝視し、ロゴスによって各々ひとつずつを思考せよ:かくて、諸々の獣帯星座、諸惑星の名称、それらについて書かれている諸活動を耳にしたら、有魂であるとか、感覚をもっているとか、あたかも何か迷動するものらが幻視されたかのごとく、有るものらの創造者であると信じてはならない:なぜなら、それは創造者たちではなく、支配なき独裁者つまり三位のの被造物なのだから。されば、これらを創造したもうたのは、おのれの讃美のため、人間どもの利益のためにこれらを徴として定めたもうたのである、あたかも自余のもろもろの要素、つまり、地上にある空気、火、水、またさまざまな植物のように、生き物たちの利益と活動のために、おのれを益するのではなく、おのれを感知するのでもないものらのごとくに。なぜなら、われわれの感覚器官は互いに善行するが、みずからを益することはできない、耳は諸々の言葉や声を聴き、舌が喋ることを許すが、みずからは喋ることができない — なぜなら、聴覚によって舌は喋るが、生まれつきの聾唖者はけっして喋ることはないのだから — そのように眼も色や形を凝視し、有るものらを有るものらとして判断するが、自身を凝視することはないように、鼻も香りと悪臭をもったものらを感知してこれを判断するが、みずからのものらを感知することはない — 自分の眼を見たり、自分の口とか鼻の悪臭を嗅いだりする者など断じているはずものない — そのように、上述の星々も、全知の造物主の命令で、現在を模倣し、過去を解釈し、将来を予め漏らして、生き物たちの家政や有益さのために創造されたのである。

(7)

医術と占星術による予知は、術知的推測だということについて。

 医術と占星術による予知は術知的推測である。それゆえ、真実を愛する人は、このことを人間的、程よく、推測的に、いわば、医学事や星学事を二重に知慮して予言しなければならない。なぜなら、予知の全体を供給するのは占星術に依ってでもなく、星々の動きのみが人間の崩壊の変化の原因でもなくて、習慣も法習もトポスも教育も先慮も神に対する祈りも将来の事の予言も〔原因であって〕、それはあたかも、諸々の身体の変化のあらゆる供給が医術に依るのでもないがごとくである:というのは、われわれを変化させる諸原因は、医術よりもすぐれた諸原因のようなものらであり、医者はこれに対して、天象事に対してのごとく無知であるからである:されば、同様に星々の動きについても、変化させる何らかの原因があるのである。

2018.03.31. 訳了

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