ヘルメス選集

万能者にささげる讃歌から(断片)





[底本]
TLG1286
CORPUS HERMETICUM
vel Hermes Trismegistus, vel Hermetica
(A.D. 2?/4)
22 1
1286 022
=Ek tou: u{mnou pro;V to;n pantokravtora) (fragmentum), ed. A.D.
Nock and A.-J. Festugière, Corpus Hermeticum, vol. 4. Paris: Les
Belles Lettres, 1954 (repr. 1972): 147.
5
(Q: 107: Hymn., Phil., Theol.)




万能者(pantokravtwr)にささげる讃歌から(断片)

 不眠の火の目もて目覚めよ、
 大気の走路を活かし、
 太陽の熱を力づけ、
 群雲を豪雨で満たし、
 その名を世界(kovsmoV)に包容せざる者よ。
 永久に流出し見はるかす畏るべき不滅の目、
 万有の父、
 唯一者なる神、
 何ものにも初めをもたぬ者よ、
 われは覚知せり。
  — 御身とともに一者であり、唯一者として御身から生まれし息子をわれは讃える、
 そは、口にしえぬ体力(rJwvmh)と、より鋭き声もて、惜しみなく無心に、おのが不生のロゴスとして御身がただちに生みしもの〔息子〕、
 有性より生まれし有性なる神であるもの、
 父なる御身の不朽にして、すべてにおいて等しき似像をもたらすもの、
 かくしてかのものは御身の内にあり、
 御身もまたかのものの内にある、
 美の鏡として、
 かたみに喜びあう顔として。

2008.09.26. 訳了。


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