[ソロモーンの聖約(遺訓)]訳註
- 「海獣」
kh:tos〔ここでは複数 khvth)。その名号は、牡はベヘモット、牝はレヴィヤタン(第4エズラ6章48-52、第1エノク60章7)。
- 「時ならぬ音声から……生まれました」
ヘブライ語でバト・コル(Bath Kol)「声の娘」のこと。
- 「アスモダイオス」
アスモダイオス〔アスモデウス〕は『トービト書』3:8に(Asmodausの名で)登場するが、最終的には『アヴェスタ』Aeshma-daeva(憤怒のダイモーン)に由来する。JHP
- 「グラニス」
ヨーロッパにふつうのナマズ(Silurus glanis)であろうといわれているが、Thによるとギリシアにはルイ・アガシの命名したParasilurus Aristotelicusなる別種がいて、産卵の習性は北米のナマズと一致し、ギリシアでは今でもglanos, glanidiといわれているそうである。(HA 490a4,島崎註)
- 「魚の肝臓と胆汁……白い蘇合香」
トービト書と比較せよ。
- 「海の球根」
- 「〜において」
この慣用句は、例えば、Acts iv,7.「そうして彼らは真ん中に立たせて問いただした、『いかなる権限といかなる名前において汝らはこういうことを為すのか』」。
- 「7柱の精」
プレイアス星団が言及されていると考えられる。
「あなたはプレイアデスを鎖で結び、オリオンの綱を外せるか」(ヨブxxxviii,31.)。
- 「世の主権者」
kosmokravtwr。Cf. Eph. vi,12「われわれの戦いは血と肉に対するものではなく、支配力に対する、権力に対する、この世の闇の宇宙支配者に対する、天上の悪の諸霊力に対するものだからである」。Origen, c. Celsum, viii,58.
- 「クロートー」
- 「アステラオート」
Co. iKgs 11:5「ソロモンは、シドンの神アシュトレト、アンモン人のいむべきものミルコムに従った」。
- 「カキステー」
「最悪の女」の意。Cp. Testam. of Symeon, ch. 3.
- 「崖」
「ガダラの豚」を連想させる。
マタイの福音書によると、主イエスがガリラヤ湖の向こう岸に行くことを提案し、舟でガリラヤ湖を横断し、ガダラ人の地についた。その地の墓場に、レギオンという悪霊に憑かれて凶暴になった人がすんでいた。悪霊はイエス・キリストを神の子として認めて、底知れぬところに行くように命じないように懇願した。そこで、悪霊が豚の群に行かせてもらう許可を願った。イエスが許可したので、悪霊は豚の群れに移り、豚の群れはがけを下って、ガリラヤ湖で溺れ死んだ。この事件がガダラ人の地に広まりイエスは、ガダラ人の地から追い出された。(マタイの福音書8章28節-34節、ルカ8章26節-39)
次の「3文字」とは、エムマヌゥエール(=Emmanouhvl)の数価(5+40+40+1+50+70+400+8+30=644)のこと。
- 「3つの棘に仕上げられた撒き菱」
地上に播いて馬の脚を傷つける戦具。
- 「髑髏と徴づけられた場所」
ゴルゴダのこと。古伝では、この場所にアダムの髑髏が埋められているといい、ここにイエスの十字架が立てられた。
- 「その名号の数価は644の方」
エムマヌゥエール(5+40+40+1+50+70+400+8+30=644)である。
- 「自分自身をも大浪のように盛りあがらせて船たちに襲いかかる」
Cf.「みずからの恥を泡にして吹き出す海の荒波、永遠に暗闇の深淵に定められているさまよい星」(ユダ書簡13.)。
- 「キュノペーゴス」
Kunovphgon。Pliny Nat. Hist. 24.74.「キュノスバトス<クロフサスグリ>をある人々はキュナパンクシスと、他の人々はネウロスパストスと呼ぶ。それは人間の足跡のような葉をしている」。
Dsc.I-123。野バラの一種。園芸種のバラをガーデン・ローズ(gardenrose)というのに対し、野生のバラはドッグ・ローズ(dog rose)と呼ぶ。園芸種のバラにはふつう実は成らないが、野生のバラはよく結実して赤い実をつける。(『ディオスコリデスの薬物誌』訳註〕
- 「額に書くやつ」
「彼らの額の上には仔羊の名とその父の名が書かれている」(黙示録14:1)。「そして神の名が彼らの額にある」(同、22:4.)。
- 「1つの声で云った」
Cf.「彼らは皆一緒に同じ場所にいた」(使徒行伝2:1)。
- 「闇の宇宙支配者」
oiJ kosmokravtoreV tou: skovtouV tou: aiw:noV touvtou。「」(エペソvi,12)。Cf. Origen, c. Celsum, viii, 58.
- 「反弓緊張」
ojpisqovtonoV(ギリシアの医学用語)。頸部および背部に更直をおこし、背部が反りかえって弓状になる筋肉の攣縮。破傷風などの症状に見られる。(『ヒポクラテス全集』第1巻、p.672訳註(61)より)。
- 「コリアンドロン」
korivannon, korivamblon。Pliny, Nat. Hist. xx. 20.
Dsc.III-71.。
- 「天において成就する事柄は、地上においても同様である」
Cf.「この者たちは天にあるものの模型ないし影に仕えているのである」(ヘブライ8:5)。
- 「諸々の支配力や諸々の権力や諸力」
Cf.「生も死も、天使も支配力も、今あるものも来たるべきものも、諸力も、高いものも低いものも、ほかのいかなる被造物も、われらの主なるイエス・キリストにおける神の愛から我々を引き離すことができないのだ」(ローマ8:38)。
- 「星のように地上に落下し」
「わたしはサタンが天から稲妻のように落ちるのを見ていた」(ルカX, 18)。
- 「大きな隅石があった」
Cp. IPet. ii.6, 7. Ps. cxviii. 22. Isa. xxviii. 16. Cp. Matt. xxi. 42, Mark xii, 10., Luke xx,17.
- 「大工たちが失格審査した石が」
詩篇118〔七十人訳では117〕:22以下。「大工たちの斥けたひとつの石が/隅の礎石となった。/ヤハウェによりこのことは成った、/これはわれらの目には不思議だった。/今日はヤハウェが作った日、/われらをこれを歓喜し、喜ぼう。/ああ、ヤハウェ、どうかお救いください、/ああ、ヤハウェ、どうか成功させてください」。
- 「アイギュプトスでモーウセースと争った」
「ヤンネースとヤンブレースがモーセに逆らったのと同様に……」(2ティモテオス3:8)。出エジプト記7:11に出てくる魔術師の名前。エジプトの王がモーセに対抗させるために呼び寄せた魔術師。ただし旧約の中ではまだこの魔術師に名前はつけられていない。西暦紀元前後のユダヤ教でこの名前がつけられるようになった。今日知られている文献で最も古いものは、死海写本にも入っているダマスコス文書(CD)5・18-19で「ヤンネースそのその兄弟」という言い方で出てくる。……当時のユダヤ教で他人の悪口を言うときに貼るレッテルとして流布していた名前というにすぎない。(田川建三、訳註)。
- 「ラパンとモロク」
モロク(あるいはモレク)は、ヘブル語のmelek「王」にbôsheth「恥」の母音を当てたもの。アンモン人の神。ミルコムとも呼ばれた(王上11,5, 7, 33)。人間供犠を要求する神だったらしい。
- 「最後の業」
「我、汝の業と愛と信仰と奉仕と汝の忍耐を知る。そして汝の最後の業は最初の業よりも多くなっている」(黙示録2:19)。
- 「エムマヌゥエール」
イザヤ書7:14からきたメシヤの称号。ヘブル語で「われらとともに、神」の意。
- 「エローイ」
=Elwiv、アラム語で「わたしの神」の意の語を神名とした。「そして第九時にイエスは大きな声で叫んだ、『エローイ、エローイ、ラマ、サバクタニ』。これを訳すと、『我が神、我が神、何ゆえ我を見捨てたまいき』となる」(マルコ15:34)。
- 「兄弟たちを殺させたことがある」
ソロモーンは異母兄弟アドニヤフを討った。列王記上2:23-25。
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