第6話

ワシ(aetos)について


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 ダビデは言う。「ワシのごとくあなたの若さは新たにされよう」〔詩篇、103章5〕。自然窮理家はワシについて、年老い、その両眼と翼が衰え弱ると言った。しからば、いかにするのか? 川の清らかな水源を探し、太陽の霊圏まで飛翔し、自分の古い翼と自分の両眼のかすみとを灼き、水源の上に飛び下り、三度、洗礼を受け、かくして新生して、若返るのである。

 これと同じようにあなたも、おお人間よ、古い人間という着物をまとい〔エペソ、第4章22〕、〔そのために〕あなたの心の眼が弱まっていなら、若返りの水源、すなわち神の言葉 — それは「生ける水の源をであるわたしを見捨てた」〔エレミヤ、第2章13〕とおっしゃった — を探し、そうして、イエス・キリストの正義の太陽の高みまで飛翔し〔マラキ、第4章2〕、古い人間を自分の行いもろともに灼きつくし、滾々たる泉で、三度、洗礼を受けるがよい。父と子と聖霊の名において〔マタイ、第28章19〕。そして、古い人間それはすなわち悪魔の古い着物を脱ぎ捨て、神によって造られし若き人間をまとうべし、さすれば、「ワシのごとくあなたの若さは新たにされよう」というダビデの予言は、あなたの内にも成就するであろう。




 ワシ(a)eto&j)は、七十人訳では「ネシェル」の訳語に充てられている。
 「少なくとも4種類のワシ類がパレスチナでは観察される。すなわち、イヌワシAquila Chrysa[e]tos[A. chrysa[e]tos (L.)]、岩石地に多いアシナガワシA. naevia [A. pomarina Brehm]、カタジロワシA. heliaca, Sav.、および、非常に多く見られるチョウヒワシCirca[e]tus gallicus, (Gm.)である。……ヘブライ語のネシェルはこれらの種のいずれかを表すが、おそらくイヌワシ、カタジロワシ、またはハゲワシに特定することができるだろう」(『聖書動物大事典』p.155-7)。
 また、
 「詩編103:5には「鷲のような若さを新たにしてくださる」と語られている(イザヤ書40:31も参照せよ)。ユダヤ人翻訳者の一部はこの節を、ひじょうに年をとったワシが力を取り戻すことができたという古くからの物語を参考にして説明している(ボシヤール『聖書動物誌』ii. p.747)。近代の注釈者の大部分は、これらの言葉は換羽期を境にしてその後いっそう活動的になるワシのことを述べていると考えている。詩編103:5へのヘングステンペルクによる「あなたは若さを取り戻した.その力強さはあたかもワシのようである」という説明のほうを、筆者らはむしろ採用する」(同上、p.158)。

 画像出典、Ulysse Aldrovandi (1522-1605)の『鳥類誌(Ornithologiae hoc est De auibus historiae)』。博品社の図像はややつぶれているので、原本から採録。