第25話
カワウソ(zoion enydron)について
カワウソと言われる動物がいて、犬のような形をしているが、ワニの天敵である。例えば、ワニが寝そべって、口を開けたままにしている。するとカワウソが近づいてきて、〔自分の〕身体中に泥をこすりつけ、その泥が乾くと、ワニの口の中に躍りこみ、その喉という喉をみな齧り、内臓を食い尽くすのである。
されば、ワニは悪魔に似ており、カワウソはわれらが救主の顔〔姿〕に解される。われらの主イエス・キリストは、土塊の肉をまとったまま、瞑府に下られ、死の苦しみを解放し、縛めにある者たち、闇の中にいる者たちにも、おっしゃったからである、 出で来よ、現れてあれ、と〔イザヤ、第49章9〕。そしてあの使徒〔パウロ〕もまた。「死よ、そなたの勝利は何処にある、瞑府よ、そなたの棘は何処にある?」〔第一コリント、第15章55〕、そして三日後に死者たちの中から立ち上がり、ご自身といっしょに、塵に属するもの(choike ousia)をも蘇らせられたのである。
註
アリストテレス『動物誌』595a
「カワウソもヒトにかみつくが、『かみついたら、骨のくだける音を聞くまでは離さない』といわれている」。
次のイクネウモンとの混同があるのであろう。
画像出典、Konrad Gesner『Historiae Animallum』I。